ハニー渾身の設計！集中と遊び心が同居する極上の職場

テックハニーが誕生してはや一年。毎月、エンジニアが活躍するさまざまな企業を突撃訪問し、その職場に潜む魅力を紹介してきた“きゃんち”が今回、1年を通して培った知識・経験をもとに、「エンジニアのための極上の職場」を提案！　その気になる内容は……。

（取材・文／宮尾有希　総研スタッフ／山田モーキン　イラスト／Shu-Thang Grafix）作成日：07.03.13

　エンジニアの皆さん、こんにちは！　テックハニーこと“きゃんち”です。私が「理想の職場を求める」という使命の下、テックハニーに任命されて、ちょうど１年が過ぎました。最初は話を聞くだけで精いっぱいだった私ですが、インタビューを重ねるうちに、多くのエンジニアさんが求めている働きやすい環境がわかってきたんです！

　そこで今回は、これまでに私が訪問した将来有望な12の企業さんを振り返りながら、テックハニー流の理想職場を設計することにしました。わかりやすく絵に描きながらお見せしたいのですが、実は私、絵が苦手で……（汗）。
　なので、イラストレーターでありグラフィックデザイナーである、幅広くご活躍中のShu-Thang Grafix（浦野周平）さんにビジュアル化のご協力をお願いしました！

　ではさっそく私、テックハニーきゃんちが１年間の経験から得た素晴らし職場のエッセンスを凝縮して設計・提案、そして浦野さんにイラスト化していただいた“集中と遊び心が同居する極上の職場”を発表しちゃいます！

エンジニアの皆さん、どうでしょうか？反応がかなり気になるところですが、これから上のイラストが完成するまでの経緯を、ご紹介したいと思います。最後までお付き合いくださいね☆

1976年生まれ。東京造形大学を卒業すると同時にフリーに。現在は『R25』『BRUTUS』『GQ』『POPEYE』など多数の雑誌に連載を持つほか、CMやポスターのイラスト、ロゴ、パッケージ、フィギュアのデザインなどを手掛けている人気イラストレーター。

	きゃ：	まず建物は、ビルのワンフロアよりも一軒家タイプのほうがコミュニケーションが取りやすそうでした。
	浦野：	じゃあ一軒家で。何階建てですか？　立地は？
	きゃ：	都会の一角にある、閑静な住宅街がいいですね。近所の人からミカンとかおかずとかもらえたりするんです。家はドーンと5階建てにしちゃおう。
	浦野：	それ、家の大きさじゃないでしょ（笑）。中はどうなってるんですか？
	きゃ：	エンジニアに大切なのは、集中とリラックスのメリハリだと思うので、そこを重点的に考えてみました。まず1階はリビング。ハードワークなエンジニアを癒すフリースペースです。テーブルとテレビがあって、新聞やビジネス雑誌があって、ブログ開発会社さんみたいにお菓子も置いてあります。台所にはお茶やコーヒー。おいしいお茶を入れてくれる総務の女性がいたら最高ですね（笑）。たまに誰かが料理を振る舞ったり、昼休みにホビー工場みたいにWiiでゲーム対戦したり、ああ楽しそう、ゲームは何をそろえようかな……。
	浦野：	あの、そろそろ仕事場に入ったほうがいいんじゃないですか（笑）。
	きゃ：	あっ、そうでした（笑）。2階がみんなのデスクがあるオフィスです。階段が吹き抜けになっていて、みんなちょっと集まれー、って言えば1階からも声が届くの。3階は来客と打ち合わせする応接室と、ミーティングルーム。応接室がデスクのそばにあると集中のじゃまでしょ？ 4階は書庫。仕事に必要な専門書やビジネス書がそろってます。社員の心の教育として、マンガや小説の名作も置かなきゃ。幅広い教養があったほうがエンジニアとして魅力的ですから！
	浦野：	ちゃんと仕事できるのか心配です。ついマンガ読んだりしません？
	きゃ：	そこは大丈夫。大きな会社じゃないから、みんなの目が届くんです。5階はベランダとお風呂。お風呂は徹夜仕事のときに使って、ベランダは歓迎会のときにバーベキューしたりするの。
	浦野：	いいですね、アットホームで。じゃあ、仮眠室はどうですか？
	きゃ：	んー、それは入れたくないなあ。仕事だけじゃなくて、家庭も大事ですよ。皆さん、ちゃんと帰りましょうっ（笑）。

	浦野：	２階にあるオフィスについて、もう少し詳しく教えてください。
	きゃ：	ここは集中するための工夫を考えました。机は広め、6人ずつの島型配置になってて、デスクワークなのでエルゴノミクスに配慮した高品質チェアを標準装備します。デスクには前の人と目が合わないように低めの仕切りをつけましょう。照明は目に優しくて明るいものを使います。社長室はすりガラスになっていて、オープンソース開発会社さんみたいに、ドアが開いてるときは自由に入って相談できるの。副社長はみんなと同じフロアで、普通に仕事をしています。
	浦野：	副社長、意外に偉くないですね（笑）。
	きゃ：	ええ、小さな会社ですから。締め切りの迫る開発者には別室を用意します。4席くらいあって、コクピットみたいに閉じて遮音されているので、自分だけの作業に没頭できるんです。業種によっては、特別な機材を置く部屋になります。
	浦野：	内装とか設備はどんな感じですか？
	きゃ：	無機質じゃなくて、オフショアの会社さんみたいにウッディな感じ。健康のためにマイナスイオンの加湿器を置きます。加湿器には、集中力がアップするアロマをセット。あちこちにホワイトボードがあって、簡単な打ち合わせはここでできます。あと、エンジニアさんは目が悪くなりがちなので、緑の観葉植物は必須です！　たくさん置きましょう。
	浦野：	犬もいるといいんじゃないかなあ。
	きゃ：	それ、今言おうと思ってたんですよ～！　休憩する時間がないときでも犬の姿を見るだけで癒されるから、お利口な犬を飼いましょう。
	浦野：	で、副社長が世話をしてる（笑）。
	きゃ：	そうそう（笑）。作業者はみんな忙しいから、副社長に頑張ってもらいましょう。

