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逃げるか? 仕切るか? エンジニアの時間を守る、ムダ会議撲滅作戦 逃げるか? 仕切るか? エンジニアの時間を守る、ムダ会議撲滅作戦
逃げるか? 仕切るか? エンジニアの時間を守る、ムダ会議撲滅作戦

(イラスト/トミタ・イチロー)
逃げるか? 仕切るか? エンジニアの時間を守る、ムダ会議撲滅作戦

会議、会議、会議……毎日、会議に追われて自分の仕事ができない!と憤るエンジニアは少なくない。本来の仕事を守るためにぜひ身につけたいのが、ムダ会議を制する術。ここではエンジニアたちの実体験から導き出された、ムダ会議撲滅のノウハウの数々を紹介しよう。
(文/石川れい子 総研スタッフ/根村かやの) 作成日:04.01.21
Part1 エンジニアが悩む「ムダな会議」の実態
 今回の企画にあたりTech総研では、25〜39歳のエンジニア100人にアンケートへのご協力をお願いした。
 その結果、エンジニアが1カ月に出席する会議の回数は平均で6.2回、1回の会議時間が平均79.3分。各人の平均をとると、1カ月あたり508分もの時間を会議に費やしていることになる。ちなみに、回数の最高は1カ月30回(毎日会議なんでしょうねぇ……)、1回あたりの最長時間が360分(ってことは一日中、会議?)。1カ月のうち最も長時間、会議に出席していた人で実に5400分(!)となった。
会議の半分以上はムダ?
 エンジニア自身はいったいどのぐらいの会議をムダだと感じているのか、尋ねてみたのが[グラフ1]。

「50%ぐらいはムダだと感じる」までで過半数、「30%ぐらいがムダ」と答えた人まで入れると84%が、会議を頻々とムダだと感じている。職種でみると「運用・監視・保守・テクニカルサポート」「品質管理・製品評価・品質保証・生産管理」「汎用機系システム開発」、業種でみると「サービス業」「素材・医薬品メーカー」において不満度が高い。
[グラフ1]会議のムダをどの程度感じますか?
「メール・BBSで十分」「議題もないのに慣例化」……
 では、どんなときにムダだと感じるのだろうか([グラフ2]複数回答あり)。
 最も多かったのが、「メールやBBSで十分にすむ内容だったとき」。次に多かったのが「自分の仕事に関係のある話がほんの少ししか出てこなかったとき」。続いて「定例化していて、特に議題がないのに開かれたとき」。
[グラフ2]どのような状況で、ムダと感じたのでしょうか?
 ムダな会議に出るぐらいなら何がしたかったか?と聞けば、ほとんどのエンジニアがデータ収集、フローチャート、実験など、「たまった仕事を片付けたかった」と回答。中には日ごろの働き過ぎがたたってか、「早く帰って寝たかった」という人もいた。たまりかねて「会議をサボったことがある」人も、100人中29人いた。
ムダ会議撲滅に取り組む職場はたったの3割弱
 職場でムダな会議を減らす努力がされていると答えた人は26人。決して多いとはいえないが、その結果、ムダな会議が「かなり減った」「少しは減った」との回答が25件。ムダ会議撲滅の努力は、ほとんど必ず報われるものなのだ。ではアンケートから挙がってきた各職場での努力の内容と、エンジニアたちの工夫、また匿名インタビューから抽出された秘策をPart2で紹介する。
Part2 実践・実証ずみ! 「ムダな会議」の撲滅法
作戦1 選んで会議に出る作戦 〜「回数の多さがムダ」な会議を撲滅!〜
 匿名インタビューに応じてくれたH・Aさん(33歳)は、大手電機メーカーのネットワークシステム開発リーダー。「勤務時間の5割近くが会議。さらにそのうち半分が部外との調整。呼ぶ会議より呼ばれる会議が圧倒的に多い」と言う。
 そんなH・Aさんにとっては会議に出席する回数そのものを減らすことが、ムダ会議撲滅への第一歩。1回の会議の時間は短くても回数が多くて困っている人に参考になる作戦を実践している。
「会議召集のメールがきたら、まず議題と召集されているメンバーを見る。メンバーは、必ず出席してほしい“マスト”と、できれば出席してほしい“ウォント”に分けて記載されていることが多いので、自分の名前がウォントに入っていたときには議題によって出欠を判断」している。議題や会議を開く目的、マスト/ウォントが明確でない場合には、会議の主宰者にメールで問い合わせる。
