面接のウラ側大公開
第1回「自己紹介」編 第2回「志望動機」編
第3回「退職理由」編 第4回「自己PR」編
第3回「退職理由編」
「退職理由」では、ついつい現職の不満を言ってしまいがち。それを聞いた面接担当者の反応は……。読者3人の模擬面接で、人事の本音に迫ります!
面接官          
辻 太一郎さん 辻 太一朗さん
(株) リクルート人事部在職中に、1万人以上の面接を担当。
99年、採用コンサルタントおよびアウトソーシングを目的とした(株)アイジャストを設立。
        面接に挑戦するのはこの3人
     
Aさん Aさん (29歳) >>
現在 銀行・リスク管理担当
希望 経営企画・広報
   
Bさん Bさん (26歳) >>
現在 SE(プロジェクトリーダー)
希望 Web関連企業・ITコンサルタント
Cさん Cさん (28歳) >>
現在 通信・企画開発
希望 テレビ局、ITベンチャーなど
面接スタート!
辻 太一郎さん 銀行のリスク評価担当から、経営企画・広報へ転職するAさんの場合 Aさん
面接官のホンネ 面接実況 応募者のホンネ
 
辻: なぜ、退職を考えているのですか?
 
面接官 (※1)
銀行という業界が、今大変な時期なのはわかる。ただ、どれだけ具体的に「不安」を感じるのか、内容にもよるだろう。今はどんな業界でも、少なからず将来的な不安を抱えているだろうから、漠然とした不安というだけでは、納得がいかない。
A: 志望動機で申し上げたように、経営企画の仕事がしたいという理由もありますが、(※1)業界全体として株価が低迷するなど、この先どうなるのか不透明な状況に不安を感じたことも、転職の動機となりました。
辻: たとえば、どんなときに不安を感じるのでしょうか?
 
面接官 (※2)
人事担当者も納得できる話だろう。しかし、やはり多くの人が辞めたのはもっと前の時期。なぜ「今」転職するのだろうか? 人間関係など何か特別な問題があるのか、疑ってしまう
A: (※2) 業界として、会社として目指す方向がはっきりしないことです。どのようにして利益を出し、どのようにして社会に貢献するのか、将来的なビジョンが明確な仕事のほうが、きっとやりがいを感じられると思うのです。
(※2) 応募者
真実を語ると、どうしても経営批判になってしまう。会社への不満だけで転職すると思われたくないので、言葉は選んだほうがいいな。
辻: (※2) 銀行の方々がこぞって転職したのは、少し前のことです。なぜ、「今」なのでしょうか?
面接官 (※3)
最初から合併時から今に至る思いを説明したほうが、より説得力が強いかもしれない。
A: 確かに他行と合併した時期に、多くの行員が辞めました。私はそのとき、きっと新しい風が入って、状況は変わると判断して辞めなかったのです。実際に、以前よりも閉塞感がなくなり、部署のメンバーや上司は尊敬できる人も多く、一緒に仕事を続けたいという思いはあります。(※3) しかし、先に申し上げたとおり業界全体としての将来性に対する不安感がだんだん強くなり、別の業界で自分の能力を活かすことができたら、という気持ちがぬぐえなくなってきたのです
(※3) 応募者
「仲間とは一緒に働きたい」という話から、人間関係というような問題ではないことは、わかってくれただろうか。
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辻 太一郎さん システムエンジニアからITコンサルタントに転職するBさんの場合 Bさん
面接官のホンネ 面接実況 応募者のホンネ
 
辻: ステップアップ以外に、退職を考えた理由はあるのですか?
 
 
B: 給与体系と、会社の体制に不満があります。
 
 
辻: 給与に対する不満は、額についてですか? それとも給与制度?
 
面接官 (※4)
単に給与が安いと一方的に言うのではなく、比較できる数字を提示しているので冷静さが伝わってくる。また、成果を上げている人材だけに本人の不満も理解できるし、金額の問題だけでなく会社の姿勢に憤りを感じていることがよく伝わってくる。
B: 両方です。入社時の大学院了と大卒の給与格差は当たり前だと思うのですが、それが何年経っても差は縮まらない仕組みなのです。(※4) 大学院の同期は、私より10万円も賞与が多いし、院了であるプロジェクトの部下ですら私より高い。大卒の同期の中で比較しても、「今回は評価が高く、同期とも大きく差をつけた」と上司に言われたときでも、賞与でたった1万円の差しかつかず、学歴と年次による横並びから脱却できないのです。
(※4) 応募者
正直に給与の不満を述べてしまったが、お金だけにこだわる人材と思われないか心配……。
辻: 会社の体制というのは、どのような不満ですか?
 
