「ろ」論よりコード☆新春エンジニアかるた大会

「年始と言えば、日本の伝統、かるた！」。とは言ってもそこはＴｅｃｈ総研、エンジニア的にひとひねりしたものが欲しい！……というわけで、総研スタッフにＴｅｃｈブロガー、エンジニアの皆さんにご協力をお願いして、オリジナル、これぞエンジニアという「いろはかるた」を作り上げてしまいました。

（取材・文／川畑英毅　総研スタッフ／根村かやの）　作成日:06.12.27

　「色は匂へど　散りぬるを　我が世誰ぞ　常ならむ　有為の奥山　今日越えて　浅き夢見じ　酔ひもせず」――日本語を書き表す「かな」を全種（さすがに『ん』はないけれど）、1回だけ使い、しかも五七五にピッタリ当てはめて、これだけのものを作り出す……。誰が詠んだか知らないけれど、改めて「いろは歌」を眺めると、その絶妙さにうたれます。
「いろはかるた」は、そんな「いろは」47文字に「京」を加えた48枚。百人一首もいいけれど、それより敷居が低くて、誰でも楽しめる！というわけで、今度の年始はいろはかるたで決まりだ！
　なんていう独断で始まった、Ｔｅｃｈ総研版いろはかるた。各方面にお願いし、わらわらと集まってきた名言・迷言の数々。特定の字で始まるものにいくつも集中してしまったりもして、そんな中から「1字に1句」を選択するのは、楽しいと同時に悩み多き作業でした。
　ほんのひと言、ふた言の短い言葉の中ににじみ出てくるエンジニアの生態――珠玉の金言、ひそかな喜び、トホホ感などなど、ぜひお楽しみください。

	ランチする店、買い物するコンビニ、仕事帰りの居酒屋……みんな「デフォルトの店」って言っちゃう。（不条理至／総研ブログ）

	くどくど説明するより動くものを作って見せたほうが話が早い。また、エンジニアならごたごた言うよりさっさとコードを書け！ということ。（ただただし＠ただのにっき）


	はんだごてを使いこなしてこそエンジニアだ！（ピンク少佐／総研ブログ）

	どんなに頑張っても、内容よりも単に「仕事量」で算定されちゃったり。納得いか～ん！（黒幕Q嬢／総研ブログ）

	はてなブックマークで、ホットエントリ入りになる最後のブックマークをするときの傲慢な気分。（ただただし＠ただのにっき）

	新し物好きはエンジニアの宿命？　すぐ飛びつくけれど、製品になったときにはもう飽きていたり。（自動制御屋A）

	性能アップに行き詰まったとき、プロトタイプをとりあえず赤く塗ってみる。Oliver＠／．Jさんの名言。（根村かやの／総研スタッフ）

	200や300より、なんだか「ぴったり」な感じがする……。って、変ですか？（謎のプログラマ）

	「リヌクス」と読むことにこだわりをもっている方もいらっしゃいますが……ま、結局どう読もうとLinuxなんですけど。（SEたまん）


	何でもかんでも設計者のせいにしないでほしい！　トラブルの9割は人為的ミスです。（サポート担当ハル）

	1.73205080756887729352。専門知識以外に、「それでナンナノヨ」と自分でも言いたくなるネタをもっていたり。飲み屋の話題にもならないし困ったモノ。（セールスエンジニアX）

最新の技術トレンドについていけなくなっても、頑固に旧来のやり方に固執するさま。（ただただし＠ただのにっき）

　やっぱり出ましたガンダム・ネタ（『と』）。新製品を手にしたときに「ザクとは違うのだよ、ザクとは」とニヤつくとか、自ら推す仕様を却下されたときに「偉い人にはそれがわからんのですよ」と残念そうにつぶやくのも定番です。
　256や512を、なぜか“キリがいい”と感じてしまうのもエンジニアならでは（『ち』）。っていうか職業病？

	新しいものに飛びつくのはいいけれど、その得失はしっかり踏まえてほしい……って言っても無駄だろうなあ。（SEたまん）

	もう、何があっても拡張性！　設計も会議の主張もプライベートもみ～んな拡張性！（ピンク少佐／総研ブログ）


	「遅れていますっ」の報告が入らないのは、なんて心安らかな……。でも、そんなことはめったにない。（ウォーリー内海／総研スタッフ）

	情報管理は検索ベースだ！というわけでせっせとタグ付け。でもそれを最後に、検索なんかしたことなし。（河馬田英毅／総研スタッフ）

	ものは言いよう。「枯れ技術」と言うと何かわびしいけれど、「レガシー」と言えば言い訳が立つような。（黒幕Q嬢／総研ブログ）

	同じテーマなのに、仕事になったとたんにぱたっと手が止まっちゃったりしませんか？（タニー只野／総研スタッフ）

	必要な機能を搭載できなかったときの、基本的かつ多用される言い訳。……次があればいいんですけど。（SEカレワラ）

	餅は餅屋。えっと、私、ネット専門じゃないので、エンジニアだからってだけで相談持ち込まれても困ります。（SEかのこ）

	夜食でありとあらゆるカップ麺を食べまくりました！……で、本業の技術は？（関洋子／総研スタッフ）


	手を抜くと必ずしっぺ返しを食らいます。（平林純＠hirax.net）

	非エンジニアには無駄・過剰性能にしか見えないものでも、エンジニアには必要な冗長性である（ものもある）。（根村かやの／総研スタッフ）

「拡張性」「規則性」「冗長性」……ときにはとても大切、でもときにはちょっぴり言い訳っぽかったり（『か』『む』）。あんまりこだわると、今度は「合理性」を置き忘れてしまったりもします。
　専門家に任せておけ！と胸を張って言えるのもエンジニアなら、専門じゃないのに話を持ち込まれて困るのもエンジニア（『ね』）。

