わが子に贈る技術者魂☆星一徹級？X'masプレゼント術

今年も年に一度の、特別な日がやってくる！　普段、仕事が忙しくてなかなかわが子と接する機会がないエンジニアのために、技術愛のこもった、最高？のプレゼントシチュエーションを提案したい。

（文／周防美佳　総研スタッフ／山田モーキン　イラスト／師岡とおる）作成日：05.12.07

「クリスマスプレゼントは毎年、子供が欲しがるものを買い与えている」。
　そんなクリスマスを送っているエンジニアも多いのでは？　確かに本人の希望をくみ取ってプレゼントすれば、間違いなく喜んでもらえるのかもしれない。

　しかし果たして、そんなプレゼントでいつも満足してしまってもいいのか？
クリスマスプレゼントは、普段忙しくて触れ合う機会の少ないわが子に対して、“ありったけの愛情”を伝える一大イベント。
だからこそ、プレゼントのアイテムから渡すシチュエーション、そのときどんなひと言を掛けるか、といったディテールまでとことんこだわりたいもの。

　そこで現在子供のいるあなたも、そして将来結婚して子供を持つことになるかもしれないあなたも、エンジニアならではのプレゼントシチュエーションを性格タイプ別に考えてみたので、まずは以下のチャートにトライしてほしい。

　私は、仕事を愛する根っからのエンジニア。いつもは残業続きだが、今日はクリスマスなので早めに家路に着いた。今年、子供たちに用意したのは「電子ブロック」。楽しみながら電気回路の基礎を学べるし、何と言っても私をモノづくりに目覚めさせてくれたのがコレだからな。クリスマスプレゼントで、勉強できるなんてわれながら最高のアイデアだ。エンジニアとしてのスキルを如何なく発揮し、手際良く作業する私を見て、「パパ、すごい！」なんて言われたら照れるなあ。「僕、パパみたいになりたい！」なんて言われたら最高だ。いずれにしても、このプレゼントはかなり自信あり。ただいま！ふっふっふっ、無言で子供たちの前に差し出す。何かわからずポカンとしているが、それは想定内。そこで、父親らしく威厳を持ってひと言。

マジメ？キメゼリフ／「丁寧にコツコツ作りなさい。ハンダゴテの扱いは、やけどと火事に十分注意すること。責任を持って楽しむように。慣れてきたら一緒に秋葉原に行って、本当の部品を買ってこよう。さ、作るぞ！」

　まずは説明書に書いてあるとおりに作るが、ある程度できるようになったら、子供自身で創意工夫をして遊べるようになってほしい。接点がボロボロになるくらいやり込んでくれたら最高！　自分で考える力を身につけてほしい。

●「電子工作キット」を「そっけなく渡す」
●「電子ブロックセット」を「ハンダゴテを使いたいと思わせるシチュエーションで渡す」
●「ギアブロック」を「夫に作り方を実演させ、興味を示したところで渡す」

　息子が自分専用のパソコンが欲しいと言ってから、はや１カ月。その願いをかなえるために、わしは今、秋葉原に来ている。父に、自らプレゼントを選んでもらえるなんてありがたく思え！えーと、これもいいな。これは必要。これは買った。まあ、わしのようなPC専門家になるとこれくらい朝飯前だ。プレゼント包装を頼んだ店員が不思議そうな顔をしていたが実にけしからん。これこそ、息子のためを思って選んだプレゼントなのだ。さあ、これを息子の枕元に置いて……と。ん？なんだ、その不服そうな顔は。お前が欲しがっていた「PCパーツ一式」だ。バカもん！できあがったパソコンを買ってきて何になる!?自分で作ることに意義があるのだ。そう簡単に、パソコンを手に入れさせるものか。そこで、一喝。

熱血？キメゼリフ「わしは、お前に何も教えない。自分ですべて調べろ！これができれば、父と並ぶぞ。いや、まだまだお前はわしにかなわん。つべこべ言わず、早く作らんか!!」

　ストレスのないPCを完成し、好きなソフトをインストールして遊べるくらい、自分専用PCにのめり込んでいってほしい。お小遣いをためて、欲しい部品やパーツを買いに行き、自分で再度組み立てられるくらいになれば大成功。

●「自作パソコン部品」を「パソコンぐらい組み立てられないと将来困るぞと脅しながら渡す」
●「マザーボード＋メモリ＋CPU」を「さりげなく渡す」
●「パソコンのパーツ一式」を「朝、枕元に置いておく」

　「一緒にクリスマスプレゼントを買いに行こう！」そんな呼びかけに、息子は大喜びで僕の行きつけのホームセンターにやってきた。プレゼントは何かなぁ？それは、着いてからのお楽しみ！おーい、今日はサッカーボールや水鉄砲のコーナーじゃないぞぉ！木材のコーナーだ！こうしてみるといろいろな木があるんだなぁ。後は、工具を買って、軍手を買って……と。これで、準備万端！たくさんの中から息子が選んだ木材と工具を抱え、自宅に戻る。一生懸命重い木材を運ぶお前の姿が、パパにはまぶしいぞ！息子の成長に思わず、口元と目元が緩む。やっぱり、「日曜大工セット」を選んで正解だった。息子は何だかやる気に満ちているように見えるし、妻もそんな息子を見てうれしそうだ。あー、休日の昼下がりにこうして家族で過ごせるなんて幸せだなぁ。そこで僕からひと言。

