従業員十数名の小さな会社ですが、面接で社長に気に入られ、未経験で社長秘書になることができました。秘書のキャリアを積めると喜んだのもつかの間、ワンマン社長に対する社員の不満の矛先が私に向かってくるのです。「君も社員なら私たちの味方をするべき」と、社長への根回しやお膳立てを毎日のように求められ、それがうまくできないと「ちゃんとやれ」と、部長や課長に責められる始末。これではパワハラです。こんなことに神経をすり減らす職場は、早く見切りをつけるべきでしょうか？（商社　30歳　女性）

あなたの上司は部長や課長でなく社長です

あなたは社長秘書なのだから、あなたにとっての上司は社長ですよね。それなら、ほかの人たちに言われることを一人で気にして振り回されないで、あなたの上司である社長にちゃんと「こういうことばかり言われて困っています」と、話してみたほうがいいと思います。それを社長がわかってくれて、部長や課長に「ちゃんとやるように」と言ってくれたら、問題は解決するのではないでしょうか。

そのことで、あなたが部長や課長や社員の人たちからよく思われなくなってしまうと、ストレスに感じるでしょうが、それはあなたが悪いわけでもないし、間違っているわけでもありません。だから、もしそうなったとしても自分を責めないことです。あなたの仕事は社長秘書ですから、社長に気に入ってもらえて、社長が理解してくれている環境なら、今の会社でちゃんと働いていけると思います。

でも、もし社長に相談してもわかってもらえず、いいアドバイスをもらえなかったら、あなたにはもうほかに上司がいないわけですから、その会社は辞めたほうがいいと僕は思います。上司が自分の困っていることを全くわかってくれない、しかも自分を理解してくれる上司が一人もいない、という環境はとても苦しいです。僕もそういう経験をしましたからよくわかります。

一人で苦しむ職場でいい仕事はできません

僕は勤めていたとき、いつも会社で“confrontation”を起こさないようにしていました。日本語で言うと…上司と対立しないよう気をつけてきたということになるのかな。つまり、いきなり自分の感情や意見をぶつけずに、まず、どんなケースでも自分の立場と相手の立場を考えて、いろんなシミュレーションをしてみるんですね。自分はこういう部分で困っているけど、そのことをこんなふうに話したら相手はそれにどう答えるか、こういう方向に話が展開したらどう言うかと、心の中で準備をしておくんです。

そうやって、自分では解決できないことを上司に相談して、上司の立場を考えながら冷静に話しても味方になってもらえなければ、その職場ではずっと自分一人で苦しむことになってしまいます。僕はそうなったとき、毎朝会社に行くのがつらくて、ストレスで風邪をひいたり、体の具合が悪くなったりしました。そんな状態でいい仕事はできません。僕は転職したほうがいいと判断して、そうしました。

あなたも、社長秘書の仕事とは違う部分で無理なことを言われているのですから、自分だけで抱え込まずに早く社長にすべてを話してみることです。そして、社長がわかってくれなかったら、そのときは、次のステージを目指していいと思います。今よりもっと自分に合う仕事や会社が、必ずあるはずだと信じて！