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百戦錬磨の人事担当者も思わず納得!面接ベストコミュニケーション5原則

面接において自己PRや志望動機などを的確に表現する方法に悩む転職エンジニアは多い。
自分の頭の中で言いたいことは明確でも、それを短時間かつストレートに面接官に伝え、
共感を呼ぶためには、ある重要な“コツ”が必要になってくる………。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/山田せいめい イラスト/内山弘隆) 作成日:03.11.12

百戦錬磨の人事担当者も思わず納得!面接ベストコミュニケーション5原則
【起の章】 面接で勝てないエンジニアの悩み
 「わずか10分足らずの面接で、オレのエンジニアとしての力量、ましてやオレの28年の全人生がわかってたまるかっ」

――ソフト開発系エンジニア、A氏(28歳)はそう思っている。今日も「残念ながら〜」で始まる採用不合格の通知を郵便受けに発見したのだ。これで4戦全敗。「ジーコジャパンより勝率が悪いや」。

 学歴も職務経験も、人と遜色はないと思う。聞かれたことにはちゃんと答えているはず。しかし、面接担当者と気持ちのいいコミュニケーションがなかなかできないのだ。考えてみると、オレって面接攻略法、根本から間違っているのかも。ここらでちゃんと考えないと、次もダメかもなあ……。
【承の章】面接の達人が語る「ベストコミュニケーション」
 面接時のベストコミュニケーションの基本は、言葉のキャッチボール。相手が受け取りやすい球を投げながら、時には得意球やスピードを披露する場でもある。そうした観点から面接の達人たちが語る「応募者とこんなキャッチボールがしたい!」。登場いただくのは、年間1000人以上のエンジニア面接をこなす人気企業の人事担当者、中堅ソフトハウスの創業経営者、そして多くのエンジニアの面接セッティングを託されるヘッドハンターだ。
[CASE1]エンジニア人気企業の常連・Yahoo!の人事面接ヤフー株式会社 人事部人材開発リーダー 高橋義徳氏

職務経歴の語り口に、コミュニケーションの基本が
 ヤフーの面接ではまず人事担当者と現場のチームリーダークラスが1次面接を行うのが通例だ。人事がチェックするのは、基本的なコミュニケーション能力や、その人が会社に溶け込んでもらえるかどうかといった、キャラクターの判断だ。

 コミュニケーション能力の第一は簡潔で要領を得た応答。職務経歴をあらためて語ってもらうのも「必要にして十分なことを限られた時間でコンパクトにまとめて話せるか、という能力をチェックする狙いもあります」と高橋氏。なかには書類に書いているのとは全く違う順番で語り出し、聞いているほうの頭を混乱させる人もいる。ここでは話の内容だけではなく、話し方も問われているのだ。だから「職務経歴ですか? そこに書いてありますけど」という答えはいただけない。

「C言語は何年やってこられましたか?」という質問に「3年と3ヶ月です」、以上終わり、では、質問の意図を読み違えていることになる。単に年数を知りたいのではなく、その中でどんなレベルの仕事をこなしたのか、どんなスキル向上があったのかを、語らなければ合格点は出せない。

「なぜヤフーに応募されたのですか?」「高いスキルの技術者が大勢いると思いまして」「それは他社にもいえることですよね。その中でもなぜヤフーを?」「やっぱり、高いスキルの……」と堂々巡りで、何度聞いても具体的な志望動機が語れなかった応募者もいた。

 反対に「Yahoo!メッセンジャー」というソフトにほれ込んで、家に帰っても研究を重ね、ぜひこのサービスの担当になりたいと話した人もいた。熱意が伝わる面接だったという。「ほんとうに事業や技術にほれ込めば、熱意は隠そうとしても現れてくるものなんですね」と高橋氏は語っている。

[CASE2]時間をかけた面談で信頼を得ているヘッドハンティング面接株式会社クライス&カンパニー シニアコンサルタント 奈良元生氏

「なぜなら話法」で論証するやる気とスキル

 企業からの依頼を受けて最適な候補者を探し出す、いわゆるヘッドハンティング。ヘッドハンターたちに採用権限はないが、その人物の長所を見抜いて企業側に推薦するという重要な役割を担っている。

「推薦状は現在、たいていメールです。応募者の履歴・職務経歴書なども添付するんですが、そのとき私からの推薦の弁を簡単にコメントしておきます。それを読んで、人事担当者が履歴書を開き、会ってみようかという気になってもらうことが大切」というのは、クライス&カンパニーの奈良元生氏。

 つまり、その人のキャッチコピーを考えて、企業に売り込むのだ。だからこそ、ヘッドハンターとの面談では、彼らが自分を推薦しやすいように、候補者も自分の職歴やスキルを要領よく語る必要がある。「できたら、Javaで何万ステップのプログラムを書いたなどと具体的な数字で示してくれると、売り文句を考えやすい」ということだ。

「あの会社の仕事はかなり厳しいですよ。やっていけますか?」という問いに、たいていの候補者は「大丈夫です」と答える。しかし、ヘッドハンターが知りたいのは「なぜ、そういうことが言えるのか」という理由。「『なぜならば……』という証拠を、過去の自分の職歴の中から引き出して語ってほしい。それがないと単なる安請け合いと取られてしまいます」。いわば、ファクト(事実)に基づいた科学的な論証。これが技術者らしい面接話法ともいえる。

