頑張りに見合った報酬と、勝つ味を教える
ポイントはふたつあるね。まずひとつめは、メンタル面で部下が満足できる報酬をきちっと与えること。人間は自分のプラスになることにしか動かないんだよ。それは俺にも経験がある。20代のころ、給料のいい会社に雇ってもらえなくて、自分で何か商売をしようと、いろんな仕事を試したの。ちょうどそのころ、チェーンの弁当店ができて、「これだ」と思ってさ。そこで3 カ月間、2店舗の雇われ店長として働いたの。
だけど、そこでの月給は15万円。娘3人をプロゴルファーにしようと考えていたから、とても生活していける額じゃない。そこで、社長にこう言ったんだ。「頑張って売るから、売り上げの5%を報酬としてくれないか」と。そのころ、店の売り上げが月250万円くらいだったから、300万円売り上げれば5%で 15万円。会社としても悪い話じゃないでしょ。だけど、社長が「それはできない」と言ったんだ。だから俺は会社をすぐ辞めて、自分で弁当屋を始めたの。
そうやって、頑張っただけの報酬をもらえなければ、人は会社のために動かない。当然、営業成績は伸びないし、長続きだってしないさ。言葉で励ましたり表彰するよりも、報酬の仕組みさえ変えれば、絶対にやる気が出てくるはず。会社員といっても、あなたを含めてみんなが個人事業の社長にならなきゃいけないの。あなたもほかの支部長がやらないようなことをやらなくちゃ駄目だよ。例えば、部下が商談を決めて来たら、その場でポンと10万円を渡したっていいわけ。
うちの娘のさくらは、小学校5年生のときからゴルフで勝つ味を知ってる。そういう味を知ってる人間ほど努力するもんなんだよ。営業も全く同じ。だから、部下に勝つ味を味わわせてあげなきゃいかんの。仕事でも人生でもいいかげんだったり、投げ出すような奴は、おいしい勝ち味を知らないわけよ。それに加えてね、人間は3年の周期があって、誰でも人生の中で3年間は必ずいい時があるし、反対に悪い3年間もある。そういった自分の人生のリズムを把握して、ちゃんとリズムに乗るようにしないと駄目なの。
いい食事にすれば、いい仕事ができる
それから、もうひとつは人間の基本を教えてあげないといかんね。人間の基本はと言えば「食事」。ラーメンや焼き肉なんかばっかり食べていたら、中性脂肪が増えて健康状態が悪くなってくる。食事によって人間は体だけでなく脳をやられるんです。俺はあなたと同じ32歳のときに脳梗塞で倒れたんだけどさ、食事が偏っていたんだよね。40日間手足がしびれて入院したし、そのはころは当然、いい仕事なんてできなかった。いい食事をすれば、いい体になってちゃんと考えられるし、いい仕事だってできる。それは俺も経験済みです。
家庭にいる時間より、会社にいる時間の方が長いんだから、会社の仲間はみんなファミリー。支部長はファミリーの中のボスなんだからさ、体にいい食事のことも勉強しなきゃいけないし、煙草も酒も飲み放題で偏った外食ばかりしないように指導しなきゃいけない。ちゃんとした食事をすること。そして、メンタル面はきちんと見合った報酬をあげること。そのふたつだけで、あなたは支部長としていい結果を出せるはずです。