今さら人に聞けないと思い込まないで
あなたと同じように、「敬語やマナーがわからない」と感じている人は、30、40歳になってもたくさんいると思います。ですから、若いあなたが「今さら人に聞けない」などと思い込まないで、わからなければ人に聞くようにしてみることです。相手は同僚でも後輩でもかまいません。「これは、どうすればいいのかしら?」って、いろんな人たちに素直に聞いてみる。それが、あらゆるマナーを身につける、一番の近道です。
20代の頃は、私も上司に「そんなことも知らないのか」とか、「東大を出て、そんな言葉遣いをしてるのか」なんて、よく嫌味を言われたものです。でも、当時は本当にどうすればよいのかわかりませんでしたから、「知らないんです、教えてください」と、頭を下げることしかできませんでした。そうやって、ひたすら教えてもらいながら、社会人として必要なことを身につけていったのです。
叱ってくれる上司を持てたのはありがたいこと
ところが、いざ、自分が上の立場に立つようになると、部下に対して「もっとちゃんとやってほしい」と思うことがあっても、目の前のやるべき自分の仕事で、いつも手一杯。直属の部下を叱って育てるという余裕がなかった、というのが正直なところです。部下を叱るのにも、エネルギーが必要なんですね。それが私には不足していたのだと反省しています。部下を持つ私の知り合いの人たちも「いちいち叱るのが面倒になってしまう」と、嘆いているのを耳にしますから、あなたをいつも叱ってくれるという上司は、エネルギーがある立派な方だと思いますよ。
そういう上司を持てたことは、ありがたいこと。授業料を払ってマナー教室にかよわなくても、職場で教えてくれるのですもの。上司に「叱ってくださって、ありがとうございます」という気持ちを持ちましょう。毎日厳しく言われてしまうと、あなたのことをすべて否定されているように感じてしまうのでしょうが、そうではないんですよ。上司はマナーや言葉遣いの部分についてだけ、叱っているのですから、その部分だけを直していけばいいのです。あなたには、ほかに必ずいいところがあります。それを伸び伸びと発揮しましょう。今のように萎縮してしまっては、あなたのいいところまで、すべてがしぼんでしまいます。
周囲のいろんな人に聞いていくうち、どの人が親切で教え上手かもわかってくるでしょう。そういう人たちに助けてもらいつつ、今度は、あなたが「自分にできることは、いつでも力になって助けよう」という姿勢でいればいいのです。誰でも、一人で何もかも完璧にこなすことは、できないのですから。