 従って、質問の意図を理解しない人、やたらダラダラと話が長い人、自分のスキルを整理できていない人は、なかなか推薦しにくい。専門技術を得意げに話すのは悪くはないが、マネジメントも求められる世界では技術おたくだけでは難しい。「なかには、話す内容は的確なのに、返事の態度が横柄だったり、やる気のないそぶりで相手の誤解を招いてしまう人もいます」と、奈良氏は話し方にも前向きさを感じさせる工夫の大切さも強調している。

[CASE3]ソフトウェア業界で着実な成長を続ける中堅企業の役員面接アイアンドエルソフトウェア株式会社 代表取締役 吉岡 朗氏

「人生哲学」を感じる熱い言葉を期待
 社員80人の中堅ソフトハウス、アイアンドエル。適性テストをパスした全員に社長の吉岡氏がじかに面接する。面接にあたっては社長自らが作成した70項目以上の面接評定表が使われる。「当社への応募は業界未経験者や経験の浅い人が多い。それだけにこれからの成長性を客観的に把握したいし、私個人ではなく、企業としての理念にも同感してほしい」――そういう理由からだ。

 なかには「前職では同期の中で仕事ができるほうだと思っていたか」「退職するとき引き留められたか」など、ズバリ本質を突く質問も含まれる。たとえ引き留められなかったのが真実だとしても、そこで見栄を張るのではなく、「それはこういう理由だと思う」というように、「自分の頭で答えを見つけてくれることを期待している」と吉岡氏。

  また、「コンピュータ専門誌は何を読んでいますか」という質問の背景には、「経験の浅い人でも、独学で勉強しようという意欲のある人はどこかが違う」という氏の経験則がある。こうした意欲のある人なら、入社後の厳しい仕事、激しい技術革新にも追いついていけるのだ。

 同社のエンジニアは顧客のもとで仕事をすることが多いので、「顧客に好感をもってもらえるかどうか」が人物評価の第一のポイント。
「答えが明確でなく、語尾がもやもやとしている人。途中でだんまりになってしまう人。残業時間ばかり気にする人」などは、なかなか社長面接をクリアできない。

 逆に「新しい仕事で一生メシを食っていきたい」というような、その人の前向きの人生観がにじみ出るような答えには、社長も思わず身を乗り出すという。「これまでの人生を踏まえ、これからはこう生きていきたいという“哲学”。それを語るのが面接なんじゃないでしょうか」。

【転の章】 なぜコミュニケーション能力が重要なのか
 最近の面接では、応募者の増加による面接時間の短縮化コミュニケーション能力を重視する傾向がますます強くなっている。「強い組織をつくるためには、常に先を読んで自立的に行動できる人が求められている」(クライス&カンパニー・奈良氏)からでもあるし、社内外のさまざまな人とコラボレーションしながら仕事をする機会が増えてきたという事情もある。

 面接で何を語るかといえば、基本は「過去」に何をやってきて、「今」何がやりたくて、「将来」どうありたいのか、ということ。これが伝わらなくては、何のための面接かという、本来の趣旨を見失ってしまう。

 技術を生業にするエンジニアにとって、その技術の客観的な判断材料として、スキルやキャリアの詳細を説明することが重要なのは間違いない事実。ただしそうしたスペックを論理的に説明することだけを重視するあまり、「一緒に仕事がしたい!」と面接官に思わせる、いわゆる感情的なアピールがおろそかになりやすいケースも多いようだ。

 また、ヘッドハンターや人事にはわかりやすく技術をアピールし、技術者同士では突っ込んだ専門的な会話で熱意を伝え、経営陣との対話では企業理念と自分の人生理念をすり合わせる――といった状況ごとの話し方の使い分けも必要になるかもしれない。

 こうした場面ごとの話し方を学ぶうえでは、言葉のプロからのアドバイスも参考になる。金子みすゞの生涯を描いた『明るいほうへ明るいほうへ』(TBS)やドキュメントドラマ『北朝鮮拉致』(テレビ東京)などのシナリオで知られる脚本家の清水曙美氏は、「目の輝き、真剣な表情といった非言語的コミュニケーションも不可欠。そのうえで、その会社に入った自分を想定して、社員になりきった気持ちで、何をやりたいかを語っていくべき」とアドバイスしている。

「言葉のキャッチボールのためには、相手に興味をもつことが前提」という清水氏の指摘は、面接の基本にも通じる。まずは転職先の技術や人物に強く興味を抱かなければ、“ベストコミュニケーション”は不可能なのだから。
【結の章】 面接ベストコミュニケーション5原則
 今回の取材を通して見えてきた、面接時の「ベストコミュニケーション」を成功させるポイントは次の5項目。現在連載中の「面接現場の舞台裏」とあわせて、今後の面接のご参考にしていただきたい。


【面接ベストコミュニケーション5原則】

その1
ファクト(事実)に基づいた科学的な論証

その2
目の輝き、表情、姿勢など非言語コミュニケーションで
場を盛り上げる

その3
「過去」に何ができて、「今」何がやりたくて、
「将来」どうありたいのかを明言する

その4
トラブル事例も、そこから脱出したエピソードを語れば
プラス・ポイントに

その5
熱意のあるコミュニケーションは、
相手に対して興味をもつことからはじまる
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山田せいめい(総研スタッフ)からのメッセージ
山田せいめい(総研スタッフ)からのメッセージ
今回の取材でそれぞれの面接担当者のおっしゃる内容に共通するのは、「こんな人と一緒に仕事がしたい!」という強い思いが、言葉の節々にさりげなく意思表示されていることでした。だからこそ応募者側もその思いにこたえるために、自己 PRや志望動機をもっと積極的に意思表示していくことが必要なんだとあらためて実感しました。ぜひみなさんのご意見をお聞かせください。

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