会社とは「はかないもの」です
「恐ろしくなった」という感覚は正しい。早く気づいてよかったと思いますよ。あなたを絶対に守れるという能力は会社にありません。会社が永遠に続くわけでもなければ、社員を必要としなくなることもある。たとえお互いが必要としていても、倒産することだってある、はかないもの。「守ってもらう」という感覚でいてはダメなんです。
40代の先輩が、かわいそうな目に遭ったのかもしれないけれど、その人が成果を上げなければ、残念ながら「まじめに頑張っている」というだけで、会社は評価してくれません。内閣府の生活意識調査を見ても、「成果を上げるより、努力を評価してほしい」という人が多いという結果が出ていますが、それはあくまで希望であって、世の中の仕組みはそうではないのです。
じゃあ、どう自分の身を守るかというと、会社ではなく、自分の中に「安心」をつくる。つまり人材価値のある自分になればいいわけです。転職市場でいうと、「客」か「スキル」のどちらかを持つ。例えば、営業職であれば、転職しても自分を通して商品やサービスを買いたいと思う「客」をどれだけ持てるか。それが最大の人材価値になります。
一方でスキルについて、僕の場合、運用が専門ですが、何度も転職をした自分の職務経歴書を見て「これじゃあ、何ができる(=運用のスキルがある)のかわかってもらえない」と感じたんですね。なので、スキルを磨きながら、「一冊は運用の本を書かなくちゃ」と思い、経済雑誌に投稿しながら本を書くチャンスをいただいた。外資勤めで忙しかったのですが、本を書くことで、会社の看板に頼らない自分個人の「看板づくり」をしたんです。
会社と「取引」できる材料を自分で持つ
ですから、あなたもまずは今の顧客を持って営業を続けるのか、営業ではないスキルを身につけたいのか、やりたいことは何か。また、それをやったとき、自分にはどういう価値がつくのか。自分の棚卸しをしながら、しっかり考えてみることです。せっかく気づいたのだから、このまま漠然と時間を空費せず、2〜3日集中して徹底的に考え、自分の価値について答えを出してみるといいと思います。
その際、5年、10年というスパンでは、先を見通すのも難しいので、2年を目安にしてみる。今の会社にいるにしても、転職するにしても、そこで2年頑張ったとき、どういう自分になっているか、客かスキルを持っているかなど、最大限の想像力を働かせてみることです。会社に雇用されて「頼る」のではなく、会社に十分貢献して「取引」できる材料を持つ状態をつくること以外、安心はあり得ないのですから。