修業に行かなくても大丈夫です
私は調理師の学校を経営していますが、あなたのように、経済的に厳しいけれど、料理好きで、家を少しだけ改造して飲食店にしてみたいという素人の人がけっこう来るんですよ。そして、うまく店をやっている人はたくさんいます。だから、飲食店に修業に行けなくても大丈夫。まず、必要最低限のことだけは、押さえておきましょう。
飲食店を始めるには、まず、保健所の許可が必要です。どこに手を洗う設備があるかといった、飲食店として必要な基準を満たしているかを保健所が調べに来るので、それに沿った改装をする。大工のお父さんが体調を崩されてるようだけど、大工のお仲間や知り合いに頼んでみるといいかもしれませんね。もし、古い建物であったとしても、掃除をして磨き込んであればいいんです。飲食店は掃除がとても重要。特にトイレは絶対に清潔にしていないといけません。
もうひとつ、調理師免許が必要になるんですが、3日間講習を受けると食品衛生責任者という資格が取れるんですね。それを持って2年間の実務経験を積むと、調理師の免許を受けられる。そういうことも含め、一度近くの保健所に相談してみるといいでしょう。
小さい店でも数字の管理が必要不可欠
そして、最も重要なのが数字の管理。「計数管理」というんですけどね。いくら小さな店でも、開業前に最低限の設備投資は必要なので、どんぶり勘定でやってしまってはいけない。そこは勉強をして、数字を管理するという意識を持ったほうがいいですね。カフェコースとか、小料理店コースといった、飲食店を開くための短期講習もあるので、そういった所で、あなたかお母さん、どちらか一人が受講してみるのもおすすめです。
そういう学校では、同業の飲食店の事例を分析してくれるので、どのくらいの金額でどの程度のことができるかが具体的にわかるんです。実際に飲食店を見に行ったり、そこの経営者に講師をしてもらったりもするから、実践的なことが身につくと思いますよ。
あとはメニューと接客です。いくら料理が得意と言っても、自画自賛では店が成り立たない。ほかの人たちが本当に美味しいと思うかどうか、いろんな人たちに食べてもらうことです。母娘が仲良くやる店として、おふくろの味を売りにするといいんじゃないかな。そして、お客さんがまた来たくなるような感じの良い接客を心がけることです。頑張ってください。うまくいくことを祈っていますよ。