半期や四半期など、決算や事業の区切りとなる9月、12月そして3月は、同時に異動の季節でもあります。異動にあたり悩みのタネになるのが、誰にどのような挨拶をすればよいのかということです。ここでは失礼のない、スマートな異動の挨拶についてご紹介します。
異動の挨拶はいつ・どうする?注意すべきことは?
異動が決まったら、惜別の思いをしみじみ感じる暇もなく、引き継ぎなどあわただしい残務に追われる毎日となります。とはいっても、社内を始め取引先など、自分がお世話になった人への感謝の気持ちをこめた挨拶を忘れてはなりません。
挨拶が必要なのは、主に取引先、社内の同僚、そして業務でお世話になった方となります。ですがいつでも異動の挨拶をしていいということはなく、挨拶をするのには「タイミング」が重要になります。特に注意しておきたいのは下記の3つです。
・上司から異動を言い渡されてからすぐの挨拶は避ける
企業には異動などの告知を行う辞令発表があり、その辞令が公式な発表となります。公式に発表される前に挨拶することは望ましくなく、メールやお礼回りは辞令が発表されてから、と心得ておきましょう。
・取引先の顧客への挨拶のタイミングについては、上司と相談してから赴く
理由は上記と同じです。取引先であれば、辞令が下り、かつ後任が決まってからが最適です。早すぎても遅すぎても失礼に当たり、会社の心証も悪くなってしまいます。上司に相談し、いつ挨拶すべきかを確認しましょう。
・同僚に対しては、送別会があれば送別会の席で行う
基本的には、送別会など、まとまった席で挨拶するのが順当です。ただもちろん、親しい同僚であれば、予め個別に挨拶しておくことも良いでしょう。その際は、辞令が発表されているかどうかなど、タイミングに注意してください。
挨拶の手段としては「口頭」が望ましいですが、遠隔地など会うことが困難な場合には「電話」や「メール」、「はがき」などで行うようにします。
異動の挨拶をする際のポイント
挨拶をする場合には、どのような点に気をつけるべきでしょうか?
まず前提として、異動に際してネガティブな発言は避けましょう。異動は意にかなった場合もあればそぐわない場合もあります。意にそぐわなかった異動はネガティブな気持ちになりがちですが、挨拶の中でそれを伝えることは望ましくありません。お礼のお菓子を携えて、いままでお世話になった感謝の気持ちを素直に、そして「簡潔に」「要点をおさえて」挨拶するのがスマートです。
さらに言葉遣いにも気をつけ、さわやかに挨拶を行いましょう。立つ鳥跡を濁さずというように、最後まで好印象を与えることはその後の評価にもつながります。また、社内(部署内)での挨拶は2~3分の長すぎない範囲でお礼の言葉と部署内での思い出、そして今後への勇躍への決意で締めるのがよいでしょう。さらに異動先での挨拶については自己紹介を含め30秒~1分程度で、最後にこれからの意気込みを伝えましょう。
メールで挨拶する際のポイント(例文付き)
社内や訪問した取引先で直接挨拶できる場合は問題ありませんが、遠隔地の支社や先方が退職した場合などは、なかなか会えるチャンスがないため挨拶が滞りやすくなる傾向があります。直接連絡ができない場合は、メールを活用して、もれなく異動の挨拶を行いたいものです。メールでの挨拶のポイントは、スピーチの時と同様、要点をおさえて簡潔にまとめるのが大切です。構成は、タイトル、異動する日、後任の紹介、そして感謝のお礼という内容でまとめるとよいでしょう。メールでの挨拶の例文をみてみましょう。
件名:異動のご挨拶
本文:
(時節の挨拶)
私事ではありますが、◯月◯日付で☆☆部から××部へ異動になりました。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところではございますが、 メールでのご挨拶となりましたことをお詫び申し上げます。
これまでご担当者様にはひとかたならぬご厚誼を賜り、感謝申し上げます。
後任には※※が担当させていただくことになりました。(メールアドレス、電話番号など連絡先)
◯月◯日以降の業務に関するご連絡は、※※までお願いいたします。
万全の引き継ぎをいたしますので、何なりとお申し付けくださいませ。
新配置先××部(新メールアドレス、電話番号)でも、ますます精進してまいりますので、
今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
(署名)
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電話で異動の挨拶をする際のポイント
メール同様、直接会うことが難しい場合には電話で異動の挨拶を行うのもよいでしょう。電話での挨拶は、個人に対してわざわざ電話をかけるというアクションが伴うため、メールよりも気遣いが感じられることがメリットといえます。
大事なお客様やお世話になった先輩や上司など、より大切に感じる相手に対しても有効です。電話挨拶のポイントは、挨拶から始まり、いつから異動なのか、そして業務の後任者を紹介し、必要であれば次の異動先についても伝えるようにしましょう。電話では、伝えておきたい異動の挨拶以外にも、思い出話など、よりフレンドリーな会話になりやすく、旧知を温められることもしばしばです。なかなか会えない人に対しては積極的に利用したいツールです。
この場合も、新しい異動先(配属部署、住所、新メールアドレス、電話番号)の詳細は、後日必ずメールかはがきで伝えることを忘れないようにしましょう。
異動の挨拶が英語が必要になった…使える例文
取引先が外資企業や外国人経営者の場合は、英語で挨拶を行うこともあります。挨拶の方法としてはメール、電話、口頭(スピーチ)となりますが、英語に慣れていない場合は、英語での異動の挨拶自体が難しく、自分には無理と思ってしまう人も少なくありません。そんな場合に役に立つ、英語での挨拶例文をご紹介します。
タイトル:Concerning my staff reassignment
本文:
I would like to announce you that I will transfer departments to a new post from first April.
I’m pleased to inform you that my replacement is 〇〇. I appreciate for your great help. I hope that we will have the opportunity to work together again.
(私の人事異動につきまして:4月1日より、新しい部署へ異動となることをお知らせいたします。後任には○○が着くことになっております。大変お世話になり、感謝しております。またご一緒に仕事ができることを願っております。)
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いかがでしょうか。異動の挨拶は要点をおさえて簡潔に伝えることが最大のポイント。スピーチでもメールでも、簡潔ながら気持ちが伝わる挨拶を心がけましょう。
監修者:佐野 由美子 (ビジネススキル講師、マナー講師)
生命保険会社勤務の後、接客業に惹かれ20代後半にレストラン業に転身。自らサービス経験、店長業務を経て、30歳過ぎに独立。レストランプロデューサーとして、スタッフ教育、飲食店の再建、集客力増強分野で活動。
現在はサービス業を中心に「ホスピタリティ」「接客」「ビジネスマナー」「リーダー育成」などの企業研修を多く務める。また、これまでの講演、セミナーの実績は全国300ヶ所を超える。
文:リクナビネクストジャーナル編集部