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200人のエンジニアが思わず異動・転職を考えた理由とは? 3年後ヤバイ!?技術力が腐る職場のぬるま湯度チェック
居心地はいいが、厳しさや緊張感のない「ぬるま湯」と表されるような職場環境。その状態に浸かりきると、意欲も技術力も落ちて、3年後エンジニアとして致命的な事態になる可能性も。あなたの職場に潜む危険度をチェックしてみよう。
(取材・文/長谷川恵子 総研スタッフ/木下ミカエル イラスト/サダヒロカズノリ)
作成日:04.12.08
PART1 200人がヤバイと感じたこの状態、あなたの職場は大丈夫?
  エンジニアとしての成長を妨げる「ぬるま湯的な職場」とは、具体的にはどんな環境なのだろう。

  Tech総研では、エンジニア200人を対象にアンケート調査を実施し、「このまま居続けると技術力が身につかない」という危機感をエンジニアにもたせ、異動や転職を考えさせた職場環境についてヒアリングした。

  今回、その結果をもとに、10コのチェック項目を作成してみた。該当するものが多いほど、職場の「ぬるま湯度」は高いかも。さて、あなたの職場はいくつ当てはまる?
 
Check1 外部に丸投げし、自社で考えようとしない風潮がある
案件の肝心なところを社内で詰めないまま外部に委託してしまい、完成後のサポートもその会社まかせ。ある意味ラクかもしれないけど、うちの会社の存在価値ってどこにあるんだろう。

■外部に丸投げばかりだから、異動・転職を考えました。
自社は曖昧な企画だけで、外注ベンダーへ丸投げを繰り返すような開発しか行っていない。そのため、システム内容がブラックボックス化し、そのベンダーなしでは、中身の修正などを行うことができなくなっている。(システム開発・34歳)
 
Check2 社員の成長意欲に水をさす。勉強しようとすると妨害される
能力を高めるために努力しているのに、周囲は、それを応援するどころかジャマするような言動。まるで「自発的に勉強してはいけない」と言われているみたいな気分になってしまう。

■成長意欲をそがれるから、異動・転職を考えました。
休日に、自費で勉強会に参加していることを話したら、そこまでしなくてもいいと言われた。(通信インフラ系・構築・33歳)
業務時間外にスタッフが自発的に開催している勉強会に対して、経営陣が無理してやらなくていいと言ったり、やめさせようとする。(システム開発・27歳)
 
Check3 (自分を含め)各メンバーが、何年も同じ仕事をしている
さまざまな経験を積んでスキルアップしていくことは、エンジニアの醍醐味のひとつ。なのに、ずっと同じような内容の仕事をさせられていて、新しい経験ができない。

■仕事内容に変化がないから、異動・転職を考えました。
同じお客さまを担当して4年間、担当が替わることがなかった。上司に担当替えの希望を伝えたが、立ち消えとなってしまった。(31歳・運用、保守)
各プロジェクト間で人を流動的に動かそうとしないため、各個人に技術が固定されてしまい、古い技術のプロジェクトに配置された人は、そのまま新しい技術を学ぶ機会を失っている。(システム開発・33歳)
 
Check4 「失敗さえしなければいい」という雰囲気が蔓延している
よりよい仕事をしようとするよりも、とにかく失敗しないことが大切だと皆考えている。安全策しか取らないために仕事がマンネリ化し、品質の向上が実現しない。

■事なかれ主義だから、異動・転職を考えました。
技術改革や改善より失敗しないほうが評価が下がらないと聞き、ガッカリした。(生産技術、プロセス開発・29歳)
「とりあえず自分たちが損しない方法」「臭いものにはフタ」的な発想がまん延している。成果をお客さまに認識していただいて初めて価値があると思うのだが。(システム開発・34歳)
 
Check5 業務改善などの新提案をしても、聞いてもらえない
業務の効率化や職場全体のスキルアップに役立ちそうな提案をしても、上司や周囲は聞く耳をもたない。あらゆる面で現状維持にこだわり、前例がないことは決してやろうとしない。

■前例主義だから、異動・転職を考えました。
「こうすればもっと効率よく仕事が進む」と上司に提案したら、「昔からこうやっているから変えられない」と言われた。社員および会社の成長は全く望めそうもないと思いました。(システム開発・29歳)
会議の中で会社全体のスキルアップ(資格取得やセミナー参加)などを提案しても、何の返答もない。(運用、保守・31歳)
 
Check6 周りに尊敬できる人がいない。優秀な人に限って抜けていく
お手本になるような上司や先輩の存在は、自分自身の成長にとって欠かせないもの。ところが、ふと気がつくと、いくら周囲を見回してもそういう人がいない(もしくは、辞めてしまう)。

