最大の壁はあがり性と決めつけていること
人は慣れていない場面に置かれると、特に緊張するんよね。例えば、ギター持ってるとガンガン演奏できるのに、ギターを持たないときは、緊張してしゃべることもできないとか、役者さんがセリフのあるときはぶわーっとしゃべれるのに、セリフのないフリートークになった瞬間、緊張するとかね。いつもは10人の前でしゃべっている人が1000人の前に出ると緊張するとか。それらは、その人にとって非日常で、普段と違うからやね。
だから、とにかく演じる! 今まで恥ずかしがってた自分じゃないと思って変身するんよ。君の最大の壁は「自分があがり性や」と決めつけてしまっていること。「苦手です」と言葉にしたり、思い込んだ瞬間、実際に全身の筋肉が緊張しだし、身も心も苦手モードになってしまうんよね。
コンビニだってメイドカフェだって、店に行って制服を来てアルバイトとして演じているから、決まったサービストークと笑顔ができる。つまり君も会社の営業のスタッフという役を演じて、どういうストーリーかを描き、どういうシナリオを書いて演じるか、自分で練習を重ねたり努力をする必要があるんよね。その努力をすると小さな自信が芽生えてくる。それで一回成功すると、自信の芽がぐっと伸びるから、後はどんどんその芽を伸ばせばいい。
こんなによくしゃべる仕事をしている僕でも、初めての仕事は緊張するし、たとえ非日常じゃなくても緊張するんよ。僕は出たとこ勝負の生放送ばかりやから「うまくいくかな」と、毎回緊張してるんですよね。ミュージシャンだって、ライブは毎回ものすごく緊張して怖いって聞くからね。だから君だけやないんよね。
自分に集中する、そして緊張の空気を破る
緊張を抑える方法は、自分に集中すること。「人前に出たらみんなのことをじゃがいもと思え」とか、「人って字を手のひらに書いて呑み込め」って言うでしょ。それは外側のことに気を取られずに、自分自身に集中しろって意味なんよね。ここは居酒屋や、と思って人前に出るのもいい。居酒屋やったら周りを気にせずしゃべれるでしょう? 要はじゃがいもとか居酒屋とか、そう思おうとしている自分に神経を集中させればいいんよね。集中させる方法は人それぞれなんです。
あと「緊張の空気をぶち破る」って方法がある。例えば、高校球児のピッチャーが、大観衆の中でものすごく緊張してる甲子園での第一球目、たまにわざと初球をバックネットの上のほうに向かって大きく外して投げる。それを見た大観衆が「わーっ」って驚くことで、ある種の開き直りができて「観衆は自分のもの、こっちの勝ちや」と思えるようにする。それと同じで、硬くならないように、人と会ったときの第一声は「どうも!こんにちは!」って、大きい声でぶつかって、空気をぶち破る。それができれば、そのままのテンションをキープすることに集中すればいいと思うよ。苦手意識を取り除くというよりは、少しずつでいいから自信の芽を育てて、大きくなった自信で苦手意識を包んでしまえ〜!って感じやね。