【経営戦略のフレームワーク】5Forces(5F分析)

5Forces(ファイブ・フォース*)とは、マイケル・ポーター氏が提唱した、業界構造を把握するための方法論です。業界内の競争に影響を与えるものを5つの要因に分け、それぞれの力量や関係性を分析していくことで、業界の構造を明らかにすることができます。それぞれ、どのような要素なのか?について、5Forcesの概略と具体例についてご紹介します。

*英語では、正しくは「ファイブ・フォースィズ」と発音しますが、ここでは日本語で一般的な読み方を記載しました。

【経営戦略のフレームワーク】5Forces(5F分析)_画像

5つの競争要因を分析する5Forces(5F分析)

まず、5Forcesとは下記の5つのことです。

・新規参入者の力

・競争者の力

・代替品の力

・買い手の力

・売り手の力

図にすると下記のようにまとめられます。

【経営戦略のフレームワーク】5Forces(5F分析)_図

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5Forces(5F分析)① 新規参入者の力

業界の構造を明らかにするための最初の要因は、新規参入者の力(脅威・影響)です。

新規参入者が持つ力の大きさは、業界への参入障壁の高さが影響します。参入障壁が高ければ業界内で競争は発生しにくくなり、反対に障壁が低い場合は多数の新規参入者によって業界内は競争が激化するでしょう。

例えば、2016年4月からはじまった電力自由化が良い例です。それ以前は、一般家庭向け電力市場への参入が規制されており、この分野では主要10社のみが営業している状態でした。ところが2016年4月以降、この市場が解禁されて参入障壁が低くなると、途端に多くの事業者が一般家庭向け電力市場へ参入を開始。その後はさまざまな事業者が顧客獲得に動いています。

このように参入障壁が撤廃されれば、新規参入者の増加によって業界構造は一気に変化する可能性があるのです。競争が激化すれば、それまで業界大手として君臨していた企業であっても、その立場が危うくなったり、利益を減らす事態になったりと、力関係に変動が生じます。新規参入者の力は、業界の台風の目となる可能性があるといえるでしょう。ちなみに、参入障壁とは「ブランド力・知名度」「流通チャネル」「必要となる資金力」「規模の経済」「スイッチングコスト(他の製品に切りかえるときの手間や心理的コスト)」「公的な規制」などが該当します。

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5Forces(5F分析)② 競争業者の力

2つ目の要因は、競争業者の力です。競合他社との敵対関係と言い換えてもよいでしょう。同じ業界内で競合同士が激しくぶつかり合う場合、企業は大きな利益を上げることが難しくなってしまいます。

多くの場合、競合同士の争いは価格やコストに関するものであり、敵対関係にある企業同士がお互いに値引き合戦とコストカットを繰り返した結果、利益率が低下して市場自体の魅力が薄れてしまう可能性があるのです。これが競争業者の力となります。

企業がより多くの利益をあげるためには、できるだけ敵対企業を存在せず、激しい競争が発生しないことが望ましいといえます。特に大企業同士の衝突は、お互いの体力のみならず市場全体に影響を及ぼすため、重要な競争要因になりうるのです。また、企業の買収や代替製品・サービスの脅威によっても敵対関係は変化することになります。

5Forces(5F分析)③代替製品・サービスの力

自社の製品の競争相手となりうる、別の製品・サービスも競争要因になり得ます。特に、自社製品・サービスよりも価格性能比に優れている場合は大きな脅威となるでしょう。また、代替製品・サービスを提供している業界の利益率が高かったり、その製品・サービスが成長することによって既存業界の利益が低下する場合は、大きな競争要因となります。

これは同じ業界の製品やサービスとは限らないため、ほかの要因よりも難しい問題かもしれません。例えば、「携帯型音楽プレーヤーを提供している自社の競合として、スマートフォンなどが登場して利益を奪う」などのケースが考えられます。スマートフォンでも音楽を聴くことが可能なため、携帯型音楽プレーヤーの売り上げや利益が低下するという流れです。

5Forces(5F分析)④買い手の力

ここでいう買い手とは、直接の顧客もしくは最終顧客(エンドユーザー)を指します。買い手は品質が同じならより低価格で、価格が同じならより高品質なものを購入する傾向がありますよね。そのため、価格と品質は買い手が持っている情報の量や購入する量に左右されることになります。

独占的な製品であれば、買い手の影響力は小さいものの、さまざまな企業から多数の製品が提供されていて、実質的な差が無いような状態(コモディティ化)においては、買い手の力が非常に大きな競争要因になると考えられるでしょう。

5Forces(5F分析)⑤ 売り手の力

5Forces最後の要因は、売り手側(供給業者側)の力です。供給業者は業界内の企業に少しでも高い価格で製品や部品を供給したいと考えています。そのため、供給業者と販売業者の間に力関係が発生することになり、これが業界構造を左右するという考え方です。例えば、ある製品に共通して必要な部品を供給する業者が圧倒的に少なく、数社による事実上の独占状態であれば、供給業者の力が強まることになります。反対に、供給業者が多ければ力は弱まるでしょう。業界構造は実際にその中で製品を売る企業だけではなく、その外から部品などを供給する供給業者の影響も受けることになるのです。

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