フレンドリー？キメゼリフ／「なに作ろ～？なにができる～？さあ、やってみよぉ～！もちろん、パパも手伝うよぉ～！」

　木材をのこぎりで切ったり、くぎを打ったりしながら、「モノづくり」の醍醐味を味わってほしい。自分のアイデアで、いろいろなものを作って遊んでほしい。普段の生活でも、気軽に工具を使えるようになってくれればベスト！

●「いかだキット」を「近所の河原に行って渡す」
●「表札が子供の名前になっているログハウスキット」を「ハイキング途中に置いておく」
●「積み木」を「目の前で作り、できたてを渡す」

　子供はいったいどんなプレゼントを喜ぶだろう？そうだ！親として、伝えなくてはいけないことが山ほどあるじゃないか！例えば新たなモノやアイデアを生み出す創造力や、森羅万象に対する好奇心であったり……。私の今の仕事の原点もそこにあったんだから、どれだけ伝えられるかわからないが、そんな一つひとつを伝えていくのが、子供に対する親の愛というものではないのか！よしっ、それにしよう！そこで思いついたのが「プラネタリウム」。星座を子供に教えるもよし、広い宇宙を見ながら子供と語り合うもよし、これこそ最高のクリスマスプレゼントだ。まずは、星を一緒に見にいくことにした。どうだい？この星空は。キレイだろう？この空をよーく覚えて、家に帰るんだよ。そしてそのまま、家のドアを開けると……そこはもう、天井一面星空のシャワー！極め付けは、私から子供に対する感動のメッセージ！

感動？キメゼリフ／「お前は、あの星たちのように輝いている！これからの人生、まだまだ可能性がある！この広い宇宙の中で、自分の存在意義を見つけるんだ！そして、いつか父さんと一緒に宇宙に行こう！なっ!!」

　星座にまつわる神話や、天文学に興味を持ってもらいたい。そして、つらいことや悲しいことがあったとき、気持ちを整理したり落ち着けたりするためにも、これを使ってほしい。成長とともに、ずっと大切にしてくれれば感激！

●「顕微鏡」を「子供と取りに行ってきた、たんぽぽの綿毛などと一緒に渡す」
●「ロケット組み立てキット」を「朝起きたら、庭に置いておく」
●「天体望遠鏡」を「一緒にキャンプに行き、渡す」

　今日は待ちに待ったクリスマス。子供たちにプレゼントをやろう。やっぱりプレゼントといえばアレだな。子供を押入れの前にスタンバイさせ、私が押入れを開けた！そこには、私が時間をかけて集めた100近い「プラモデル」の数々。お父さんは子供のころ、プラモデルを四六時中作り続けて、モノづくりに対するこだわりや楽しさを覚えたんだ。よし、今日は特別にお前に好きなものを選ばせてやろう。え？それは父さんのだからダメだ。じゃあ、それならいいぞ。それは絶対ダメ！父さんが作るんだから！お気に入りも見つかったようだし、子供が選んだプラモデルの説明をしてやろう。これはな、1985年に限定生産されたスペシャルカラーで……おい！まだ開けるな！説明が終わってないだろ。子供は早く作りたいらしく、私の説明を聞きながら泣き出してしまった。それでも私は止まらない。

マニア？キメゼリフ／「いいか？ガンプラもいいけどな、あれは駄目だ。あんなもの空想だろ？第一、なんで人型二足歩行のロボットなんて必要なんだ。ガンプラばかりがプラモデルじゃない。だからな……（つづく）」

　完成後、自分で塗装したり、パーツの配置を変えたりしてオリジナリティを高めてほしい。なぜこの形状が必要なのか考えながら作れば、発想力の向上にも役立つと思う。これをきっかけに、プラモデルにどっぷりハマってくれればなおOK！

●「船のプラモデル」を「ごちそうを食べながら渡す」
●「ガンダムのプラモデル」を「ジオン系を先に作っておき、戦う相手であるガンダム系を作るよう手渡す」
●「自動車のプラモデル」を「自動車ディーラーの一角に、本物の車と混じって置いておく」

　今回、エンジニア200人に「子供に贈りたいクリスマスプレゼント」に関するアンケートを実施した結果、エンジニアの多くが子供に対して「モノをつくる」楽しみを理解できるようになってほしいと感じていることがわかった。人気ランキングでは、やはり手軽に「モノづくりの楽しさ」を味わえるプラモデルがダントツの一位。自分自身も小さいころから慣れ親しんでいること、オリジナリティ次第でいくらでも工夫ができること、価格帯が幅広いこと、種類が多いことが選ばれる理由だろう。

　またそのほかに目についたのが、「電子ブロック」。これをプレゼントにあげたい理由として、「モノづくりの楽しさを初めて覚え、今の仕事の原点になった」と答える人がほとんどであった。最先端のゲーム機に慣れている子供たちに、電子ブロックに興味を持たせるには少々時間と工夫が必要そうだ。

　ちなみに、実際あげているプレゼントの1位は定番のTVゲーム。どうしても、子供が望むままに買い与えるというケースが多いようだ。しかし、親としては「技術」や「モノをつくる喜び」を、子供になんとかして伝えたいもの。それならば“今年こそ”は、今回提案したシチュエーションやランキングを参考にしてプレゼント選びをしてみてはいかがだろうか？
　きっとその熱い「技術愛」、伝わるはず。

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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ

クリスマスっていつになってもなんか、わくわくしてしまいますよね。私の場合、クリスマスに限らず、もらう、よりも贈るほうがなぜか非常に多いんですが……。ただ渡し相手のことをいろいろ想像しながら、ベストプレゼントを探すのもとても楽しいもの。みなさん、今年はいつもと違う技術愛のこもったプレゼント、渡してみませんか？　きっとステキな思い出になるはず。