■先輩・上司が尊敬できないから、異動・転職を考えました。
上司や先輩、ならびに出向先に「すごい!」と思えるような人が少なかったため、もっとほかの人も見てみたいと思って転職した。(システム開発・26歳)
年上の優秀な人がどんどん辞めていく。(システム開発・31歳)
 
Check7 上司や同僚に、新技術へのチャレンジ精神が欠けている
業界では日々新しい技術が生まれているというのに、上司や同僚には、それらを学び取り入れようという姿勢がない。こんなことでは取り残されてしまうのに、その危機感すら感じられない。

■チャレンジ精神がないから、異動・転職を考えました。
上司は、現在できることのみを守り、発展する技術を何ひとつ取り込まない。(ネットワーク設計・28歳)
メーカーとしての将来を考え、自己投資して新しい技術について学んだ結果を会社側に展開しても、全く反応すらない。(システム開発・29歳)
 
Check8 メンバーが仕事に手を抜いても、上司が見て見ぬふりをする
「そんなに頑張る必要ないよ」「まあこの程度でいいんじゃないの」。そんな空気がまん延している職場。適当に仕事をしている同僚も許されているのを見ると、まじめに努力するのが、ばからしいような気も……。

■手抜きが許されるから、異動・転職を考えました。
だらだら仕事をしている人に甘い上司を見て、この環境では成長できないと感じた。(サービスエンジニア・30歳)
お客さまとなあなあで仕事を進める上司と一緒に仕事をしているのに、だんだん慣れてきてしまい、危険だと感じた。(システム開発・34歳)
 
Check9 上司に「部下を育てよう」という意欲が感じられない
前向きな意欲も、リーダーシップも感じられない上司。会社のことも部下のことも、きちんと考えてくれている様子がなく、こちらのやる気までなくなりそう。

■こんな環境だから、思わず異動・転職を考えました。
上司のやる気のなさや、やる気があってもそれをかき消される雰囲気。(半導体設計・28歳)
「夜遅くまでやれば会社持ちでタクシーに乗れるから急いでやらなくていいよ」と上司から言われ、短時間で効率よく仕事をするという気持ちが全くないことにがっかりした。(システム開発・30歳)
 
Check10 同僚に「波風は立てないように」と勧められることが多い
最初はおかしいと思っても、いつしかその環境に順応してしまうのはよくあること。同僚はすでに、「長いものには巻かれろ」が当たり前になっていて、明日はわが身か?と感じる。

■上司の顔色ばかり見る風潮だから、異動・転職を考えました。
同僚に、「うちの会社で先駆的かつ斬新な提案をしても却下されるだけだから、上の言うとおりにすべての仕事をするのが一番てっとり早い」と言われた。会社の中にある悪癖に身を任せきっている彼を見て、大きな危機感を感じた。(研究、特許ほか・27歳)
 
Part2 経験者に聞いた「ぬるま湯環境」脱出成功のポイントとは?
実際に異動、移転は3割も
 
 Part1と同じアンケート調査によれば、「ぬるま湯的な環境を脱したい、より成長できる環境に行きたい」と考え、実際に異動や転職を経験したエンジニアは、全体の約3割もいた。

 彼らは、ぬるま湯的な環境に浸りきってしまわないために、例えば次のようなことを心がけたという。
エンジニアとして成長できない職場環境への危機感から、実際に異動や転勤をした経験は?
     
長期、短期の目標を作る
常に長期的な目標と短期的な目標を掲げ、案件に着手するときは、自分なりのハードルを設定する。何より自分の仕事に妥協しないこと。(ネットワーク設計・29歳)
社外のエンジニアと交流して、自分のレベルをチェックする
レベルの高い社外の人間と交わる機会が多いプロジェクトやワーキング・グループに参加する。社外の人間と自分のレベルを常に比較して自分が至らないことを実感することが重要。(システム開発・31歳)
技術の最新動向を見逃さない
普段から最新技術動向に注目しておく。専門分野をひとつは作り、その分野のウォッチや技術を磨くことを常に心がける。(システム開発・34歳)
 
どの人からも、職場の雰囲気に流されずに自分を磨いていく努力が感じられた。

実際に異動や転職をするかどうかは別として、常に危機感をもち、エンジニアとしてフレッシュな自分を保つこと、これがぬるま湯的な職場における最大の自己防衛策になりそうだ。
エンジニアとして成長できない職場環境への危機感から、実際に異動や転勤をした経験は?
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木下ミカエル(総研スタッフ)からのメッセージ
「職場のぬるま湯体質が嫌で……」――エンジニアの方に転職の理由を聞くと、そんな回答をいただく場面が何度かあり、企画のきっかけになりました。あなたにとって「ぬるま湯的」とは、どんな職場環境ですか? ぜひTech総研までお寄せください 。

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