「今できること」を英文レジュメでPR・31歳


		「今できること」を生かすための転職とは？外資転職に向け英文レジュメでPRしたN・Mさん UNIXとネットワーク技術を扱うエンジニアとして、意欲的に仕事をしていたN・Mさん。しかし、派遣元が突然方針を変更し、キャリア中断の危機。これまで培った技術を生かすために転職を決意し、派遣先の部長に入社の希望を伝え……。 (取材・文／長谷川恵子総研スタッフ・山田せいめい)作成日：04.01.28

キッカケ編

所属する会社がUNIXと
ネットワークから撤退!?

突然の同報メール

　社長名で、全社員あての同報メールが届いた。「UNIXとネットワークの仕事をすべてやめる」という。もう決定事項らしい。

　この会社に入って1年半、採用された翌日から現在のA社に派遣されて仕事をしてきた。A社では3カ月ごとに新しい仕事を担当させられて、いろいろなものを吸収してきた。同じ会社から派遣されている人たちと比べても、僕は抜群に評価されていると思う。これまでUNIXとネットワークで稼いできたのに、これから全く知らない分野で実績をあげなければならないなんて、納得できない。会社、辞めようかな……。

まずは転職情報にアクセス

　転職の二文字が頭に浮かんですぐ、Webで転職情報を調べ始めた。でも、現在仕事をしているA社に入りたいという気持ちも強い。

　A社を志望する一番の理由は、外注と社員の差をあまりつけない会社だからだ。「使う」というより「手伝ってもらう相手」という対応で居心地は最高なうえ、管理されている感じもあまりしない。もちろん福利厚生の差はあるが、社員と同じようにアメリカ本社でもトレーニングを受けられるし、自分から教育を受けたいと手を挙げることもできるし、スキルアップ環境が素晴らしいのだ。

転職準備編

気合を入れて英文レジュメ作成

A社の部長に打診

　A社の所属部門の部長と飲みに行き、正社員として入りたいことを話した。部長は、「外注先の社員を採用した実績がないからなあ」と言いながらも「うちの部門としては、全然知らない人をリクルーティングするよりも君に来てほしいと思う」と言ってくれた。

　1週間後には、部長から話を通してもらった人事部門から連絡が来た。英文のレジュメと和文の履歴書を提出するように言われ、派遣元の会社はこのことを承知しているのかどうかを確認された。最後の点については、メールが届いて3日後に会社に転職の意思を伝え、了解されているので問題ないことを伝えた。

できることを全力でアピール

　英文レジュメでは、アメリカの大学で学士を取っていて、英語が使えることをまずアピールした。A社の社内システムを構築する際、世界中に何十台もあるメールサーバーをひとつにまとめるに当たって、日本のポジションを担当したことなど仕事の成果も具体的に書いた。レジュメに力を入れたので、履歴書はごく形式的に書いたのみ。

PROFILE

外資系ソフトウェア会社
ソフトウェア・ネットワーク・プロトコル担当

N・Mさん（31歳）

アメリカの大学の経済学部を卒業後、外資系輸送機器メーカーを経てソフトハウスに転職し、外資系ソフトウェアベンダーでネットワークエンジニアとして技術を磨く。2000年6月、派遣先の会社に転職。

N・Mさんの転職活動DATA

前勤務先	(業種)ソフトウェアベンダー(職種)ネットワークエンジニア
転職した時期	2000年6月
活動期間 (決意～退社)	約90日
転職理由	会社の方針変更で、これまで培った技術が生かせなくなったため。
会社選びで優先したこと	英語が使えること、UNIXとネットワークを扱えること、給与水準
実際に応募した社数	5社
内定社数	1社
落ちた社数	0社
辞退した社数	4社

応募からの日数 A社(外資系ソフトウェア会社) B社(外資系ソフトウェアベンダー) C社(外資系ソフトウェアベンダー)
	A社	B社	C社
1次面接	14日	10日	10日
2次面接	28日	15日	（辞退）
最終面接	38日	（辞退）
内定	48日

就職斡旋会社も利用

　的を絞りすぎるのもよくないと思い、留学生のときにお世話になった斡旋会社にも紹介を頼むことにした。A社と同じように、これまで経験した技術と英語が使えて、給与もある程度の金額を確保できるところを希望した。目標は年収で100万円アップだ。

活動編	緊迫感あふれる面接を乗り越えて

B社の面接…話が違ってる

　終業後、斡旋会社に紹介された外資系ソフトベンダーB社の面接。製品がよくできているので、この会社にも魅力を感じている。人事の中途採用担当の人が出てきて、どんな仕事をしているかなど、軽い質問をされた。しかし、募集職種がサポートやフィールドのエンジニアと聞いてガックリ。僕としては社内インフラを見ていたいので……。でも、一応やる気は見せておいた。

C社の面接…可もなく不可もなく

　終業後、今度は外資系ソフトベンダーC社の面接へ。面接は、ごく普通のインタビューという感じ。関連部署に僕のプロフィールを流して、ピックアップされたら連絡をくれるとのこと。

　2社の面接を終えて「ちゃんとした会社に入るのは大変だなあ」と思った。転職サイトを見る時間も増えてきたこのごろだ。友人・知人から業界内の情報もいろいろ集めて、これもかなり役に立っている。

A社の面接で疲労困ぱい、でも結果は

　A社の二次面接。一次はよく知っている人事の人だったし、英語力については「TOEICの点数なんかより、ここでしゃべってみせればわかるでしょう」という強気の対応もできた。しかし、二次の相手は、今までチャレンジした人をことごとく落としてきたという取締役本部長。「うちの会社の中身を知ってるから、入ってきたらもっといいものが作れるよね。どういうことができるの？」などと鋭い質問を連発してくる。「外資だけど英語のできない人が多いから、英語を話せる自分は潤滑油になれる」などと一生懸命答えたが、かなりつらかった。かと思うと「車は何乗ってるの？」などと柔らかい質問もしてきて、かなり振り回された。

　どっと疲れてオフィスに戻ると、夕方になって、人事担当者から「たぶん大丈夫だよ。三次は顔見せ程度でOK」と連絡をもらってビックリした。これでほぼ内定だ。