「召集した人、された人の中に、『この人がいると話がそれてしまいがち』『進行の要領が悪くていつも会議が長引く』などの、いわゆるブラックリストの人がいる場合は特に念入りに確認している。またウォントなら全部欠席していいかというとそうでもない。話を聞いておかないとあとで困る案件もあるし、欠席裁判で思いもよらない仕事が振られたりすることもあるので、怪しいときにはなるべく出席している」と言う。
作戦2 サボり作戦 〜「だらだら長くてムダ」な会議をかわす!〜
 欠席するならするで、あらかじめその意向を主宰者に伝えておくのが本来の手順ではある。が、そうは言い出せない雰囲気だったり、切羽詰まってから仕事が押してしまったりということもある。そういうときには、出なくてもよさそうな会議はサボる。
 サボり方にもいろいろある。なるべく波風立てず、サボっているふうには見えないサボり方を工夫しなければならない。
 アンケートを見てみよう。最も一般的なサボり方は「忙しいふり」で、これは何人もの人が使っている手だ。緊急の用件、それも客先が絡むものであればさらにサボりやすい。ということで「火急の客先対応があるふり」(システム開発・35歳)、「トラブル対応があるといって欠席(実際対応があったのだがすぐに解決)」(機械設計・29歳)。大きな会社であれば、「別のほうで重要な会議があることに」(素材関連・37歳)しても、バレることはあまりなさそうだ。
 とりあえず出ておいて、中抜け、早退という手もある。例えば「会議中に電話がかかってきたついでに外へ出る」(社内情報システム・29歳)。と言いながらこの人は月に30回の会議に出ている。「電話が長引いたふりをして会議に戻らない」(品質管理・30歳)。会議のたびに時間がかかって困っているなら、誰かに頼んで適当なころ合いに電話を入れてもらえばいい。
 会議室にいながらにしてサボる方法もある。「聞いているふりをしながら自分の仕事をする」(機械設計・29歳)、「ほおづえをついてうたた寝。あとで議事録を読んだ」(パッケージソフト開発・27歳)は誰でもやりそうなこと。さらにもっともらしくするには、「パソコンを開いて議事メモをとるふりをしながら仕事」(システム開発・37歳)するのがいいかもしれない。ただ寝るより効率もアップする。
作戦3 進行度合いのビジュアル化作戦 〜「自分に関係ないからムダ」な会議を回避する!〜
「出るなら出るで、遅刻しない」。もう1人匿名インタビューに応じてくれたM・Kさん(自動車メーカー・装置開発・29歳)のモットーだ。「遅刻者、欠席者がいると決めなければいけないことが決められなくなったりして進行に支障が出る。開始が遅れると終わりも遅くなると思えば、遅刻者には特に腹が立つ」と言う。心当たりのある人は、肝に銘じておこう。
 先のH・Aさんからは「レジュメに、タスクごとに時間のめどを記入して配っておく」という策が挙がった。こうしてもらうと、大事な案件にさしかかったら途中から会議に出るということも可能だ。自分の仕事に関係のある話がほんの少ししか出てこなかった……と悔やむことも少なくなるだろう。
 実際、会議が始まったら、「出された問題点や意見を、どんどんホワイトボードに書き出していく」(M・Kさん)。こうすれば、「議論が堂々巡りすることも防げるし、言った言わないで争うこともなくなる」。議論が先へ先へと進めば、その分早く切り上げることができるわけだ。
 アンケートには、「会議の開始・終了時間をあらかじめ話し、時間を皆に意識してもらえるように時計を見やすい位置にセットした」(品質管理・32歳)という工夫もあった。
 M・Kさんは「長引くと集中力が落ちるので、仕切り直して別の日に集まるのも有効」と言う。場の雰囲気によっては言い出しにくいかもしれないが、あるときM・Kさんが「これ以上話がまとまらないならもう終わりにしませんか」と提案したら、議長が慌ててまとめ始めたということもあった。
 また、時間制限をつけるのも手早く終わらせるコツだ。M・Kさんの職場は会議室の使用時間が最長2時間と決められており、それ以上長引く場合にはまた新たに別の会議室を押さえなくてはならない。いやおうなく終わらせるために、「次の用事を入れておく」(社内情報システム・29歳)のもいい。
作戦4 事前の準備作戦 〜「目的がなんだかわからないムダ」を撲滅する!〜
「会議の回数を減らそう、時間を短縮しよう、と掛け声だけ掛け合っても具体的に何をするべきかをみんな知らない。そういう訓練を受けていないからダメなのでは」とM・Kさんは考える。そんなM・Kさんからみて最も重要なのが、会議前の準備だ。アンケートでもこの点の重要性を指摘する声は非常にたくさん上がっていた。
