意見を聞いてほしければ、まず相手の話を聞く
まず、「異端児だ」と決めつけていることが、いつも自分を孤立させてしまうひとつの原因だと思います。もちろん、自分の意見や考え方をしっかり持ってていい。でも、チームの仲間と仕事をしていくわけですから、そこで孤立しているという考え方をなくさなければ、うまくはいきません。
もうひとつの原因は、自分の意見ばかりを言いたい、通したいと、最初から戦闘モードで入ってしまっていることです。だから、意見が通らない相手に怒りをぶつけてしまったり、周りからも「人の話を聞かないやつだ」と思われてしまう。自分の意見を聞いてほしいのであれば、まずは相手の話を聞いて、受け入れるという“心の器”を持つことが必要です。小さな器は水がすぐ溢れてしまうけど、意識して器を大きくしようとすれば、多くを受け入れることができるようになる。
誰でも自分の意見を聞いてもらえると、その人の意見も聞こうとするものです。そこから信頼関係ができて、お互いを理解し合い、助け合って、チームメートとしてひとつの夢に向かって歩いていくことができる。しかも、人の意見を聞くことで、今持ってる自分の意見や考えよりも、必ずもっといいアイディアって出てくるものです。
意見をひとつ吸収すれば、一歩夢に近づく
かつて僕も、メダルを期待されて結果を出せなかったソウルオリンピックの後、非難の声に耳をふさいで、「もう何も聞きたくない」と、孤立してしまったことがあるんですね。でも、「俺は柔道でどうなりたかったのか」って原点に返って考えてみると、「チャンピオンになりたくて続けてきたんだ」ということを思い出した。じゃあ、今の自分がチャンピオンになるにはどうすればいいかと考えると、嫌なこともみんな含めて、人が言うことをまずは聞いてみようと、聞く耳を持つことができるようになったんです。
それまでは10言われたうち、ひとつでも嫌なことがあったら、すべて聞かなくなるという態度だったけど、「自分がチャンピオンになるためには、聞かなきゃならない状況を乗り越える必要があるんだ」と気持ちを切り替えて、周囲の人たちからの意見を聞くようになりました。すると10言われたうち、ひとつやふたつは「なるほど」と思うことがあるんですね。そのひとつを自分の中に吸収していくことによって、確実に一歩自分の夢に近づいていくことになるわけです。
あなたにも、きっとこの仕事を始めた原点があったはずです。その原点である初心を思い出して、自分の心の器を大きく持ち、人の意見を聞いて、自分の意見とミックスさせて、よりよい方向に進めてみることです。