あなたが防波堤になってみる
怒鳴られてばかりいると士気は下がってしまいますよね。こういう無茶なことを言って怒る人は往々にしているんだけど、その人と同じ土俵に乗って、腐ったリンゴになっちゃあいけませんよ。31歳ということは、あなたも中堅どころのはず。他のメンバーが、あなたに対して何とかしてほしいと期待しているんじゃないかと思うんです。だから、まずはメンバーのやる気をどうすれば起こせるか、考えてみるのがよいのではないでしょうか。
こういったチームの配属は、ずっと同じではありませんよね。継続して一緒に仕事をしていくわけではなく、いずれディレクターだって替わっていくでしょう。だから、短期間の闘いなのだと割り切り、難しい人間にどうチャレンジするか取り組む気構えも大事。ディレクターが怒っていると「ああ、また怒ってる」とメンバーが萎縮しますよね。その時、あなたが間に入って防波堤になるんです。何もバンバン言い返して喧嘩するわけじゃなくて、コミュニケーションをしていけばいい。実際に闘っちゃあいけないんだけど、これはある種の闘いなんです。
同じ怒鳴る人でも、感情的になることが単にクセになって一過性の人もいれば、怒鳴り始めてしまったことで後に引けなくなってしまう人もいます。なので、本心から怒っているとは限らない。怒鳴られた時こそ、意表を突いてニコニコしながら話してみると相手は驚きますよ。コミュニケーションできる絶好のチャンスでもあるわけです。あなたが怒鳴られ役に徹して、怒鳴られ上手になってしまうという手もいいと思います。
嫌な相手に向かうのは山を登るようなもの
コミュニケーションを取るには、相手のいい面を見つけていこうとする姿勢が大事です。「嫌なヤツだな」と心の中で思っていると、絶対に相手もこちらを向いてくれない。僕もサラリーマン時代、名前も覚えてもらえない、相手にされないような代理店に、毎日通ったことがありました。先輩からも「あそこを相手にするのはやめろ」と言われていたのだけど、どうしてもくやしくて「この人と絶対飲みに行くようになろう」と心に決め、通い詰めて、ついに半年後、「今日は暇かい?」って誘われた。嫌な相手からは逃げちゃいけないんですね。それは目の前にある山を登っていくようなもので、登れることができたらそれは嬉しいし、得るものも大きい。
僕もいろんなタイプの上司に仕えましたが、誰にでも必ずいいところがあるもの。自分だったらその人たちのいいと思う部分をすべて兼ね備えた上司になりたいと思ってましたね。このディレクターにもいいところがあるはず。それをあなたが見つける努力をしながらメンバーの砦となってあげれば、きっと変化が表れますよ。