【堀江貴文氏インタビュー】丸投げして任せることができるなら、それに越したことはないんです。

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マネジメントをするうえで、意識すべき視点とは何か?

業績に貢献する人材を育てる秘訣とは何か?

マネジメントに必要なスキル・ノウハウについて、現在第一線で活躍中の経営者・人事のプロにインタビュー。前回に引き続き、SNS株式会社ファウンダー、株式会社7gogoファウンダーの堀江貴文さんに伺いました。

ほりえ・たかふみ:SNS株式会社 ファウンダー、株式会社7gogo ファウンダー
<プロフィール>

1972年、福岡県生まれ。東京大学在学中の1996年にインターネット関連会社のオン・ザ・エッヂ(のちのライブドア)を起業し、2000年に東証マザーズに上場。2004年から近鉄バッファローズやニッポン放送の買収に乗り出し、起業家ブームの象徴として注目される。2006年、証券取引法違反で逮捕され、懲役2年6カ月の実刑判決が下る。獄中からも情報発信を続け、服役後は民間ロケット開発を行うSNS株式会社や、スマホ向けサービスを運営する株式会社7gogoのファウンダーとして活躍している。

■優秀なエンジニアを集めるには、カリスマを連れてくること

僕が今、唯一といっていいほどストレスに感じているのは、ライブドア時代にせっかく集めたエンジニアチームが使えないことです。創業から会社が有名になるまでは、人を獲得することがめちゃくちゃ大変でした。ようやく素晴らしいチームができたと思った矢先に逮捕されたんです。当時のメンバーが今再びLINEに集まってきていますから、そりゃあの会社は強いよなって思います。

エンジニアの話でいうと、優秀な人を集めるには、最初にカリスマを連れてくるのが一番いいんです。技術や能力のレベルが高い人ほど、憧れのカリスマと一緒に仕事がしたいという思いが強い。そうやって人が人を呼び始めると、いい循環ができてきます。

オン・ザ・エッヂでは、日本のwebプログラミングのパイオニアだったダン・コガイ(小飼 弾)や、彼のあとにCTO(最高技術責任者)になった宮川(達彦)くんが入ってきてくれたことが大きかったですね。彼らは、プログラミングの実装能力よりも、モジュールを投稿してオープンソースで公開するような、コミュニティへのコミットメントによって知名度があった。彼らに憧れて、その後ネットワーク事業部長になった池邉(智洋)くん(現・LINE上級執行役員)のような、実装能力も高くて納期を守る優秀なエンジニアが集まりました。初期のライブドアブログは、本当に池邉くんがひとりで作ったようなものです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

■事業が好調なら、その人のやり方でマネジメントするだけでいい

そうやっていいメンバーが集まると、できる人には丸投げしてお任せできるわけです。基本的に僕は、好調な部門にはほとんど口を出しません。「もっとこうしたら?」というポジティブなアイデアは出しますが、要所を決めたら、あとは変にならない限り干渉せず、文句を言わないようにしています。

マネジメントの手法といっても人それぞれいろんなやり方があるわけで、すごい利益を叩き出す人もいれば、育てるのがうまい人も、手間をかけずに丸投げするのがうまい人もいる。その人のスタイルでうまくいけばいいんです。

もちろん、うまくいっていないところには口出ししますよ。ただ、プログラミングでもロケット開発でも、システム開発のプロジェクトがスタックするときっていうのは、統制が取れていないせいで、みんなが好き勝手なことをやっていることがほとんどです。余計な手順を踏んでいたり、完成までのロードマップが明確になかったり、期限を決めていなかったり。いろんなことがあって、ダラダラしているだけ。そういうときは難しいことをしなくても、交通整理をして方向性を決めるだけで、動くようになります。

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■自分が一番のヘビーユーザーになって、改善要求を出していく

もうひとつ、webのサービスについていえるとすれば、自分が一番のヘビーユーザーになるということです。多分、僕と一緒に仕事をしてきた人、とくにプログラマの人たちは全員が、社長は自分たちで出したサービスの一番のユーザーで、最初にバグに気づいたって言うと思います。今やっている755(ナナゴーゴー)っていうサービスでも、最初に僕がバグに気づくことが多いです。自分で使ってみて、顧客の目線から改善要求を出していくんです。

プログラマの人たちって、UIを自分がつくりやすいように、楽につくれるようにつくっちゃうんですよね。たとえば、入力フォームで生年月日を選ばせるときに、どう設計するのか。2015年がデフォルトになっているのとかは、もう最悪なわけですよ。今年生まれた赤ちゃんはこのサービスを使わないだろう、デフォルトはサービスのターゲットユーザーが一番多い年にするべきだろうってことを考えていない。今でこそUIが大事だっていう意識が広まってきたので、webのサービスでもマシなところはありますが、まだまだ当たり前のことすらできていないところも多いですよ。

要は、自分はサービスを使う立場じゃなくて、つくる側だ、と。このシステムを納品して会社から給料をもらおうくらいにしか考えていないわけですよ。エンジニアに限らず、誰にでもいえることですが、言われたことをやっていればいいってふうに流れてしまう。そこをマイクロマネジメントしていくのは、経営者の仕事かもしれませんね。

EDIT/WRITING宇野浩志

>前編はこちら

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