	修羅場続きで彼女／彼氏に会えないこのつらさ。あ、でもホントに浮気のときに言い訳に使えるかも。（ピンク少佐／総研ブログ）

	標準で誰もいや応なく使うからって……もうちょっと“謙虚”に設計してくれてもいいんじゃないの？（SEかのこ）

	これで一件落着、確かにうれしいけれど……。それは厳しい評価の目にさらされる最初の日でもある。（ピンク少佐／総研ブログ）

	平林純＠hirax.netさんの総研ブログから。でも、そのプログラムにバグがあったら……（涙）。（根村かやの／総研スタッフ）

	クリンゴン人は『スタートレック』オリジナルシリーズから敵役として登場、後に同盟を結ぶ種族。おそるべし“トレッキー”の政治力。Oliver＠／．Jさんの「ニュースウォッチ」から。（根村かやの／総研スタッフ）


	しかも、その数値化プログラミングを本業以上に頑張って作っちゃったりした人を知っています。（セールスエンジニアX）

	長期休暇は遠きにありておもふもの……。果てしなきあこがれ。（SEよしたに／エンジニア流星群）

	仲間内ではなぜかゲームの台詞で会話が成り立ってしまい、しかも説明不要。改めて考えると（考えなくても？）ちょっと変。（設計屋ヤマ）

	WordやExcelの使い方をしつこく聞いてくる部長をとりあえず黙らせておく手段。でも、結局「猫に小判」かつ「藪から蛇」になったりもする。（SEたが＠Tじゃない某総研）

	どんなに技術力を駆使しようと、アイデアを盛り込もうと、前提がムリなものはどこまでいってもムリ。（謎のプログラマ）

	逆に、その先にもっと大きな穴が待ち受けていそうで。エンジニアって苦労性？（不条理至／総研ブログ）

	どれだけひどいデスマでも、時間がたつと思い出になってしまう（ので繰り返される）。（ただただし＠ただのにっき）

　スペースシャトル1号機が「エンタープライズ」と命名されたのはトレッキー（スタ・トレの熱烈なファン）の運動があったから、というのは有名な話ですが、まさかクリンゴン語がISOに入っているとは（『く』）。
　デスマ・ネタは数多く出たなかで、たださんの一本を採用（『て』）。忘れるから繰り返される、とはいっても、忘れるからこそ次の仕事への活力も生まれるのかもしれません。

	なんとなくぼんやり考えているときに浮かぶ、いいアイデア。いざ形にしようと思ったら、もう残っていないことも……。（不条理至／総研ブログ）

	新しいバグを仕込みかねないので既存のコードを改造してはいけないという古い言い伝え。（ただただし＠ただのにっき）

	恐怖映画の定番、真夜中の電話……よりも、場合によっては恐ろしいかもしれない。（宮みゆき／総研スタッフ）

	医者の不養生？　いえ、この苦労が「必ず実現してやるぞ！」の活力になるんです、きっと。【エンジニアがカッコよく見える鞄はないのか！】より。（河馬田英毅／総研スタッフ）


	秋葉原に行くとき、常に言い訳をしなければいけない時代になりました（誰に？）。（SEハホ）

	無駄な会議を嫌うさま。とはいえ、目の前にみんなそろっているのに、「メールで」になってしまうことも。（謎のプログラマ）

とりあえずCさえマスターしておけば、JavaもC＋＋もRubyも理解しやすいということ。（SEたが＠Tじゃない某総研）

	営業と技術はクルマの両輪……とはいっても、文句のひとつも言いたくなるときはある。（黒幕Q嬢／総研ブログ）

	韓国料理屋でこんなことを言うのはエンジニアに決まっています。非エンジニアは「冷めにくい」「いつまでも熱々」と言う。（根村かやの／総研スタッフ）


	本人は「生産性が上がる」と周囲に説明しているが、多くの場合、単なる所有欲。（SEたが＠Tじゃない某総研）

	彼女はともかく、たとえ家族であってもなかなか仕事内容を理解してはくれない……実話。（ピンク少佐／総研ブログ）

	何があるかわからない開発現場。客にすぐできるとあえて言わない戦術も必要……なかなか難しいですけど。（ピンク少佐／総研ブログ）

	当初は夢のような計画だったはずが、時がたってみると、それはまさに悪夢。「構想設計は妄想設計」に同じ。（平林純＠hirax.net）

「帰宅途中ですが、今からですか？」……あまりに“まんま”な台詞にもかかわらず、その寂しい悲鳴の切実さにうたれます（『き』）。
　電化製品からパーツから産学官協同から“萌え”まで、エンジニア的には（？）何でもそろっちゃうのが、今の秋葉原。だからこそ、自らも目的意識をはっきりもって出掛けないと、ついつい寄り道が……（『め』）。
　と、「いろは……」プラス「京」まで出そろいました。皆さんも、自分なりの「いろは」作りに挑戦してみてはいかがでしょう？

根村かやの(総研スタッフ)からメッセージ

ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。また、掲載できなかった数名の方々、ごめんなさい。「バグ」「バックアップ」「パソコン」「パーツ」で始まる作品が集中した『は』、「Java」「ジャンク」などの技術？用語だけでなく「失敗」「出張」「新製品」「時給」が入り乱れた『し』などの札が“激戦区”でした。
喜びも悲しみもこのかるたのような？エンジニアの皆さんにとって、2007年が良い年でありますように。