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人気サイト運営企業が求めるネットワーク・サーバーエンジニアA はてなCTO伊藤氏が欲しいインフラ技術者「自己PR編」
はてなCTO伊藤氏が求めるネットワーク・サーバー技術者の『究極のレジュメ』第二弾。今回は「希望条件」「自己PR」「キャリアプラン」について、どんなことが書かれていると魅力を感じるのか。そのスカウトしたい人材の「究極のレジュメ」を紹介しよう。
取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき)作成日:06.10.25
 顧客企業のシステム構築、Webサービス構築を請け負う業態なら、予算の範囲でサーバー増強にお金をかけられるが、今回取材に協力してくれたはてなのサービスは全部自前。自分たちでとことん工夫したいという発想は、インフラを自前で効率化したり、コストダウンできれば、それが自分たちの収益拡大につながるという、業務上の特性からもきている。
 前回同様、はてなCTO伊藤氏に自社のインフラを支える究極のネットワーク・サーバー技術者像を尋ね、リクナビNEXTスカウトのレジュメで記述してみた。「従来の常識にとらわれない」発想と、豊富な経験を求める伊藤氏は果たしてどんな「自己PR」や「キャリアプラン」に関心をもつのか、注目してほしい。
株式会社はてな セオリーだけではなく、それを超える発想を生み出せるネットワーク/サーバエンジニア
事業概要 人力検索サービス「人力検索はてな」やブログホスティングサービス「はてなダイアリー」などの開発・運営を行う。RSSリーダーの先駆け「はてなアンテナ」や、自分のブックマークをネット上に公開し、他人と共有することでこれらを有益な情報源とする「はてなブックマーク」など、新しいアイデアと技術を実装し「Web2.0」時代の旗手と目される。
■セオリーを知りつつ、かつそれを疑え!

 僕らが唱える常識を超えた“自前主義”にはもちろんちゃんと成功例がある。かつて僕が見た、米Google社のデータセンターのラックは現在の当社のように、安価なハードを詰め込めるだけ詰め込んだ、エンジニアの工夫の塊だった。Googleは、サービス拡張とともにトラフィックが急速に増大することがわかっていたからこそ、コストを抑えて負荷に耐えうるノウハウを考える必要があったのだ。

 いま僕らが欲しい人材は2タイプ。一つは、ネットワークの経験が豊富で、ネットワーク機器や負荷分散技術にも詳しい、この世界のベテラン技術者。僕らは若い企業なので、そうした経験豊富なベテランが欠けている。そういう人に若い人を指導してほしい。

 ただ、世の中のセオリーや常識を知っていることは重要だが、そこで思考が止まってしまうタイプは困る。「大規模エンタープライズのネットワークはこう作るのだから、うちでもその通りにしましょう」ではなく、「ほかはこうだけれど、それにはこういう問題があり、だからうちでは新しい方法を考えましょう」と提案するエンジニアのほうが優秀だ、と僕たちは考えている。

 もう一つは、若くて、経験はないけれど、やる気、体力、アイデアだけは豊富という人。常識を知らないからこそ、思いがけないアイデアが飛び出すことに期待したい。このタイプでは、ネットワーク/サーバー経験なしという経歴も可。全く別の、たとえば基盤開発をしていたようなハードウェアエンジニアでも基本的にはOKだ。
伊藤直也氏
はてな(株)
伊藤直也氏
1977生まれ。人力検索サイトなどユニークなネットサービスを展開するはてな(株)の最高技術責任者(CTO)。
個人でもAmazonアフィリエイト支援ツールなどを開発し、自身のブログでも技術やブログ関連の話題などを紹介している。
職務経歴・希望条件 自信たっぷりのレジュメ大歓迎
転職意欲 積極的に多くの企業と会いたい
業種科 ・通信
・インターネット関連
・その他IT・通信系
従業員数 こだわらない
勤務地 東京23区
年収 (中堅)1000万円・(若手)600万円
主な職務内容 【主な職務内容】
19xx年5月〜19xx年4月
■業務内容
[顧客]
 ・インターネット関連企業
[主な開発事例]
 ・Windows NT、Solarisのサーバー構築およびコンサルティング。
 ・インターネット/イントラネット・ネットワークの構築およびコンサルティング。
[役割(担当業務)]
 ・上記のプロジェクト管理とアカウント管理。
■立場 プロジェクトマネジャー

