相手を哀れみ、淡々と仕事をこなせばいい
随分と嫌な思いをしているようですが、辞める必要はないでしょう。もし、「死んでしまいたい」と思い詰めるほど部長が嫌なのであれば、辞めたほうがいい。でも、世の中には、こういったパワハラや暴力のような形でしか、自分の言いたいことを表現できない人がいるのも事実。悲しいことだけど、そういう人はどこにでもいるんです。
昔、学校の先生からこんなことを言われたことがありました。もし、いじめられたら、まずは自分に原因がないかをよく考えましょう、と。そして、その原因に気づいたのなら直す。ただ、原因が何も思い当たらないのなら、その相手を「かわいそうな人だな、理由もないのに、いじめることしかできないなんて」と、哀れんであげなさいと。そうすれば腹も立ちませんよね。あなたも心の中でこの上司を哀れみ、自分の仕事を淡々とこなせばいいことです。
それに、あなたの上司はこの部長一人じゃなく、ほかにもいますよね?相談できる上司や先輩はいないんでしょうか。私の場合、タレント活動をして迷惑をかけている面があるにもかかわらず、勤務先の病院の先生たちが味方になってくれるので、とても助かってます。ただ、こちらも日ごろから相手に心を尽くしていないと、味方になってはもらえないし、いい関係は築けません。もし、頼れる上司がいないのだったら、あなたがこれまで上司や先輩たちに心を開き、尽くしてこなかったということだと思うんです。
例えば、昔こんなことがありました。「君のことを『あいつ最近、調子に乗って、勉強してないんじゃないか』って、言ってる人がいるから、気をつけたほうがいいよ」って、忠告してくれた先輩がいたんです。私が「どういう態度をしたらいいですかね?」と聞くと、「その人の前で、勉強してるところをわざとらしいくらいアピールしてみたほうがいいよ」ってアドバイスしてくれたんですね。もちろん、そのとおり実行しました(笑)。そうやって忠告してもらえるのはすごくありがたいこと。だからこそ私も、しっかりお返しをしていかなきゃって思います。
「誰も近づかない」は気に入られるチャンス
私も中堅となり、後輩を持つようになってわかったんですけど、部下は「かわいがられる部下」になるべきなんですね。自分が若いころ、「家でも勉強して頑張りました」なんて訴えるのは、カッコ悪いことだと思ってましたけど、努力していることを部下が提示してくれないと、上の人間は気づかないことも多い。それに「先輩、先輩」と慕われたら、「かわいいなあ」と思うもの。わかりやすくアピールするのも大事です。だから、パワハラにめげず、逆に「部長、部長」と、すり寄ってみるのもひとつの手。相手の態度だって変わるかもしれませんよ。
悪評高い上司とのことですが、「悪口は嫉妬」だと思うんです。私なんて、悪口を聞かないでいると落ち着かないですよ。逆に「いい人ね」って言われると真意を疑ってしまう。だって、「いい人」って、言い換えれば「どうでもいい人」のことですからね。存在感も何もないじゃありませんか。悪口を言われるということは、よくも悪くも目につく、気になる存在だ、ということ。ほかの人にないものを持っているんです。誰も近づかない上司だからこそ、未知の部分があるわけだし、気に入られるチャンスもあるってことですよ。