やりたいことは形にしてアピールする
言葉で「やりたい」と言うだけではなく、実際に自分で商品開発をしてみればいい。お客さんから要望があったものや、「これなら売れるだろう」とあなたが思う商品についての企画書を書いてみるんですよ。もちろん、店長としての仕事もちゃんとしながら、休みの日を利用して。そして、その企画書を持って、上司に話をしてみる。もし、直属の上司が取り合ってくれなかったら、もっと上の上司の元に直訴に行く。たとえ仕事ができて、いいアイデアを持っていたとしても、自分を上手くアピールできなければ、やりたい仕事も出世もできませんよ。会社とはそういう所です。
同期の900人から2人に選ばれた理由
僕が松下電器産業という会社に新卒で入社した時、同期が900人いたんです。広告宣伝をする部署を希望していたけれど、そこはいちばん人気のある部署。配属が決まる半年後までの研修期間、いかに自己PRできるかが勝負だと思ってね、知恵を絞りましたよ。
まず、自分は漫画が描けるとか、こんなことができると会社の人たちに言葉でアピールしたけれど、それだけではインパクトがなさそうだった。そこで、社員寮のビアパーティーがあると知って、僕はその宣伝用に巨大なマリリン・モンローのポスターをつくったんです。通勤電車からもよく見える寮の壁面につけたら、案の定「あれは誰がつくったんだ?」と社内で評判になり、当然、僕のことも話題になった。
それだけじゃない。販売店研修といって、系列店での実習に行ったときのこと。通常、研修生は配送や販売・修理をさせられるのだけど、僕は「ポップが得意なんです」と言って、プライスカードを1枚書かせてもらった。それを店長が見て「上手いじゃないか、全部書いてくれ」と言ってくれた。ついにはキャンペーン用の立て看板やのぼりの文字まで書かせてもらったんです。営業所の地区担当の人が店に来てそれを見たとき、すべて研修生が書いたと知って驚いていた。
僕はそんなふうにして、あれこれと自己宣伝をする工夫をしました。それが、どう人事に伝わったかはわからないけれど、新人900人中、2人だけ配属になった希望部署に行くことができた。そこまでして、たった3年で辞めてしまったけれどね(笑)。常にアピールする機会をうかがって自分で動いていかないと、チャンスは巡ってきませんよ。