一般的な話と専門的な話をつなげてみる
得意分野で何時間も話せるって言うけどさ、相手はそこまで聞きたくないものなんだよ。落語でも「枕」っていうのがあってね、今のご時世の話をしてから、江戸時代の話に入るんだよ。そういう「枕」をつくって話すようにしたらどうだろう? 一般的なことと専門職の話が途切れちゃってるんじゃないかな。「今、世の中ではこうなってますよね」って、誰もがわかる話題から、エンジニアの専門職の話にいけばいいんだよ。
得意分野がありながら、人との関係に困るような人って、みんな不安を持ってるからさ。俺も同じだもん。自分の連載が終わって、さて次は何にしようかって考えてるときは、次の就職先を探しているような気分で不安ですよ。昔から未だにずっと、新しい企画を自分から持ち込んで、いちいちファイルをつくってプレゼンしてるんだよ。
俺が新しいことを考えついたときは、最初に「おごるから聞いてよ」って、友達を飲みに連れて行って、「あのさ、今コレ、すんごく面白いと思ってるんだけどさ」って、聞いてもらうの。いきなり見知らぬ人にわかってもらおうとするのはハードルが高いから、まずは知ってるヤツに話してみる。「それ面白くないよ」ってはっきり言われたら、味付けを考えたりすればいいでしょ。面白く聞こえるような話の持って行き方もわかってくるしね。だから、友達はありがたいですよ。
面白さが合体しないと、スゴさは目立たない
パソコンに向かっているだけで人に接することなく仕事になるなら、それがあなたには向いてるんだろうし、実際、そういう道もあると思うよ。でも、就職するとなると、そうはいかないから、友達に向かって話す練習をしてみたら? だって、友達がつまんないと感じる話って、赤の他人が聞いたら相当つまらないんだよ。技術的にはスゴい人なのかもしれないけど、面白さが合体してないと、スゴさが目立たないと思うんだ。練習できる友達がいなかったら、オカンに聞いてもらうとかさ。「あんたはええ子やで」って言ってくれるんじゃないかな。
そう、「いい人だな」と思わせられたら、しめたもんだよね。話すことは苦手なんだから、話術はしょうがない。せめて「悪い人ではない」と思われないようにアピールしないと。俺も悪い人は自分のところで採用したくないからさ。面接する人だって、あなたに技術があることはわかってるんだろうから、悪くない人を採りたいはずだよ。今のままだと「この人を入社させると会社が暗くなる」とかさ、悪い人だと思われちゃってるんだよ。
良く見せようとすると失敗するから、「悪い人に見せないようにする」くらいに思ってたほうがいいんじゃないかな。普段の何倍もいいところを見せようとして「受かろう」とするから緊張しちゃうんだよ。等身大でいいと思うけどな。「いいや、どうせ落ちるんだから」くらいに気楽にしてさ。「なるようにしかならない」と思ってる人は強いんだよ。