 
B: 前例のないことをやろうとすると、許可に非常に時間がかかります。管理部門が手続きを非常に煩雑にしているように思います。
 
面接官 (※5)
なぜ1社だけしか経験していないのに、「時間がかかる」と断言できるのだろうH この発言だけ聞くと、自分の立場からしかモノが見られない人材と勘違いされる可能性もある。
辻: (※5)どうしてそう思うのですか? 今まで1社しかご経験がないですよね?
(※5) 応募者
……困った質問だ。確かに1社しか経験していないから、説得力がないかもしれない。単なる「世間知らず」ととられないだろうか?
面接官 (※6)
具体的な事例として聞くと、現状をしっかり分析していることがわかる。組織全体の問題なので、自分の力だけではどうにもならない、だから転職をするという図式が明確だ。
B: (※6)確かにそうですが、以前よりもより手続きが複雑化しているのは事実です新しいプロジェクトの申請は、現場の効率性を考えた全社の協力体制が必要だと思います。スピードがなければ、勝てない時代ですから。しかし、今のシステムは申請時には必要ないようなデータの打ち込みまで強要されるなど、管理部門が楽をするためとしか思えない体制がまかり通っています
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辻 太一郎さん 通信・企画開発職から、インターネットサービスプランナーに
転職するCさんの場合
Cさん
面接官のホンネ 面接実況 応募者のホンネ
 
辻: 退職理由は、コンテンツビジネスを手掛けたいという理由なのでしょうか?
 
面接官 (※7)
「充実しているのになぜ、今?」と人事は考えるだろうが、この説明を聞けば、前向きな転職であることがよくわかる。ただ、「自分にも還元される」というのは、給与に不満があるのかもしれない。
C: そうなんです。今の仕事にはとても満足しています。会社の中でも、新しいサービスの事業開発ができるのは、ほんの一握りですから、恵まれていると思います。ただ、やはり、(※7)手掛けたコンテンツサービスが爆発的にヒットし、会社に利益をもたらして、さらには自分にも還元されるような、そんな仕事をしてみたいのです
(※7) 応募者
会社への不満ではなく、「コンテンツビジネスを成功させたい」という意図が伝わっただろうか?
 
辻: 「自分にも還元される」というのは、今の給与に不満があるのでしょうか?
 
面接官 (※8)
プランナーの仕事は、単にアイデア勝負ではなく、事業として立ち上げ、儲かる仕組みを作ることが求められる。成功によって会社にも自分にも利益をもたらすという考え方は、好印象。
C: 確かに横並びですが、給与額にはそれほど大きな不満はありません。ただ、(※8)自ら手掛けたビジネスが成功し、それが自分にもはねかえってくるほうが、やりがいが大きいと思うのです
(※8) 応募者
成果をお金で還元されたほうがやりがいはあるが、「お金ばかりが目的」と勘違いされないように、言葉遣いに注意しなければ……。
辻: 常に前向きに考えているようですが、仕事に対して「嫌だ」とか、「つらい」と感じることはないのでしょうか?
 
面接官 (※9)
あまりに前向きさが目立つので、「作った自分像」ではないか確かめるために聞いてみた。しかし、裏付けとして語られたエピソードにも信憑性があり、本当に前向きで、仕事を楽しめる人材だということが伝わってきた。
C: ……ないですね。(※9)毎年、健康診断で心理テストのようなものをやって、ストレス度が数値で出てくるんです。周囲の先輩にはストレス度80%という方もいらっしゃるんですが、私は2年連続で1〜2%でした。忙しいし、ハードな仕事であることは間違いないのですが、どんな仕事を任せても苦にしないので、会社も使いやすいのでしょうね(笑)。
 
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今回の面接の心得 3か条
1.「同じ理由で辞めてしまうのではないか」と感じさせない
 退職理由は、基本的には「今の会社ではできないことを転職によって実現させたい」という前向きな内容がベスト。企業が転職理由を聞くのは、不満があればすぐに辞めてしまう人材なのか、測りたいという意味合いが大きい。だから、応募先の会社がいかに自分の志向やキャリアプランにマッチしているか、そこでどんなことを実現したいのか具体的に語れることが重要になる。

2.会社の不満を言うなら、「なるほど」と思えるかどうかが肝心
 退職理由に会社の不満を絶対言ってはならないというわけではない。不満があるならウソをついても、ボロが出るからだ。ただし、ちょっとした不満で辞める人材だと思われないように、その不満は誰が聞いても「なるほど」と納得してもらえるほどの状況なのか、判断が必要。単なる自分の思い込みではないか、友人などに話してチェックしてみよう。

3.情報管理を怠ると、社会人としての感性を疑われる
 退職理由として、前向きな理由を語るにせよ、不満を話すにせよ、注意しなければならないのは情報管理。どうしても現在の勤務先の現状を話すことになるが、ついつい口が滑って、機密情報や顧客情報などを話してしまうと、情報管理が甘い人、ひいては社会人としての基本ができていない人ととられる可能性も。



第1回「自己紹介」編 第2回「志望動機」編
第3回「退職理由」編 第4回「自己PR」編




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