社内融資とローンの返済
[ POINT! ] 退職すれば、その会社の社員ではなくなるので、福利厚生制度は受けられなくなり、社内融資なども解約しなければならない。カード会社、生命保険会社、銀行への届け出も必要になる。
*転職者の声「私はこうしました」
■金融機関から融資を受けている場合は?
 民間の銀行ローンを利用している人のうち、ローン契約書の約定に勤務先の移動があった場合の届け出が定められていた場合、退職したら速やかに金融機関に届ける必要がある。
 基本的に金利や毎月の返済額が変わることはないが、返済の可否を判断するために、転職後の収入額を詳しく聞かれることもあるようだ。
 住宅ローンなど大きなローンをかかえている場合は、退職前に、より綿密な資金計画を練ることが必要だろう。
■失業が長引いて返済が困難になったら?
 失業期間が長引いたり、転職当初、ボーナスの額が減ったりして、それまでの返済が困難になった場合は、金融機関に相談してみる。 再就職の見込みがあれば、一定期間返済を猶予する金融機関もあるからだ。
 また住宅ローンの場合、民事再生法の住宅資金貸付債権に関する特則により、債権者とも相談のうえ裁判所に申し立てれば家を手放さずに借金を繰り延べられる。 最長10年、70歳まで返済期間を延ばすことが可能だ。
 住宅金融支援機構でローンを借りている場合は、最長15年、返済期間を延長できる特例もある。これは倒産など勤務先の事情で返済が困難になり、年収が機構(旧公庫)への年間総返済額の4倍以下になるなど一定条件を満たした場合に適用される。 さらに失業したり、収入が20%以上減少した場合は、返済期間の延長に加え、元金の支払いを一時休止して利息のみを支払う期間を、最長3年まで設定できる特例もある。ほかにも返済減額期間の設定などさまざまな方法があるので相談してみよう。
■社内融資制度を利用していた場合は?
 社内融資は退職時に一括返済する。 通常は年齢や勤続年数に応じた貸し付け枠を設けているため、退職金などで完済することができるから、あまり問題にはならないだろう。 問題となるのは、融資額の大きい住宅融資制度を利用している場合だ。
 会社の住宅融資制度には、主に次の2つのケースがある。
会社が直接融資している場合
 退職時には一括返済が原則。若いうちは退職金の額が少ないため、退職金では返済ができない人が多いだろう。手元に一括返済できる資金がなければ、退職前に、新たに金融機関から借りられるかを確認する必要がある。
提携した金融機関からの借り入れに対して利子補給している場合
 この場合は、退職と同時に利子補給が打ち切られるため、金融機関に退職の報告をし、引き落とし額の変更などの手続きをする。その際も、金融機関から転職後の勤務先、収入の増減などの質問を受けることが多いようだ。
 利子補給がなくなることで、それまでの返済計画を変更したい場合は、あらかじめ金融機関に相談してみる必要がある。
■財形住宅貯蓄をしていた場合は?
 財形住宅貯蓄は、住宅の取得や増改築を目的として積み立てるもの。 普通、預貯金の利子には所得税、地方税を合計して20%の税金がかかるが、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄を合わせて元金550万円になるまでは、その利息に税金はかからないというメリットがある。
 この制度は、公務員や会社員などの勤労者が給与天引きのみで利用できるものだが、転職先の会社に財形住宅制度がある場合は、いったん積立を中断しておいて、退職後1年以内に転職先の事業主を通して申し出ることで、以前の契約に基づいた財形住宅貯蓄を継続することができる場合もある。
 会社の規定によっては、退職の際に解約しなければならないケースもあるので、転職前に会社で確認してみよう。
■銀行、生命保険、カード会社への届け出は?
 転職後に忘れてはならないのが、銀行や生命保険会社、カード会社への届け出だ。  銀行は、普通預金であれば、自宅の住所変更がない限り届け出の必要はないが、当座預金、財形貯蓄、ローンなどを利用している場合は届け出なければならない。
 生命保険も、保険料を給与から天引きしていたのであれば、引き落とし先の変更手続きなどをする必要がある。そうでなくても勤務先の連絡先は登録されているもの。 保険はまさかのときに必要なものなので、どんなときでも連絡が取れるよう、常に情報を更新しておくべきだろう。
 また、クレジットカード会社では、届け出をしないことがトラブルの原因になることもある。カード限度額の設定が、会社の信用力や給与額などに応じて決められているからだ。 特に、失業が長引いて著しく収入が下がった場合は、届け出を怠ってトラブルが起きた場合、一括返済を求められることもある。
転職者の声「私はこうしました」
資格取得の援助費用。返金の義務はないと知り、その意思がないことを伝えた 資格取得の援助費用。返金の義務はないと知り、その意思がないことを伝えた/転職者U・Kさん 前職はコンピュータ会社のSE[30歳]の場合
会社の資格取得補助制度を利用して学校に通い、コンピュータ関連の資格を取得。 退職を申し出たら費用を返せと言われた。弁護士に相談したところ、補助制度は待遇のひとつで貸し付けではないので返金の義務はないとのこと。 「援助には感謝するが、業務にも真剣に取り組んだ」と、やんわりと返却しない旨を伝えた。
社内融資の変更手続き。証明書を提出して、問題なく借り続けることができた 社内融資の変更手続き。証明書を提出して、問題なく借り続けることができた/転職者I・Sさん 前職は広告制作会社の人事[35歳]の場合
社内融資で住宅ローンを組んでいたが、何とかなるだろうと転職に踏み切った。 利用したのは、銀行ローンに対して会社が利子を補てんする性質のもの。退職前に転職先を決め、転職先の人事に頼んで見込み収入証明を発行してもらい、銀行担当者と相談。 見込みの金額まで見せたことで、問題なく継続することができた。
クレジットカードの変更手続き。連絡しないと、最悪、カードを剥奪される場合も クレジットカードの変更手続き。連絡しないと、最悪、カードを剥奪される場合も/転職者O・Tさん 前職は食品会社の営業職・現在求職中[30歳]の場合
退職したことを伝えなかったために、カード会社から自宅に連絡があり、今後の収入の見込みなどについて根掘り葉掘り聞かれた。 結果的に利用限度額を下げられたが、後で聞いた話では、変更を伝えなかったことでカードを剥奪されたケースもあるとのこと。自分はまだマシな方だったと思う。
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