木下:自分はウルトラマン世代ですが、中でもウルトラセブンがほかのシリーズに比べていちばん人間味があって好きですね。ただ単に勧善懲悪なのではなく、ストーリーに深みがあった。何度見ても飽きないし、近未来を予測した侵略者との対決は今見ても色あせない魅力があります。
橋田:スーパーロボットマッハバロンがすごく好きでした。放映途中で打ち切りになってしまった作品ですが、ロボットの発進シーンや戦闘シーンのかっこよさ、切ない音楽……。製作スタッフが一切妥協せずに仕上げた作品だったと思います。ほかにも、仮面ライダー(※5)のかっこよさ、そして、ウルトラセブンの世界観にハマりました。
阿川:仮面ライダーV3が好きでしたね。それまでの仮面ライダーに比べて、スーツの色が明るいのが良かったんだと思います(笑)。ほかにも仮面ライダークウガや仮面ライダー555など平成仮面ライダーシリーズも見ていますよ。クウガの一条刑事とかすごく好きです。
天本:ウルトラマンが好きです。自然風景と登場人物のアンマッチ感が面白いんだと思います。新しいバージョンになってもそれは変わらず守られていると思いますよ。今のネクサス(※6)とかも見ていますし、とにかくウルトラマンが好きですね。でも帰ってきたウルトラマンが一番好きです。
橋田:ウルトラホーク(※7)とかロボットが発進するシーンとか好きでしたね。操縦席とか格好よかったし。メカの細かい凝りとかがいいですね。
木川:特撮ならではのアイテムなども光りますね。時計を開けると基地の人と話せるとか、そういった未来アイテムに魅力を感じました。
阿川:555の携帯(※8)とかを見て、自分も感心しました。変身が携帯でデキちゃうんですから、時代を感じますよね。
橋田:あと、自分は宇宙刑事シャイダーのビデオ・ビームガン(※9)が欲しかったですね。銃が敵か味方かを判別して、目標を定めて勝手に撃っちゃう。あれはすごかった。
木下:特撮ならではということに関しては、アニメとかに比べて特撮はリアル感、臨場感がある。街中の破壊シーンとかもアニメならだれかが描いたものでしかないけど、特撮は実際に作ったものを壊してるから、臨場感が違う。
天本:踏みつける画面とか迫力を感じますよね。ウルトラマンは表情がないので、リアル感を出すなら特撮のほうがいいです。
橋田:CGなんかもキレイすぎですよね。特撮はぎこちないけど、人間味があります。
阿川:爆発シーンで花火なんかを使っているのもいいですよね。今見るとまた新鮮です。
天本:正義が必ず勝つ!のが好きです。ピンチになるんだけど、最後には必ず勝って、ほっとして終わるのがいいですね。
木下:自分はそういう話より勧善懲悪からはずれたところに魅力を感じますね。あとはヒーローの話じゃない話。ウルトラマンが来る前、科学特捜隊(※10)で武器を開発していた隊員が、ウルトラマンが出てきたことで出番がなくなっていじけることがあったんですよ。で、最後はその隊員の武器で怪獣を倒すって話があって、あれとかよかったな。
阿川:今の話は1話完結で終わらないのが多いですね。1クール、2クールで話になっている。ドラマに特撮が付いた感じです。
橋田:今のは人間関係がどろどろしすぎですね。昔の特撮は話がすっきりしていて、優しい気持ちになれるものが多かった。勧善懲悪で、ハッピーエンドで終わる。
阿川:仮面ライダー龍騎(※11)なんかは特にストーリー性がありましたね。13人の仮面ライダー同士がそれぞれのエゴや欲望のために戦う。それぞれのライダーに背景があり、人間味のあるストーリーでした。
橋田:契約が重視されたストーリーでしたよね。金持ちになりたいと願ってライダーになったキャラが、ほかの手段で金持ちになってライダーをやめるといったら『契約違反』としてモンスターに食われてしまう。契約と契約の破棄による罰なんていうのは、こう、エンジニアとしては現実に引き戻される設定ではありますよね。
天本:勧善懲悪という世界観は現実のエンジニアの世界では通らないですからね。
木下:正論だと通らないからこそ、架空ではそうであってほしいという憧れはあるかもしれないですね。
橋田:昔の特撮に出てくるコンピュータって、でかくてテープ2つがぐるぐる回っているとかそんなものなのに、なぜか今のよりすごく性能がいい感じがしましたね。本当はうるさそうだし、電気も食いそうなんですけどね(笑)。
天本:消防署の指令システムの構築で、ああいう大きなコンピュータ室みたいなのにかかわったことがあるんですよ。でも監視などのためには、もっとモニターの数は多くないといけないわけで、特撮のコンピュータは何のために動いているのか、実際に仕事をしてみると、突っ込みどころが多いですね。
橋田:司令室(※12)といえば、報告のためにテープが音を立てていっぱい出てきていたりしてましたよね。でもあれって解読もせず、出てきたテープをリアルタイムで読み取れていておかしかったですよね。だからこそ選ばれた人なのかもしれませんが(笑)。
阿川:あのときはただなんかすごいなあと思っていたんですが、何年後かに特撮で出てきた通信機器をエンジニアになった自分が直しているとは思いませんでした。
天本:司令室にいるオペレータのお姉さんとか、インカムつけてしゃべっていてかっこいいなって小さいころは思っていたんだけど、今になって見てみると、キーボードを打つ手とかおかしいんですよね。ひたすら横に動いていたりとか。あれ、エンター押してないですよ、絶対(笑)。
阿川:あの司令室って何台ものマシンが同時に動いていて、それを制御しているわけで、はずしたり、つけたりが起こったら大変だと思いますね。もっとも配線がどこにもないんですが(笑)。
天本:おまけに故障ということがない。いつでもちゃんと動いている。
木下:でも、なんかあの司令室って、いつもあちこち赤とか黄色とかの光が点滅しているんですよね。あんなにピカピカ光っちゃってて、異常はないのかと(笑)。
阿川:故障はないけど、何かあるとコンピュータから火花が散ったりするんですよね。本当にマシンから火花なんて出ちゃったら、始末書なんかじゃすみませんよ。
木下:ほかには……ウルトラマンがいるときに、ハヤタ隊員(※13)がいなくてもだれも気づかないのは何でだろうとかも思ってましたね。
阿川:あと、タチバナのおやっさん(※14)がライダーシリーズごとに商売替えをしていたのが不条理でしたね(笑)。
阿川:週末のプチ現実逃避。イヤな自分を清めて、リセットしてくれるもの。
木下:今見ても新鮮。いつ見ても色あせない魅力がある。つじつまの合わないところも多いけれど飽きないです。
天本:正しいことは正しいと教えてくれるものであるし、これからもそうあってほしい。自分の子供のころはそうだったし、嫌な事件がある今だからこそ、子供に見てほしい。
橋田:夢と現実の中間にある居心地のよいもの。昔見ていた特撮は大人が真剣に作っていて、作り手のこだわりを感じた。自分も仕事にこだわりをもちたいと感じました。 |