クレーム対応は、多くの人が嫌う業務です。しかし、クレーム対応の模範例をマスターしておくとクレーム客の怒りを静めることが可能です。模範例と心がけておくべきことについて解説します。
クレーム対応中に心がけるべきこと
クレームを言ってくる相手が話すことを、まずすべて聞くように心がけます。たとえ、クレームの内容が明らかに誤解、間違いであっても、途中で反論することはしないようにします。いったん、クレームの内容をすべて話し終えるとクレーム顧客の高ぶっていた感情が、クールダウンします。
その後で、クレームの内容に関して、自社製品、自社の対応に悪い点がないと思われても、顧客が気分を害したことに関して謝罪を行います。自社製品や自社対応に非があれば、その点も加えて謝罪を行います。
次に、クレームの内容への対応がその場で不可能な場合は、調査して、あるいは担当者から連絡することを伝えます。そして、その連絡を迅速に行うように心がけます。これらを徹底すれば、クレームの半分は解決していると考えても良いでしょう。
クレーム対応の模範例と悪い対応例
悪い対応例を先に紹介して、模範対応例を紹介します。
事例1 クレームに対して明らかにこちら側に非がある場合
1-1 悪い対応例
・クレーム内容:お宅で購入した新品のテレビが壊れていました。何とかなりませんか?
・悪い対応例:そうですか、わかりました。では早速ですが、取り換えさせていただきます。
1-2 解説
一見すると、修理もしないで新品交換することを非常に早く判断して対応しているので、問題がないようにみえます。しかし、顧客がクレームを言う前に、なぜ映らないのか、自分のセッティングが悪いのではないかと時間をかけて試行錯誤して苦労していたかもしれません。
その場合、この対応では、顧客のクレームに完全に対応できておらず、クレームは半分しか解決していません。場合によっては、この対応では、さらに大きなクレームに発展する可能性があります。
1-3 模範対応例
・クレーム内容:お宅で購入した新品のテレビが壊れていました。何とかなりませんか?
・模範対応例:大変申し訳ありません。いろいろとご不便をおかけいたしております。現在の状況はいかがでしょうか?故障の内容によっては、大至急、同じテレビの新品を手配させていただきます。しばらくの間、ご迷惑をおかけしますが、最速での手配をさせていただきます。この度は、本当にお手数をおかけして申し訳ございませんでした。
1-4 解説
模範対応としては、まずクレームに対しては謝罪を行います。また、クレームによって間接的な問題が起きている可能性があるので、それに配慮した言葉を使います。そして、解決案を提案します。最後に、再度、謝罪の言葉を続けます。
事例2 クレームに対して、こちら側に非があるかどうか不明な場合
2-1 悪い対応例
・クレーム内容:お宅で購入したパソコンが動作しない。故障と思う。何とかしてほしい。
・悪い対応例: パソコンでは、パソコンが問題なくても使い方によって動作しないことが多く発生しています。どのような状況でしょうか、詳しく教えていただけますか?
2-2 解説
電子レンジ、冷蔵庫のように電源を入れれば動作するような商品でない場合、設定や接続の方法で動作しないことがあります。そのことを理解している人には、それほど悪い対応ではないように思えます。しかし、この場合も、顧客がいろいろ試行錯誤して苦労した可能性があります。その場合、この対応では、クレームは増幅する可能性があります。
2-3 模範対応例
・クレーム内容:お宅で購入したパソコンが動作しない。故障と思う。何とかしてほしい。
・模範対応例:ご迷惑をおかけしており誠に申し訳なく存じます。お忙しいところ、申し訳ありませんが、どのようなお使い方をされていたのかを詳しく教えていただけますでしょうか。お困りになっている状況をできるだけ早く解決するためにパソコンが故障しているのか、設定が間違っているなど、不具合の原因を切り分けさせていただきます。大変申し訳ありませんが、ご協力をお願いいたします。(状況聞き取り後、最後に)お聞きした内容は、今後の製品作りやサポートに反映させていただきます。この度は、貴重な情報をご提供いただき誠にありがとうございました。
2-4 解説
こちらに非があるかどうか不明な場合も、やはり、最初に謝罪の意思を伝えることは、不具合の内容を教えてもらう上で、顧客の気持ちを和らげられるので必要です。次に、不具合の内容を教えてもらうのは、手間をかけることになるので、その点を謝罪して教えてもらいます。このとき、不具合の原因を追究するという技術的な会話の雰囲気だけにならないように気をつけます。あくまでも、相手の不便さをできるだけ早く解決してあげたい気持ちを強く持っているということを分かってもらえるような会話をします。また、顧客から聞いた情報は貴重であったということを最後に伝えることがポイントです。
まとめ
今回は、一般的にはこれで良いと思われるようなクレーム対応の内容であっても、場合によってクレームが大きくなるような事例とそれを防ぐ模範対応例を紹介しました。参考にしていただければと思います。