プロ論。

なぜ、あの人はいい仕事ができるのか。 第一線で活躍する人物の「こだわりの仕事術」を紹介します。

平凡な毎日のなかにこそ、非凡がたくさんあるんです

森公美子さん(歌手、女優)
もり・くみこ●1959年、宮城県生まれ。昭和音楽短期大学卒業後、二期会オペラスタジオに入学。イタリア・ミラノに留学後の82年、『修道女アンジェリカ』でオペラデビュー。83年、東宝ミュージカル『ナイン』に出演、84年にはミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』に出演し注目を集める。歌唱力と魅力的なキャラクターで、ドラマ、ミュージカル、オペラなど、テレビや舞台で幅広く活躍中。おもな舞台作品は『屋根の上のヴァイオリン弾き』『ラ・マンチャの男』『チャーリーガール』『ビッグ・レディース・クラブ』『ベガ−ズオペラ』『レ・ミゼラブル』など。
2010年4月14日

「人生は楽しんだもの勝ち」という森さん。
仕事でもプライベートでも、
彼女の周りには笑いが絶えないが、
どうしたら、そんなに
面白い人生を送れるのか。

不幸と思えることでも、気の持ちようでラッキーになる

毎日がつまらないと思っている人は、もう1回、意識して周りを見回してほしいんです。世の中には面白いことがたくさん転がってるんですから。

うちの主人は数年前に交通事故にあって、車いすの生活が続いています。最悪な状況と思われがちだけど、結構いろんな発見があって楽しいんですよ。最近、主人の付き添いで区立のリハビリ施設に行き始めました。そこでいろんな障害を持った方とお話しをするんですが、「私っていろんなことを知らずに過ごしてきてしまったんだなあ」って、つくづく思うんです。すごく勉強になる。主人のおかげでいい経験をさせてもらってラッキーだなと思っています。

何事も気の持ちようなんですよ。平凡な毎日だと思っていても、見方次第で面白いことがどんどん見つかる。私の周りには毎日が面白くて仕方ない人たちがたくさんいるけど、そういう人たちは特別な場所に身を置いているから面白く過ごせるのではありません。普通の生活の中で、面白いことを次々と見つけてしまうんです。

日常の中にこそ、たくさんの非日常がある。それを感じる人と感じない人がいるってこと。せっかく生まれてきたんだから、楽しまなくちゃ損でしょう? そのためには、自分で意識して楽しい環境を作っていくことが、すごく大事なんだと思うんですよ。

待っているだけじゃ、面白いことなんか絶対に起きない

私は昔から、いいなと思ったらすぐやるほう。だって「なんかいいこと起きないかな」って待っているだけじゃ、面白いことなんか絶対に起きないから。小さいころはお父さん、お母さんがいろいろとお膳立てしてくれたかもしれないけど、大人になると、誰も何にもしてくれない。自分から起こさないと何も起きないんですよ。楽しく人生を過ごしたいなら、これを忘れちゃダメ。

私、友達が多そうに見えるでしょ。「森さんはいろんな人から誘われて人気者でいいですねえ」なんて、言ってくださる人もいるけど、実は自分からいろんな人に声を掛けているだけなの。「この人、面白そう」って思ったら、よく知らない人でも「ご飯食べにいかない?」って、自分から誘っちゃう。

特に異業界の人と会うことが多いですね。次の日忙しくても、なるべく時間を作って会うようにしているんです。だって、他の業界の人と話すといろんな発見があるから。その方が面白いし、ためになる。いつも自分の会社の人としか飲まない人が多いって聞くけど、そんなのもったいないと思う。たくさんの人の話を聞いて自分の中の引き出しを増やしていくと、いろんなものの見方ができるようになるんです。同じことでも、さまざまな角度で見られるようになると、世の中に面白いことがもっともっと増えるんですよ。

私はどんな人とも気さくに話せてしまうほうだけど、心がけていることがあります。それは、他人のアラを探さないこと。何かに秀でている人ほど、アラがいっぱいあるもの。欠点を探したっていいことないから、極力見ないようにする。そして、会話を通じて長所や面白いところを引き出すようにする。人には大抵、得意分野があるから、その話をしてもらうように水を向けるといいですよ。そうすると「へえ〜」っていう話がいっぱい聞けて、どんな人とでも楽しい時間が過ごせます。よく「ダメ出し」っていうけど、そんなのする人は携帯から削除ですよ(笑)。「ダメ出し」はしないで、「いいところ出し」をする。そういう人には自然に人が集まってきます。それを繰り返していると、いつの間にかいい人脈が築けていると思います。でもときどきは、グチを聞いてもらう友人も必要ですけどね。


歌手、女優、テレビタレントと
さまざまな顔を持つ森さん。
しかし、彼女の真骨頂はミュージカル。
7月からは、岸谷五朗さん率いる
『地球ゴージャス』に出演が決まった。

