叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「最後まで残るか、倒産前に転職すべきか」

会社の業績不振が続き、ボーナスカットから減給、最近は給料遅延の噂もあって、辞めていく社員が続出。私は今の会社で新卒から育ててもらったという感謝の気持ちがあり、顧客や会社のために奮闘している上司たちに最後まで付いていきたいのですが、両親には「倒産する前に転職を」と強く勧められ、倒産を経験した友人からは「組織は守ってくれない。最後に泣くのは自分だよ」と言われ、見切りをつけるべきかと悩んでいます。(営業事務 27歳 女性)

揺れるぐらいならやめなさい!
今週の叱り役

俳優
京本 政樹さん

information
羅刹那.com
http://www.la-cetzna.
com/
京本さんのオフィシャルサイト。京本さんの出演番組など、最新情報はこちらから。
1959年、大阪府生まれ。多摩美術大学中退。ミュージシャンとしてスカウトされたが、79年にNHKドラマで俳優としてデビュー。85年の『必殺仕事人V』で“組紐屋の竜”を演じて人気を不動のものに。時代劇から現代劇、バラエティと幅広くこなし、シンガーソングライター、プロデューサー、着物デザイナーなどとしても活躍。車や特撮もののヒーローに詳しいことでも知られる。

最後までとことん付いて行くのもひとつの生き方

誰でもさまざまな事情があるし、家族もいたりするので、給料がゼロでも会社のために働きます、と志願する人はまずいないでしょうね。それでも、あなたが会社に育ててもらった恩義を感じているというのなら、自分の意志で決断して、最後までとことんご奉公するというのも、ひとつの生き方だと思います。もしかしたら、その中で救いの道が見えることがあるかもしれない。ただ、とんでもない苦労が実を結んで出世した、なんてうまい展開はドラマの世界だけの話。現実ではまずあり得ません。

つまり、こういうことを考えているとき、何かの見返りを期待しては絶対にいけないんです。そもそも、ここに相談してくるということが間違っているんじゃないかという気が僕はするんです。あなたの意志でやると決めたら、あとは黙って上司たちに付いていけばいいこと。相談しなければ決められないほど気持ちが揺れているのだったら、その会社は辞めたほうがいいですよ。友人のアドバイスどおり、倒産となったら会社も誰も助けてはくれませんからね。気持ちが揺れていることそのものが、上司に対して失礼じゃないかな。本当に感謝だけで生きている人であれば、誰に何と言われても感謝している相手に付いて行くでしょう。

揺れ動きながら続けてもいい結果にはならない

僕のいるテレビ業界は視聴率がすべてなので、打ち切られそうな低視聴率のドラマの現場と、今のあなたの状況は似ているかもしれません。ドラマが途中で打ち切りになったことがある俳優仲間に聞くと、けっこうキツいんですよ。視聴者が圧倒的に少ないとわかっていながら、セリフを覚えて、朝早くから現場に行って、場合によっては立ち回りもする。スタッフもみんな「打ち切られるかもしれない」という思いの中でドラマをつくっているんです。

僕は運良く、打ち切り経験はありません。『必殺仕事人V』や『高校教師』とか『家なき子』なんかの高視聴率ドラマで、インパクトのある役を与えていただけた。ただ、カッコいいことを言えば、僕はせっかく自分をキャスティングしてもらったのなら、視聴率や評価は関係なく、とことん手を抜かずに最後まで演じきるということを信念に、あとは結果がついてくると思ってやってきただけ。だから、揺れ動いている人と芝居をするというのはイヤなんですよ。「視聴率悪いし、受けもよくないし、早くやめたいんだよね」と言うような人とは、一緒に芝居したくないし、あまり付き合いたくもないですね。

もちろん、僕だって演技に対しての反省は日々あるんです。ところが、反省に留まらず、信念のない試行錯誤を始めてしまうと、最初の意図とはどんどん違った方向に作品そのものが変化してしまうんです。主人公のキャラクターも変わっちゃったりね。そういう作品になってしまうときは、脚本家もプロデューサーも監督も役者もみんな揺れ動いてしまっている。だからいい結果だって出るはずがない。要はすべてそういうことなんです。だから、揺れ動いているというあなたの場合、早く見切りをつけて、違う会社にいけばいいと思うんです。

ただし、先輩的な助言をすると、一つの所で全うできないと、2つめ、3つめと新たな所に行っても全うできないものなんですよ。どんな所に行っても壁はあるし、人生、いいときばかりじゃないんです。そのことは心にとめておいたほうがいい。感謝の気持ちがあったのに、自分の給料が心配というだけで飛び出してしまったら、あとでイヤな気持ちが残るかもしれない。感謝の気持ちだけで最後まで付いて行くと決断できるくらい強い意志を持てたら、たとえお金がなくなってパンをかじるだけになろうと、最終的な結果がどうであれ、清々しい気持ちで自信を持って次に向かえるはずです。

EDIT・WRITING
羽塚順子
DESIGN
マグスター
PHOTO
渡邉聖爾

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