【3分でわかる】バリューチェーン分析とは

「バリューチェーン」という言葉をご存じでしょうか。バリューチェーンは事業戦略の策定や方向性の改善などに役立つ手法として注目され、実際に多くの企業で取り入れられています。今回はバリューチェーンの概要や必要性、具体的な流れなどをイメージしやすいようにまとめています。

バリューチェーン分析とは_画像

バリューチェーンとは

私たちが消費する商品やサービスは、それらの原価・原資のみならず、企業のさまざまな活動による付加価値が付けられています。この付加価値(バリュー)をつけていく一連の活動(チェーン=連鎖)をバリューチェーンと呼びます。

バリューチェーン分析を行うと、具体的にどの過程で大きな価値が生み出されているか、どの過程が同業他社よりも優れているのか、または劣っているのかを分析し、それをもとに戦略策定や改善案を考えることができます。

バリューチェーンはもともと、アメリカ合衆国の経営学者であるマイケル・ポーター氏が、自身の著書「競争優位の戦略」の中で使用した言葉。日本語では「価値連鎖」と表現されることもあります。

マイケル・ポーター氏は、バリューチェーンを大きく2つの活動で定義しています。ひとつは「主活動」で、これは購買・製造・出荷・販売・マーケティング・サービスなど、実際に商品が消費者に届くまでの流れに直接関係のある企業活動をまとめたもの。もうひとつは「支援活動」で、材料調達・技術開発・人事・財務会計など、どちらかといえばバックオフィスや間接部門に属する活動を指しています。

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なぜバリューチェーン分析をするのか

ではなぜバリューチェーン分析が必要になるのでしょうか。主な理由は2つ存在します。

ひとつはバリューチェーン分析を自社やライバル企業に適用することで、消費者ニーズや市場の変化などで、ライバル企業がどういった戦略に出るかを予測できることです。ライバル企業の戦略があらかじめ予測できれば、それに対応する戦略を立てやすくなり、自社の優位性を高めることに繋がると考えられます。

もうひとつの理由は、自社の価値連鎖の中のどこが強みで、どこが弱みであるかを整理・把握できるということです。市場の中でライバル企業よりも優位な立場を維持し、勝ち続けていくためには自社の状況を正しく把握する必要があるでしょう。バリューチェーン分析は、企業が行う事業活動の弱点を補強しつつ、強みを活かしていくためのツールといえるのです。

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バリューチェーン分析の流れ

バリューチェーン分析は、主に4つのステップで構成されています。

・1つ目のステップ:バリューチェーンの把握

自社がどのような主活動と支援活動を行い、バリューチェーンの中にどんな活動が含まれているかを把握するのです。業態によってバリューチェーンの定義はさまざまで、当然のことながら活動内容も異なってきます。

 例1)小売業の場合

 商品企画→仕入れ→店舗運営→集客→販売→サービス

 例2)製造業の場合

 購買→製造→出荷→販売およびマーケティング→サービス

・2つ目のステップ:活動ごとのコストを把握すること

前述の小売業の例でいえば、商品企画にどの程度の人材と時間を投入しているか、また仕入れにかかる経費はいくらかなどを金額で表していくのです。このとき、年間コストや担当する部署なども併記することが多くあります。

・3つ目のステップ:強みと弱みの分析

バリューチェーンを構成する各活動のどこが競合他社よりも強く、また弱いのかを分析していきます。このステップは、できるだけ多くの社内担当者から意見を集め、実情に即したものにすることが重要です。部署の予算や人数によって担当者の見解が異なるため、偏った意見にならないよう配慮する必要があるでしょう。

・4つ目のステップ:VRIO(ヴェリオ)分析

VRIOとは、「価値(Value)」、「希少性(Rareness)」、「模倣可能性(Imitability)」、「組織(Organization)」の頭文字をとったもの。ステップ3で明らかになった強みを、「経営目標達成に必要な価値は何か」「希少性はあるか」「他社にマネされにくいものか」「強みを活かせる組織体制になっているか」といった視点で分析していきます。必要であれば、自社、他者を比較した表を作るとより分かりやすくなると思います。
ここまで分析が終わると、バリューチェーンの中でどの活動が他社よりも強いのかが見えてくるでしょう。そしてより競争優位性を高めるための戦略や、削減できるコスト、適切な予算配分などが判明するのです。

バリューチェーン分析を行う際の注意点

バリューチェーン分析の手法を紹介しましたが、バリューチェーン分析は、少人数で閉鎖的に行うものではないことに注意しておきましょう。できるだけ多くの部署、担当者から情報を集め、バリューチェーンの全体像を正確に把握することが大切です。仮に少人数で偏った情報のみで分析を行うと、企業戦略に大きな修正が必要になる場合があります。十分に注意しましょう。

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