仕事に対する喜びを行動で見せていく
どんな仕事であっても、必ずそれなりの喜びがあると思うんだよね。たとえばカフェでコーヒーをいれてる人が、お客さんに「おいしいね」って言われたら嬉しく感じるようにさ。あなたも量販店のチーフとして、売ることの楽しさや自分の仕事に対する誇りがきっとあるはずだよ。
あなたが感じている仕事の面白さを、「こうやったら楽しくない?こんなふうにしたらきっと売れるよね」って、部下に対して身をもって教えてあげたらどうだろう。画一的なマニュアル通りに挨拶や接客の仕方を、教えているような気がするんだけど、違うかな?もし、そうだとしたら、誰もついてはこないよ。
マニュアル的なことをただ言葉で教えるだけじゃあ、心に響かない。それって無意味でしょ。ましてや「悪条件だからどうせ辞めるだろう」なんてあきらめていたら、なんにも生まれてはこない。上司が率先して、行動で見せていくことが大切なんだと思うよ。
1人でも共感する部下ができれば上出来
僕の元にも、今まで何人かマネージャー志望の若い子が来たことがあるんだ。右も左もわからない子が、役者である僕のことを真剣に考え、僕も彼をマネージャーとして信頼するという関係を、2人で構築していくわけだよ。
そのためには、現場で僕の生きざまや仕事ぶりを、身をもって見せていくんだ。そして、1対1ではあるけれど、彼の後ろには僕という役者がついていて、彼が動いて人と会うことで、僕自身もその人たちと会っていることになる。その重みを感じてほしいってことを伝えていった。すると、次第に彼も「ああ、頑張ってこの人を支えなくちゃ」って気持ちになって、ちゃんと僕のかわりに動いてくれるようになった。そうやって、すごく立派なマネージャーに成長した子が1人だけいたよ。
それは1対1でも、あなたのように1対10人の仕事でも同じこと。もちろん、部下が全員共鳴してくれるなんてうまくはいかない。100人に1人いればいいくらいの気持ちでやらないとね。だけど、たとえ1人でも共感してついて来てくれたら、その人はきっと大きな働きをしてくれるはずだよ。そう、もしかすると他の人たちを教えるくらいになってくれるかもしれない。
それから、給与や勤務時間の条件が悪いとか、そういった不満を持っているようだけど、極力言わない方がいいと思う。なぜなら、一度言ってしまうと、自分を弁護することになっちゃうでしょ。他人のせいにすることで、自分の成長が止まってしまうからね。
うまくいかない時は、自分が置かれてる状況で、やれるだけのことを目一杯やっていないから。僕はそう思うようにしてるんだ。ダメだったら、もっと違う形でやってみる。そうやって逃げなければ、周囲の人も影響されて少しずつ変わっていくよ。あなたも、部下だけじゃなく上司だって動かすくらいの気概を持って行動していけば、今の状況から変わっていくはずだよ。