残業100時間は違法じゃないの!?自分の身を守るためにすべきこと

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 ある企業が2015年、月100時間超の残業を従業員にさせていたとして書類送検され、大きなニュースになりました。月100時間ということは、週休2日制とすると、1日5時間残業する計算です。

 しかし、働いている以上、残業せざるを得ない状況も発生します。では、何時間までなら法的に問題がないのでしょうか?自分の身体や精神状態を守るためにも、残業に関する正しい知識を確認しておきましょう。

残業100時間超えは違法?

 残業が月100時間を超えるということは、出勤日のほとんどで5時間以上の残業をしていることになります。通常の退社時間が18時とすると、毎日23時まで働く計算です。

 では、月100時間の残業は違法なのでしょうか?

 労働基準法では、1日の労働時間は8時間まで、1週間では40時間以内と定められていて、それを超える労働時間が「残業」になります。企業が従業員に残業をさせる場合は、労働基準法36条、通称「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出をしなければなりません。しかし、36協定で認められているのは月に45時間の残業まで。通常業務では対処できないほどの仕事量がある場合でも、延長が許されるのは月60時間までです。

 ただし、これはあくまでも厚生労働省が示している一定の基準に過ぎず、法律によって定められているわけではありません。つまり、法的拘束力はないので、100時間を超えているからとって、一概に違法とは言えないのです。上記の企業の場合は、過去にも同様の事例があり、改善が認められなかったため、書類送検されたということのようです。

 残業代に関しても、法定外の時間外労働には25%以上の割増賃金を支払う義務が会社にありますが、これも業種によっては注意が必要です。例えば、就業規則で、基本給の中に一定時間の残業代が含まれていると書かれている場合は、その時間内の残業代はつきません。また、事業所に立ち寄らない直行直帰が多い人などは、会社側が勤務実態を把握できないため、何時間働いても規定の労働時間内とする「みなし労働時間」という制度もあります。

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100時間超えると、どうなるのか?

 100時間の残業をすると、身体にどんな影響が出てくるのでしょうか?

 厚生労働省の中央労働防止協会が発表した「過重労働による健康障害防止のための総合対策」には、月に100時間、または2~6カ月の間に平均して80時間働くと、心身に健康被害のリスクが高まるとのデータが出ています。

 その健康障害の代表例が、血圧の上昇や交感神経の過活動で、これが脳や心臓疾患の原因にもなります。健康診断を受け、血圧に異常な数値が出たら、その可能性を疑ったほうがいいかもしれません。見た目にも容姿がやつれ、内面ではストレスから破壊衝動が起きたり、深刻な場合は鬱病を発症する例もあります。

 それに加えて、睡眠不足や精神的なプレッシャーが強くなると、仕事の生産性が落ちて、正規の労働時間内では終わらず、さらに残業を重ねるという負のスパイラルに陥りがちです。月100時間の残業をしても、良いことはないと考えていいでしょう。

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これだけはやっておこう!残業時間をなるべく減らすための方法とは?

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 自分の身体のことを考えると、長時間残業は非常に危険です。では、残業を少しでも減らすにはどうすればいいのでしょうか?

 まずは、「必ず定時に帰る」という意識を強く持ち、自分のタスク管理を見直すことから始めましょう。大事なのはスケジューリングです。朝一番に「その日にやるタスク」をピックアップし、どのタスクをそれぞれ何時までに終わらせるかを強く意識するだけでも仕事の効率は大きく変わります。予定時間を守れなかったタスクについては、なぜ遅れたのか原因を考え、業務を迅速化するための改善に努めましょう。

 仕事の優先順位を明確にして、明日以降でも構わないものは後回しにする思い切りもポイントです。また、すべて自分一人で抱え込まず、周囲に協力を仰いでタスクをうまく割り振ったり、時には断る勇気を持つことも大切です。

 無駄な時間を省くためには、デスク周りの整理整頓も重要です。さらにパソコンも、空いた時間に不要なものを削除して、使いやすい状態にしておきましょう。

長時間労働を常態化させないという強い意識を

 本来は、定時で帰れるような仕事の仕方が理想です。しかし、時には残業をしなければならないこともあるでしょうし、それが自分の成長につながることもあります。さらに、時間外手当がついて給料が上がるのがうれしい人もいるでしょう。
しかし、それで身体や精神を壊してしまったのでは元も子もありません。月100時間の残業は違法とまでは断言できないものの、「異常」だという認識を持ち、それを常態化させないという強い意識を持つことで、よりよいワークライフバランスが保たれることにつながります。

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