「超アナログ人間」が経理代行会社の社長になった背景とは?

12期連続黒字、14期連続増収ーー。言葉にすると簡単だが、実際にそれを達成するには経営者、そして社員全員の並々ならぬ努力が必要となる。今回は、ウェブコンサルティング会社ペンシルの成長を支えながらも、普段あまり語られることのなかった財務・経理を担当する森田和靖のストーリーを紹介したい。

※本記事は、「PR Table」より転載・改編したものです。

「経理に見えない、ってよく言われます」

f:id:mihomiho4892:20171211153526j:plain▲グループ全体の経理・財務の責任者を務める取締役 森田和靖

アロハシャツにカラーパンツ、帽子にもこだわる。

自分のミッションを全うしている限り、髪型や服装についてはとやかく言われないペンシルでは決して珍しくない格好だが、その一見してクリエイターのような人物が経理・財務を担当していると聞くと驚く人は少なくない。

その人物とは、日本法人だけでなく、台湾やシンガポール現地法人など、ペンシルの海外拠点を含むグループ全体の経理・財務の責任者を務める取締役の森田和靖だ。

森田が経理担当としてペンシルに入社したのは2008年のこと。

森田「それまでいたのは会計事務所というアナログな世界。ウェブコンサルティングの会社って言われてもピンとこなかったけど、ExcelもWordも使えない自分にとっては、IT企業なら経理以外でも勉強できることがあるかも……という下心がありました」

森田の経理人生を振り返ると、高校時代に遡る。勉強が嫌いで、とにかく早く働きたいという思いから、普通科ではなく、地元の長崎にある商業科の高校に通っていた森田。彼が唯一「5」をキープしていた学科が簿記だった。

森田「福岡に税理士の専門学校があるからそこに進学したらと先生に進められて。才能があると言われたら、僕も、僕の家族もすっかりその気になっていました。言い換えると、そそのかされたということですね(笑)」

恩師の助言どおり、専門学校に通いながら税理士になるための勉強を続ける森田だったが、税理士試験に合格することはできなかった。卒業を間近に控えても就活に対するやる気がなく、ただバイトに行く日々。

気づけば卒業から9ヶ月。さすがにこのままではまずい。森田は、とある会計事務所に履歴書を送り、少し出遅れながらも社会人としてのスタートを切った。

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新しい刺激を求めて、自分自身を退職に追い込んだ

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会計事務所に入所し、日本全国に出張して企業の決算作業を手伝ったり、会計のコンサルティングをしていた森田。倒産した企業の整理や相続問題など、精神的に楽ではない仕事も多かったが、若かった森田には刺激がある毎日だった。

税理士は主に地場の企業をサポートするのに対し、会計士はチームを組んで全国で活動することができる。自分の視野が広がるのを感じ、楽しみながら働くことができたが、時が経つにつれ、できることが増えていく中で、物足りなさを感じるようになったのも事実だった。

森田「新しい仕事を任せてくれるのはありがたかったんですが、税務や会計の仕事は、基本的に毎年同じ業務の繰り返しなんです。そう考え始めるとモヤモヤしてしまって……。

それに、企業における経理の仕事が1〜10まであるとしたら、会計事務所がやるのは8〜10の工程だけ。1〜10の全ての工程をやってみたいという思いも芽生えていました」

そんな“モヤモヤ”もあり、転職を意識するようになった森田だったが、その頃には事務所内の立場もある程度上になり、当然部下もついていた。辞めづらい状況で踏ん切りがつかない中、あいかわらず“モヤモヤ”がつきまとう。

