組織には守るべきルールがある
上司がなぜ反対すると思う?上司のことをないがしろにして、勝手なことをやっているから、いちゃもんをつけられているとあなたは思っていますよね。しかし、違う見方をすれば、あなたは直属の上司に疎まれるようなやり方をしているとも言えるよね。僕に言わせたら、あなたのやっていることは会社員であることを放棄しているようなものだね。
縦社会のヒエラルキーがある組織の中で何かを始める時は、必ずルールがあって、それにのっとって進めなければ、うまくはいかないんです。そもそも、あなたのやりたい事業が本当に会社にとっていいことなら、他の社員だって集まるし、上司だって推してくれるはずでしょ。上司にダメと言われたら突破できないんです。力ずくでやろうとしたら、7人全員解雇されることだってあるかもしれない。
あなたくらいの年齢だったら、新しいことを始めようとする時、だいたい現場に理解のある上司が、「こいつは何かやれそうだな」と見込んで、知恵をつけて突破させてくれるものなんです。そういう味方になってくれる上司もいないのに、自分でチームを組んでリーダーに立つなんて、10年早いんじゃないかと思うよ。
上司への説得材料を揃えることからスタート
よく、女性が開発した商品が大ヒットしたという話題が出るけれど、それだって、「彼女ならやれそうだ」という女性社員に上司が開発を命じて、会社全体にコンセンサスを取りながら、女性社員が成功に導いたように演出していくんですよ。僕もエジプト学という新しい学問をつくる時、まず仲間を集め、本来はエジプトの専門じゃない教授にお願いして、専門家になってもらったんです。
一方、何としても実現させたいと自信満々の新規事業なら、会社を仲間と飛び出して、退職金をもらって、その事業をやってみればいいじゃないか。でもね、20代の勢いで新しいことをやろうとしても、精神論だけでは、ほとんど失敗するのが現実です。
だから、上司をちゃんと説得して、納得してもらえるようなやり方を考えてみることだね。本当にその事業が会社のためになるのか、商品を買った人が喜ぶのか、7人仲間がいるんだから、知り合いや街中でアンケートなんかを取って、「これだけ数多くの人がいいと言ってます」という、リサーチ結果を出してみる。そうやって説得できる材料を集めることからだね。