19xx年4月〜19xx年1月
■業務内容
[顧客]
 ・通信機器関連企業
[主な開発事例]
 ・IBM汎用機の互換製品の運用保守、メンテナンスに関する提案、SNA環境とLANとの接続に関する提案を中心に業務を遂行。メインフレームに関して、C/Sを利用した3270エミュレータをクライアントに大規模に導入。
■立場 プロジェクトマネジャー
伊藤直也氏  転職意欲はもちろんあったほうがいい。「採用したいな」とこちらが思っても、来てもらえないならお互い時間の無駄だから。業種はIT・通信・ネットワーク系というところだが、こだわらない。勤務地はいまのところ東京のみ。年収希望については、仕事の内容とパフォーマンスによって決めるというのが当社の原則なので、希望にそえることもあれば、そえないこともある、としか言いようがない。「私は1000万円の仕事をする。もしできなかったら300万円に落ちてもいい」というぐらい、自信たっぷりのレジュメなら関心を惹く。
自己PR 人生で最も大変だったことを語ってください
自己PR 私はこれまでサーバー・ネットワーク設計・構築・運用のさまざまなプロジェクトに携わってきており、プロジェクトマネジメントのノウハウを習得しています。この仕事は経験を重ね、技術スキルに加えて、トラブルの原因が一瞬でわかったりする第六感のようなものが備わります。トラブルのこうした現場での修羅場を乗り切った経験は必ず次の開発では再発しないよう細心の注意を払います。また、数々のプロジェクトを率いてきたリーダー経験を生かし、後輩の育成やノウハウの伝授も心がけています。
伊藤直也氏  できることをスペック的に列挙されても、なかなかイメージがわかない。どんなにそれが「できる」と言われても、実際やってみないとわからないわけだから。
 当社では採用検討の資料として「人生で最も大変だったこと。それをいかに克服したか」という小論文を課すことがあるが、そちらの内容のほうが重要だったりする。どこにもであるような、仕事上のトラブルと克服例よりも、大きな病気にかかったとき、何を考えたとか、引き籠もりから脱出するのがいかに大変だったとか、そういう自分の人生にとって大変だった話のほうが切実感もあるし、人物判断の参考になる。

 プログラマならオープンソースで書いた実績を見せてもらうことがあるが、ネットワーク/サーバーエンジニアだとそれが難しい。ただ、ブログを書いているのならぜひともURLを教えて欲しい。ブログはウソをつけない。しっかり読めばその人の多くのことがわかる。
 作文を書いてもらったり、ブログを参考にするのは、その人の文章力を見たいという理由もある。当社の場合、エンジニアの社内ブログが仕事上のコミュニケーションの道具になっているので、文章が書けないと仕事が潤滑に進まないからだ。ネットで仕事をするうえでは、文章力は重要。これからのネットワークエンジニアの基本スキルに上げてもいいと思っている。
キャリアプラン アウトロー求む。タテマエの話は聞きたくない
キャリアプラン これまで大手企業の大規模プロジェクトから、小規模のインフラ設計まで数々の開発に携わってきました。この経験を生かしつつ、今後はインフラ周りだけの開発業務だけにとらわれず、企業の業務改革や、新規ビジネスの立ち上げを提案し、実行できる仕事がしたいと考えています。将来的には独立も視野に入れながら、経営にも参加できるようなキャリアを積むつもりです。
伊藤直也氏  自分が将来、何者になりたいかということは書いてもらったほうがいいが、何年か後にはこうなる、というような詳細な設計は要らない。自分は何のために仕事をしているのか、それはお金のためなのか、人の役に立ちたいからなのか、単に好きだからなのか、そのあたりを本音で語って欲しい。
 建前上の話は聞きたくない。僕らは世間一般でエリートと思われているようなエリートが欲しいのではなく、どちらかというと、人生の挫折経験をバネにしてきたような、アウトローが欲しいのだから。
レジュメは、自分のエンジニア気質を見つめ直す機会に
 ネットワーク/サーバー技術者の採用ポリシーも、通常の大規模エンタープライズ系とはやや異なる。というより「欲しいのはエリートではなくアウトロー」「技術スペックよりも、人生のトラブル克服体験を語れ」という伊藤氏の要求はかなり“挑発的”とさえいえよう。しかし伊藤氏は何も奇異なことを言っているわけではない。

 同社が求めるのは、「言われたことをこなす」タイプではなく、「誰も言わなかったことを最初にやる」タイプ。まさに、本来的なエンジニア気質をもつ人たちだ。「それは自分のことだ」と思うエンジニアであれば、ぜひともこれまでの、通り一辺のレジュメを見直して欲しい。より自分の本音をさらけ出すことで、カリスマCTOとの出会いが可能になる。レジュメを書くということは、自分の内なるエンジニア気質を見つめ直すよい機会なのだ。

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  宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
組織の一員として、和が図れる人よりも、むしろ最初はその和が乱れるくらい変革を起こしてくれる人のほうが魅力的という伊藤さんのお話に共感しました。また、大勢のメンバーで全員一致の意見よりも何人かがアンチテーゼを示すアイデアのほうが結果的に当たることが多いという話にも。そういえば、Tech総研のレポートも誰もが思いつく無難な企画より、思いつきでやった企画があたることが多いかも。企画会議でボツになることが多い私の企画。やったら意外と当たるかも!皆さんもそんな経験ありませんか?

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