 まずレジュメ。「紙1枚程度にコンパクトにまとめる」(素材関連・36歳)といい。これで目的をはっきりさせること。会議ごとにこれを実行すれば、議題もないのに定例化してしまった会議や、何についてどこまで話を進めたらいいのかわからないまま長時間化する会議は、なくなるはずだ。
 また、会議の目的に合わせて必要な人だけを呼ぶことも大事な要素。出席者が多いほど話がまとまらなくなる、ということは実に多くの人が言っている。人数がどうしても多くなってしまいそうなときには、「事前にアンケートをとっておく」(テクニカルサポート・35歳)。
 呼ばれることの多いH・Aさんは、「技術資料は最初にきちんと作って、あらかじめ配布しておく」ようにしている。「そうしないと、あとから何度も呼ばれて同じことを説明しなければならない羽目に陥るから」だ。これは回数を減らす一つの策でもある。
 さらに、エンジニアとそれ以外の職種間コミュニケーションを円滑にするために、「エンジニアと企画・営業の間に立つ人がいるといい」とH・Aさん。会議の運営というよりは組織上の課題といえそうだが、異なる職種間でのやりとりが多いプロジェクトに関しては、そのような専門のコミュニケーターを置いたほうが効率的かもしれない。
作戦5 IT化作戦 〜「わざわざ集まる意味がないムダ」は絶滅させる!〜
 ムダ会議を減らす策が講じられている職場で多かったのが、「メーリングリストの作成」。メーリングリストではムダ話もしにくいし、議事が残るという点で利用しやすいが、メールの数が増えるのが難点だ。
 そこで、社内BBSやネットミーティングを活用するという方法もある。遠隔地とやりとりする際にも、交通費や移動時間が節約できる。集まって会議をしてみたらメールですむ内容だったということは案外多いもの。高速通信網が敷かれているなら、ぜひともそのメリットを生かしたいものである。
Part3 「ムダな会議」撲滅の5カ条
 ここまでに挙げきれなかったものも含めて、ムダ会議撲滅作戦の数々は、準備、時間、回数、資材、人の5項目に集約できる。それぞれに標語を作ってみた。
その1 レジュメ作成は「ムダ」にあらず!(準備)
 何はなくともまず会議が開かれる目的を明確に認識すること。そしてその目的に沿って検討課題などを書き出し、レジュメを作る。必要な資料は事前に準備し、会議の出席者にあらかじめ配っておく。
その2 常に時計を意識せよ!(時間)
 自分の時間を大事に思うなら、会議に遅刻しないこと。会議が早く始まれば早く終わる。議事がレジュメから外れないよう注意しつつ、折に触れて時計を確認すること。
その3 出るのは必要な会議だけ!(回数)
 会議の連絡が入ったら議題とメンバーを見て、本当にその会議に出る必要があるかどうかを検討する。必ずしも出る必要はないと判断したら、思い切って会議は欠席し、あとから議事録を読んですませよう。
その4 使えるものはどんどん使え!(資材)
 メールやネットミーティングなど、共有の通信手段を使ってセーブできる会議は極力減らそう。また、会議室に備えつけの機材もうまく使ってムダ会議撲滅に活用しよう。例えばホワイトボードに意見をどしどし書き出す。OHPなどでより効果的、効率的なプレゼンテーションを心がける。
その5 人数はできるだけ少なく!(人)
 出席者が多いほど意見の集約は難しくなる。会議に必ず出席してほしい人と、できれば出てもらいたい人との区別をはっきりさせ、人数がやたらに増えないように気をつけよう。
 まず原因を究明し、その一つずつについて解決策を探って実行する。エンジニアなら当然の問題解決方法は、ムダ会議撲滅にも十分に有効だ。
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根村かやの(総研スタッフ)からのメッセージ
 エンジニアには、会議よりも大切なエンジニア本来の仕事がある。こんな簡単なことでも、「会議が仕事」という管理職や他部署の人にとっては理解できないことです。だから、エンジニアの時間は自分で守らない限り、どんどん侵略されてしまう。「欠席します」「本題からそれていますよ」と声を上げるのは、簡単ではないかもしれないけれど、勇気を持って戦うべし!
 みなさんの意見・ご感想、ムダ会議撲滅のノウハウをお寄せください。

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