今の仕事にやる気が持てない人のための「やる気スイッチ」をオンにする方法

 仕事に対して「どうもやる気が出ない」というとき、ありますよね。
 やる気のないまま仕事にとりかかって、全然はかどらずにイライラ…そのうち苦痛の方が強くなって、ますますモチベーションが下がるという悪循環。そんな負のスパイラルに陥らないための、仕事のやる気スイッチを「オン」にするいくつかの方法をご紹介します!

 今回、転職エージェントとして数千人のビジネスパーソンとの面談経験を持ち、自身も社内でMVPを連続受賞するなどの高業績を挙げてきた森本千賀子さんに「やる気スイッチの入れ方」について聞いてみました。

 森本さんによると、転職サポートを行う中で、人の「やる気スイッチ」がいきなりオンに切り替わる瞬間を目にすることがよくあるとか。そうした事例と森本さん自身の経験から、モチベーションを上げるためのヒントをお話しいただきました。

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今の仕事の中で「面白い」部分に焦点を当ててみる

 ビジネスパーソンは経験を積むほど、任される業務や役割が増えていくもの。目の前に降ってくる業務をひたすら「こなす」だけの状況では、ふと虚無感のようなものが湧き上がってきたりします。

 けれど、多くの業務に追われる中でも「これをしているときは時間を忘れる」「楽しい」「面白い」と感じるものが何かしらあるはず。それを探し出して、日頃から強く意識してみてください。

 私が転職をお手伝いした方で、金融機関で投資先企業の経営支援を手がけていた方がいらっしゃいました。その方は仕事に物足りなさを感じていたのですが、お仕事の話を聞いている途中、ある話題になったときに、表情が力強く輝き出したのです。その話題は「人材の採用・育成」でした。

 彼自身はそれまで自覚がなかったようですが、経営の3要素「ヒト・モノ・カネ」を扱う中で、特に「ヒト」への興味関心が強かったのです。「それをさらに深めたい」という「やる気スイッチ」が入り、その方は人材業界に転職を果たしました。

 転職までしなくても、数ある業務の中で「面白いもの」を意識してみると、その分野でスキルアップしたいという欲求や目標が湧いてくると思います。それを実行すれば、いずれ社内でその分野に特化した「スペシャリスト」になれる可能性もあります。

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自分に刺激を与えてくれる人と話す

 現状に不満やもやもやを抱えながら転職活動をしている人が、いきなり「やる気スイッチ」がオンになるシーンがあります。その多くは、「人との出会い」がきっかけです。例えば、面接を受けた人が「この人と一緒に働きたい!」と、当初はあまり乗り気でなかった企業への入社を決意したりするのです。

 もちろん、転職の場面に限らず、人は人との出会いによって劇的に変わるものだと思います。自分に刺激を与えてくれそうな人に会いに行って話をしてみましょう。社内のスタープレイヤーに「お話しさせてください」とアプローチするのもアリ。取引先で気になる人に「一度ランチをご一緒させてください」と誘ってみるのもいいでしょう。セミナーや講演会に足を運んでみるのもお勧めです。

 また、身近な友人や同僚などでも、「この人と話せば自分はやる気が出る」という人を見つけておくといいでしょう。

 やる気が出ない状況が長引いている場合、故郷を離れて暮らしている人であれば、「帰省する」という手もあります。故郷には、自分のことを応援してくれている人、期待してくれている人がたくさんいます。親、きょうだい、恩師、旧友など…。その人たちの顔を見るだけでも「くすぶっていられない!」と気持ちを奮い立たせられるのではないでしょうか。

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仕事をするのは「会社のため」ではなく「自分の価値を高めるため」と考える

 仕事にやる気が出ないという方は、上司や会社に「使われている」という意識になっているかもしれません。それはもったいないことです。

 仕事は、会社に利益をもたらすためのもの、自分が給与を得るためのものだけでなく、自分がノウハウを得て、スキルを磨き、人材としての「価値」を高めるための手段でもあります。「会社のためでなく、自分のために働いている」…その原点に帰ってみてはいかがでしょうか。

 といっても、今の仕事にやりがいを感じられないと、「この仕事を続けていく意味があるんだろうか?」なんて思うかもしれません。しかし、実際に、自ら望んで入ったわけではない職場で積んだ経験が、いずれ大きな武器となって、40代でやりたい仕事に転職を果たした人もいます。

 仕事を「なりたい自分になるための手段」と捉え直してみてください。取り組む姿勢も自然に変わってくると思います。

自分の仕事が「人や社会に与える影響」をイメージする

 自分の仕事がどんな人に、どんな影響を及ぼすのか、想像をふくらませてみてください。例えば、自分が扱っている商品やサービスを使っている人の姿、その商品が広がることで人々の生活がどう変わっていくか…などをイメージしてみるのです。

 私の場合は、「転職エージェント」という仕事ですので、私が転職をお手伝いした方が入社後に新しい商品やサービスを生み出し、それによって人々の生活スタイルが変わり、ひいては社会の仕組みまで変わっていく未来を想像したりします。すると、やる気スイッチがオフになるヒマがありません。

 あなたの仕事は、目には見えにくいこともあるかもしれませんが、確実に誰かに影響を与えて、社会を動かしているのです。それをやりがいとして意識してみてください。

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「当たり前にあるもの」に感謝してみる

 自分が仕事をしている環境を改めて見回してみると、普段はあって当たり前だけど、なくなったら非常に困るものがたくさんあります。
 PCでデータ管理が簡単にできるのはシステム部門のスタッフのおかげですし、ペンやメモ帳を使えるのは総務スタッフが調達してくれているから。毎月、給与が振り込まれるのは経理スタッフの働きのおかげ。ゴミ箱にゴミがあふれないのは清掃スタッフが片づけてくれるから。

 さらにいえば、電車が時刻表通りに運行して目的地に運んでくれるのも、暗くなると明かりがつくのも、水道のレバーを回すだけでおいしい水が飲めるのも、すべて誰かの働きのおかげです。

 そうした色々な「おかげ」に目を向けてみてください。自分が多くの人に支えられていることを実感すると、自分も「与えられた役割を果たしたい」というモチベーションが湧いてくると思います。小さなことでも「感謝」の気持ちを持つと、自分のやる気も引き出せるのではないでしょうか。

さまざまな「一流のプロ」の仕事に触れてみる

 一流のレストランで食事をする、一流のホテルでサービスを受ける、一流の音楽家のコンサートや一流のダンサーのステージを鑑賞する、一流の芸術家の展覧会に足を運ぶ……ときには、そんな体験をしてみるのもお勧めです。

 「一流」に触れるとどうなるか。
 単純に「感動」します。心が揺り動かされます。すると、「自分も素晴らしい仕事をして顧客に感動を与えたい」「自分も一流のプロでありたい」といった気持ちが自然に湧いてきて、仕事へのモチベーションアップにつながると思います。

森本千賀子さん/株式会社リクルートエグゼクティブエージェント
エグゼクティブコンサルタント

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1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒業後、1993年にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援、転職支援を手がける。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、常に高い業績を挙げ続けるスーパー営業ウーマン。現在は、主に経営幹部、管理職を対象とした採用支援、転職支援に取り組む。
2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。『リクルートエージェントNo.1営業ウーマンが教える 社長が欲しい「人財」!』『1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣』『後悔しない社会人一年目の働き方』など著書多数。

EDIT&WRITING:青木典子

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