|
まず戦後、焼け野原になった秋葉原に電気部品を扱う露店が続々と集結し始める。この地が選ばれたのは、戦前より総合問屋として地方とのネットワークを形成していた「廣瀬商会」の存在が大きい。現在の秋葉原駅近くに位置する、当時都電の起点であった万世橋は「安い秋葉原」を目指す地方からの小売・卸売業者でにぎわった。 ほどなく近くに位置する電機工業専門学校(現在の東京電機大学)の学生アルバイトによるラジオの組み立て販売が活況を呈し、この地への電器商の参入をさらに加速。ここに「アキバ電気街」としての基礎が築かれた。その後「三種の神器」による家電ブーム、インターネットの普及によるPCブームを経て街は現在に至る。 今回は現在のアキバ電気街の大きな要素である「PCパーツショップの街」「電子工作の街」というふたつの顔をクローズアップする。 |
Tech総研読者にはアキバPCパーツショップを訪れた経験をお持ちの方がたくさんいることと思う。密集するショップが生み出す活気に惹かれ、初めてアキバを訪れたとき、いったいどんな気持ちだっただろうか。アキバに数多く存在するショップ同様、一人ひとり異なるアキバ歴。今回はアキバPCパーツショップを利用するひとりのエンジニアを通して、アキバとエンジニアの深いつながりをうかがった。一方で多くの利用者に支持される老舗PCパーツショップのひとつ『TWO TOP』の店長を直撃取材。お店側からみたアキバ電気街の魅力を語っていただいた。 |
|
|
|
|
|
||
所狭しとPCパーツ類が並べられている、TWO TOP店内の様子。ここから世界にひとつのオリジナルPCが生まれる。 |
電子工作と聞いて思い出すのは何だろう? 抵抗やトランジスタといった細かな部品たちが回路図の上で踊るダンス。PCパーツショップで街がにぎわう前、アキバ電気街は「電子部品街」というまた別な顔をもっていた。ここでは趣味として電子工作を極めるエンジニアにインタビュー。PCパーツ同様、ディープなアキバ電子部品の世界を語っていただいた。そして電子工作ファンが必ず立ち寄る電子部品店のひとつ、『秋月』。お店の歴史とともにアキバ電気街を見つめてきた店長にもお話をうかがった。 |
|
|
|
|
平日でも大勢の客でにぎわう店内。細長いカウンターを介して、お客のマニアックな注文に瞬時に店員が応対。 |
街は変化してもアキバ電気街の本流は力強く生き続けている。再開発のもと、多くのビルが建て替えられテナントに「萌え系」の店が増え続けている。しかし、エンジニアに代表される電気街をこよなく愛する人々と、彼らのマニアックな要望に熱い思いでこたえ続けようとする店がある限り、過去50年以上にわたる歴史を築いてきた「アキバ電気街」はこれからも続いていくだろう。エレクトロニクス製品を扱う店の集積度において「アキバ電気街」は世界でも類をみない存在である。この集積度が生み出す混沌の力が、今後もエンジニアの活力となっていくことを、Tech総研は強く願う。 |
|
|
||||
このレポートを読んだあなたにオススメします
家電にはエンジニアゆえのこだわりがある。そうだろ?
性能?静音?エンジニアは自作PCのどこにこだわるか
既製品を購入するより自作で組んだほうが安かったデスクトップPCも、いまやBTOによって、以前より手軽に自分好みの製品を手に入れら…
懐かしの“アレ”がエンジニアの原点だ!
リアルな音を再現する飽くなき挑戦 オーディオの魅力
今回のテーマはオーディオ。よりよい音を求め、マニアックな改造に熱中するオーディオファンたち。アナログからデジタルへの変遷にはたく…
懐かしの“アレ”がエンジニアの原点だ!
精密な完成度を誇ったタミヤ『ラジコン』の魅力
自動車、航空機、戦車、船舶などさまざまなラジコンがある。その操縦・改造に燃えたエンジニアも少なくないはずだ。中でも有名…
ラブリィ洋子の技術deデート
エンジニアの聖地“アキバ”での目利きショッピング
今、ドラマでも注目のスポット“秋葉原(アキバ)”。アキバでのデートは、いわゆるデートスポットとは違う、楽しさや面白さが…
応募者は「イケた!」と思ったのに……なぜ不採用?
スキルが高い人材でも「NG」を出した人事の証言
求人の募集要項にあるスキルは満たしていたのに、なぜか結果は不採用。そんな経験をした人も多いのでは? では、採用に至らな…
あなたのメッセージがTech総研に載るかも