柔軟性を持てば、やりたいことはできる
何ていい奥さんなんでしょうねえ! 給料が安くてもいいと言ってくれるなんて、羨ましい話じゃありませんか。僕は数年前、仕事に疲れて「しばらく休もうかな」と言ったことがあったけど、カミさんからダメ出しされたからね。こんなふうに言われたら、オレならすぐ転職しちゃうな(笑)。
オレは中学の先生から漫画家になったけど、仕事の内容は、あまり変わってないと思ってるんですよ。表面的に職業は違っても、人に何かを伝えたいという本質は同じだから、自分がやりたいことはできてる。あなたが、今この会社じゃなきゃどうしてもできない仕事をしてると思ってるなら、「他の仕事や職場になっても、やりたいことはできるさ」くらいの柔軟性を持ったほうがいい。あなたのやり方次第で、転職しても同じような仕事はできるはずだし、給料が安くなってもかまわないのなら、会社を辞めてフリーランスになってもいいじゃないですか。
仕事に限らず、時間に対しても柔軟性を持ってみたらどうかな。いろんな条件がうまく揃わなくても、自分で工夫してみるんですよ。非常に忙しいと言うけれど、時間はやりくり次第でいくらでも作れるもの。ハッキリ言って、僕だって猛烈に忙しい。日本で一番仕事をしてる漫画家だと自負してるけど、その中でも2人の子供の保育園のお迎えだってしてた。今でもサッカーやスイミング教室、学習塾だって連れてくんですよ。しかも、息子には「行きたくねえよ」なんて文句を言われながら(笑)。あなたの悩みは贅沢だと思うよ。
時間の稼ぎ方は名古屋方式に学べ
じゃあ、どうやって時間を作るか。無駄を削ぎ落としていけばいいんです。例えば、オレは名古屋人だけど、有名なトヨタ方式というのでは、3歩で歩くところを1歩にしたらどう変わるかとか、あらゆる面で省力化を徹底して、時間を少しずつ貯金していく考え方をする。イチローも名古屋人。彼も左打ちだから、一塁に3歩近いわけですよね。凡打でもヒット数を稼ぐことができる。そうやって、自分の全ての行動を細かく見ていけば、意外と無駄があるから、それを削ぎ落として時間を稼いでいくんですよ。
そして、常に優先順位を考える。時間の使い方が下手な人は、優先順位が付けられなくて、一度にいくつもやろうとするから、全部がやりきれなくなっちゃうんだよね。欲張っちゃダメなんです。オレの場合は、何事も毎回、毎秒ごとに優先順位がある。例えば、眠くなったらその場で「今は寝る」と決めて 5分でも寝る。するとスッキリ目が覚めて、瞬時に次の目標に向かえるから効率的でしょ。常に優先順位をつけることを習慣にしたほうが、仕事も悩みも解決する方向に向かいますよ。
逆に、あなたの奥さんは、給料は安くてもいいと切り捨てて、家族との時間が欲しいと、優先順位を明確に付けてるじゃないですか。そうやって、優先順位を付けるというのは「覚悟」することなんです。覚悟がないと、どちらもあやふやになってしまう。「仕事がすごくうまくいって、家族を失うことと、家族とうまくいって、仕事は全くダメになるのと、どっちがいい?」って、自分の中で究極の選択をしてみると、その覚悟ができる。最初から「両立する」なんて甘い考えをしないで、ひとつを選択して集中した方が、工夫して作った時間を使って、他のことも両立できるようになるものなんです。