歌を歌うことは、心を伝えること

今回『地球ゴージャス』に参加したのは、忘れていた気持ちを取り戻したかったから。『地球ゴージャス』を初めてみたとき、舞台にパッションを感じたんです。失礼な言い方だけど、ちゃんとした音楽教育を受けてないのに、岸谷さんの歌に説得力があった。歌っていうものは、旋律通りにうまく歌えればいいかというと、そういうものじゃない。それだけでは人は感動させられないんです。詩に込められたメッセージや歌い手の心をいかに伝えるか。それが歌を歌うってことなんだと、岸谷(五朗)さんと寺脇(康文)さん、2人の舞台を観ていて改めて感じました。私が歌手を志したのも、まさにそれがきっかけなんですよ。「歌を通じて、生きざまを伝えられる人になりたい」と思ったからなんです。

何でも「見る前に飛べ」の精神でやってきた

私が14歳の時でした。家族でハワイに旅行して、夜、両親だけがジャズ歌手のサラ・ヴォーンのコンサートを観に出かけたんです。私と弟はホテルの部屋に残って両親が帰ってくるのを待っていたんですけど、弟がぐずり出して姉弟げんかになってしまった。それで両親を探しにコンサート会場に行ったら、係りの人が事情を聞いてコンサートホールに入れてくれたんです。そのときに聞いたサラ・ヴォーンの歌声。その迫力に衝撃を受けました。

歌声から生き方がにじみ出てくるっていうのかな。声にヒストリーみたいなものを感じたんです。大歓声のなか、観客の心を動かす歌の力ってすごいなと思いました。「あんなおばちゃんになりたい」と思った私は、歌を聞きながら、じっと分析してね。それで、こう思ったんですよ。「この人、タダものじゃない。20代、30代で積み上げたものがなかったら、あんな人にはなれないぞ」と。中学生なのに、そういうところは鋭かったんです(笑)。

それからは、とにかくいろんな経験をしようと、「見る前に飛べ」の精神で、ピピっときたら何でもやっちゃいましたね。失敗も多かったですけど、今思えば、失敗も糧になっているように思います。

やりたいことのための努力は、全然辛くない

ミュージカルとの出会いも、「何でもやってみる」精神のたまものです。サラ・ヴォーンにあこがれて音楽の道に進むことにしたものの、地元・仙台にはジャズの専門学校なんてありませんでした。それで、音楽の短大に入学してクラシックを学ぶんですが、思い込みの激しい性格が功を奏したのか、とんとん拍子で短大卒業後、オペラの名門・二期会に入ることができました。でも入ってからが大変で、実力不足を痛感。本場で基礎をしっかり学ばなきゃだめだと、成人式の振袖を買う代わりに、親に100万円出資してもらって、イタリアに留学したんです。

ひたすらオペラのレッスンに励んだ数ヵ月後、私に転機が訪れます。たまたまロンドンの叔母の家に遊びに行き、そこでミュージカル『マイ・フェア・レディ』を観たんです。衝撃が走りました。これが私の天職だって思いましたね。オペラからミュージカル歌手への転向を両親は反対でしたから、仕送りが止められてしまいましたけど、構わずそのまま突っ走っちゃいましたね。

周りには「ミュージカルは踊らなきゃならないんだから、あなたみたいに太ってちゃ無理よ」なんて意地悪を言う人もいた。でも、道を決めたら自分を信じて頑張るしかないんですよね。そしたら、少しずつだけど、ミュージカルのお仕事がもらえるようになりました。やっぱり夢は、強く願ったら叶うものなんだなあと思いましたよ。

もちろん努力は必要です。でも、自分がやりたいことのための努力は苦労じゃないんです。全然辛くないんですよ。好きなことなら、いくらでも頑張れる。やっぱり好きなことは強いなあって、思うんですよ。

information
ダイワハウス Special
地球ゴージャスプロデュース公演Vol.11
『X day』

1994年に岸谷五朗・寺脇康文の2人により結成された演劇ユニット「地球ゴージャス」。歌やダンスをふんだんに取り入れたエンタテインメント性の高いステージで観客から圧倒的な支持を得ている。これまでの10作品で観客動員数は延べ55万人。11回目の今回は、キャラクターと歌唱力で圧倒的な存在感を誇る森公美子をゲストに新境地を開く。

出演:岸谷五朗・寺脇康文・中川晃教・陽月華・藤林美沙・森公美子

公演詳細:<東京>2010年7月16日(金)〜8月8日(日)天王洲銀河劇場、<札幌>2010年8月13日(金)〜8月15日(日)、<仙台>2010年8月21日(土)〜8月22日(日)、<福岡>2010年8月28日(土)〜8月29日(日)、<名古屋>2010年9月3日(金)〜9月5日(日)、<新潟>2010年9月8日(水)〜9月9日(木)、<大阪>2010年9月18日(土)〜9月29日(水)、
問い合わせ:☎03-5457-3485

EDIT/WRITING
高嶋千帆子
DESIGN
マグスター
PHOTO
刑部友康

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