	浦野：	小さな会社ということですが、人数はどれくらいなんですか？
	きゃ：	設定は、これから成長していくベンチャー企業で、社員数は20人くらい。全員で歓迎会ができる規模です。それに、3Dグラフィックスの専門企業さんをはじめ、大企業からベンチャーに転職したエンジニアさんにもインタビューしたのですが、みんなイキイキしていたので。
	浦野：	そのくらいの規模だと、役職ってあんまりいらないですね。
	きゃ：	社長がいて、副社長がいて、あとはみんな同じ立場がいいですね。あ、犬の名前が“課長”なの（笑）。みんなのアイドルだから、みんなより偉いのです。社長は、すごい行動力の持ち主で、好奇心旺盛で、アイデアマンで、遊びから仕事を発想したりする。ケンタッキーおじさんみたいにあったかい笑顔で、ステキなダンディーボイス☆
	浦野：	いや、声は関係ないんじゃないですか（笑）。
	きゃ：	副社長は、そんな社長のアイデアをより現実的にビジネスに落とし込む切れ者です。全体の進行も見てます。おおらかで人望のある社長に比べて、ちょっと怖がられているタイプかな。
	浦野：	経営と管理職を兼ねているんですね。忙しそうです。副社長、犬の世話してる場合じゃなかったかも（笑）。
	きゃ：	忙しい副社長こそ“課長”で癒されなきゃ（笑）。今までの会社はどこでも、上司だからといって暴言を吐いたりする威圧的な人はいなくて、フランクな関係でした。ここも、そんな社長と副社長が理想ですね。

	浦野：	男女比はどうですか？　外国人もいるのかな。
	きゃ：	まだまだエンジニアの女性は少ないのですが、男女比３：２くらいが望ましい感じがします。外国人スタッフもいます。アジアやヨーロッパ、アメリカの人たちが活躍されている職場も見てきましたけど、どこも活気があって、考え方が柔軟な会社さんでした。
	浦野：	どういった人に来てほしいですか？
	きゃ：	社員は、意識の高い人が集まっているプロ集団にしたいな。ディスカッションは激しいけど、それは「俺の言うことを聞け！」じゃなくて、プロジェクトにとっていちばんいい提案だから譲れない、という前向きな争いなんです。
	浦野：	役職は社長と副社長と“課長”だけですよね。
	きゃ：	役職はフラットだけど、プロジェクトごとに４～５人に分かれて、リーダーを決めます。みんなにリーダーになれる力があるから、案件の内容によって適任者をリーダーに選ぶ方式です。勢いのある小さな成長企業なので、若いエンジニアでも自分のやったことがダイレクトに会社の業績に反映するんですよ。責任重大だから、やりがいがありますよ！
	浦野：	20人しかいないと、そうなりますよね。
	きゃ：	プレッシャーを乗り越える力があって、仕事にプライドをもっていて、起業意識が高くて。今までインタビューしてきたエンジニアさんは、みんなスゴイ人たちだったから、あんな人を集めたいな。というわけで浦野さん、よろしくお願いしますね☆
	浦野：	わかりました！　うーん、難しそうだな……（苦笑）。

　テックハニーとして12の企業さんを訪問し、私にもエンジニアさんのお仕事が少しずつ見えてきました。テックハニーを始めるまで知らなかったけれど、いろいろな分野でのエンジニアさんたちの働きがあってこそ、便利で快適な生活が送れるんですよね。
　今回は、そんな皆さんへの尊敬と感謝を込めて、突撃レポートした職場の中から「いいなあ」と思った部分を集めてみました。書庫とかリビングでゲームとか、ちょっと私の趣味も入っていますが（笑）、働きづめで体を壊さないように……という配慮のつもりです。やっぱり体と心が資本ですもの、集中と息抜きのメリハリをつけつつ、遊び心も取り入れて、これからも頑張ってほしいと思いました。

　3月から、また新しい形でのスタートになります。理想の職場という目標はひとまず完成したので、来年度はまた新たな目標を立てて、エンジニアさんの理想郷を探しに行きたいと思います。まだヒミツですが、コスチュームもリニューアルするかも!?
　これからも応援、よろしくお願いします☆

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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ

毎回、訪問を快く受け入れてくださる企業さんや読者の皆さんの応援に支えられて、テックハニーは無事、1周年を迎えることができました。来月からはより皆さんの期待にこたえるべく、もっとユニークで魅力的な職場を探して紹介していきたいと思いますので、ぜひご意見・ご要望を聞かせてください。そして2年目を迎えた、さらなるハニーの活躍にご期待ください！