こんな精神状態で働き続けるのは事務所にも迷惑がかかるかもしれない——。

そう感じるようになった森田が、自分で自分の背中を押すように思い切って申し込んだのが、1ヶ月間のフランス旅行だった。

森田「ツアーを申し込んでお金も払ってしまったら、さすがに辞めざるを得ないだろうなって。そうやって自分を追い込みました」

年末に申し込んだツアーは4月出発。3ヶ月の引き継ぎ期間を考慮してのことだった。そうやって計画的にものごとを進めるのも経理を生業とする森田らしいところだ。

こうして森田は9年間勤めた会計事務所を退職し、フランス旅行から帰国後、たまたまハローワークで見つけたペンシルの求人に応募した。

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経営が安定しすぎて、経理が“つまらない”と感じた

f:id:mihomiho4892:20171211155007j:plain当時の会計事務所や税理士事務所では、インターネット接続なんてもっての外というところも少なからずあり、いまだにホームページすらない事務所もある。そんな業界からきた森田にとって、ウェブコンサルティング会社は全く新しい世界だった。

初めてさわるMacに戸惑いながらも、当時はアウトソーシングしていた経理業務を内製化したり、組織も強化していった。

森田「初めて経験する企業の経理は、新しい発見が多くて面白かったですね。当時の代表、覚田義明(現・取締役会長)は、普通の経理や銀行の人間では思いつかないような考え方をする人。

経営者がやりたいことを実現したいけど、当然守らないといけない法律がある中で、できることはやる、できないところはダメと線引きしながらも、一緒に最適な方法を探すのがペンシルのやり方。経理として、経営者をうまく誘導してあげることも仕事のひとつです」

しかし、その面白さが続いたのも最初の半年間だけだったという。

森田「ペンシルの経営は安定していて、それ自体はすばらしいことだけど、経理的に言うと当時は“つまらなかった”んです。上場企業のように有価証券報告書を作成することもなければ、連結決算があるわけでもない。安定はしてるけど、刺激がない状態だったんですね」

元々飽きやすい性格だったこともあるだろう。そんな森田の様子を察したのか、覚田は、ペンシルの仕事と並行して、森田自身を代表とする新会社設立を勧めた。そうして設立したのが経理事務の代行や経営コンサルティングを行う「株式会社フォワード」だ。

森田「いま考えると、僕を飽きさせないために会社設立を提案してくれたんだろうなって思います(笑)

フォワードでは、ペンシルでは普段あまり関わることのない規模の会社や様々な業界の経理を体験できる。経験を積む大切な場所でもあります」

社長交代を経て——新しいペンシル

f:id:mihomiho4892:20171211155317j:plain▲森田(一番左)と社長 倉橋(右から2番目)を含むペンシルの経営陣

2016年6月。社長が交代し、新たに倉橋美佳を代表とする新体制がスタートしたペンシル。時を同じくして取締役に就いた森田は、ふたりの経営者を側で見てきてこう分析する。

森田「覚田は創業者タイプで、ゼロを1にするのが得意。何かを生み出してちゃんと成長させることができるのは本当にすごいことです。

倉橋は経営者タイプ。バランスが取れていて、1を、2にも3にも、5にもできる人ですね」

倉橋が積極的に海外事業を進めていることもあり、現在では台湾とシンガポールに子会社を持つペンシル。海外連結決算など、入社当時に求めていた経理にとっての“刺激”が、いまでは手に余るほどある。

森田「国によって法律や考え方が全く違う。ペンシルに入社してもうすぐ10年目を迎えますが、海外の経理は初めてのことだらけで言葉だってわからない。大変だけど、新鮮でやりがいがあります。

ビジネスの成長を支えるには優秀な経理は不可欠。僕なんかよりずっと優秀な経理が現地でも活躍してくれたら嬉しいです」

そう語る森田は、将来、家族と一緒に海外に移住したいと話す。元々ITや ウェブの知識は全くなかった森田だが、様々な技術やソフトウェアのおかげで、経理という仕事も場所を問わなくなってきている。

そんな夢を抱く森田の姿は、決して飽きっぽいのではなく、常に、よりチャレンジングな環境に身をおいて、自身を成長させることが好きなのだと感じ取ることができる。新しい刺激を求めながら続いていく森田の挑戦は、まだまだ終わりそうにない。

会社説明会では語られない“ストーリー“が集まる場所「PR Table

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