面接官の頭の中、丸見せスペシャル！:CASE1／リクナビＮＥＸＴ[転職サイト]

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「面接官は何が知りたくてこんな質問をするのだろう？」「私の発言は面接官にどんな印象を与えているの？」…。今回は、特に過去の経験が通用するか不安な『未経験』での転職を考えている方のために、模擬面接を実施。面接官の頭の中まで、じっくり実況中継します！


	キャリア・コンサルタント小林智明さん

個人を対象にしたキャリア形成および転職支援コンサルティングのほか、企業向けの人材育成コンサルティングで多数の実績を有している。また、現場においても"キャリア気付き"研修のファシリテーターや能力開発トレーナーとして活躍。


T・Nさん
	公立中学校講師・契約満了後、求職活動中
	証券・ファイナンシャルアドバイザー


H･Kさん
	医学部博士学位を3月に取得して卒業したばかり・中国からの留学生
	商社・営業アシスタント

公立中学校講師から、証券会社のファイナンシャルアドバイザーに転職を希望するT・Nさんの場合

どうして大きな方向転換を？まずは、これまでの経緯を確認したい。

Q：	T・Nさんがこれまでやってこられたお仕事と、それからなぜ、今、まったく違う分野へ転職を考えたのかという点をお話しいただけますか。

A：	私は、大学時代経済学部に所属しておりまして、そこで教員免許を取得いたしました。もともと教員を目指していたので、大学院では教育学を専攻しながら、非常勤講師として、教師の最初の仕事を始めました。大学院修士課程が終わった後は、教員採用試験のみの就職活動しか行っておらず、これに落ちてしまったので、母校の学校事務員という形で働かせていただきました。

経歴は、もっとポイントをしぼってコンパクトに。たとえ、ファイナンシャルアドバイザーへの転職でも、「今までは正規の教員になることが私の中で大きな目的でした」と最初にすぱっと言ってしまい、ひとつの目標に向かってきていた旨を語ったほうが好印象だ。細かい経緯を語るよりも、ひとつの目標に向かって努力できる姿勢を知ってもらえるような工夫を。

（中略）
その後、A社の求人をハローワークで見つけました。こちらは営業職だったのですが、契約社員なので、区切りのある営業でございました。契約社員ということで区切りがある分、その後のプランも立てやすいと思い、一時的なのですが、A社で、新規開拓の営業をさせていただきました。
また、一回落ちた教員採用試験なのですが、講師登録というものがありまして、その中で、故郷である宮崎の学校から、ぜひ来ないかという話をいただいたので、A社の契約が切れてすぐに、宮崎の実家に帰り、高校の講師を務めました。社会科を担当いたしまして、最初の高校で、1年半ほど、臨時の産休代替というかたちで、勤めさせていただきました。そしてその後、別の中学校に半年、これは病休代替というかたちで同じく社会科を担当させていただきました。

大きな方向転換なので、志望理由は、最も気になるところ。これだけではちょっと弱い。
もっと自分の経験に基づいた具体的な理由があるとよかったなぁ。

Q：	教員から、証券会社のファイナンシャルアドバイザーとは、大きな方向転換ですね。この業界を志望した動機を、あらためておうかがいしたいのですが。

A：

いまの臨時教員という働き方は次の職場があるとは限りません。教員採用試験というのは大変狭き門で、私が最後に受けた回は80倍という倍率。そして今回に関しては募集もない状況です。そのような不確かな中で、教員を目指し続けて、転機を失ってしまうのはどうかと思いました。私は社会科の教員ですし、経済学部だったということもありまして、前々から興味を持っていた業界が証券業界でした。それとA社時代、営業をしていたときに、短い間ではあったんですが、性に合う仕事だなというのを肌で感じたのです。そこで、証券業界で、営業として正社員を目指したいと考え、次の学校の契約も一応あったことはあったんですが、お断りさせていただいて、今回の転職活動に至りました。

教職では、将来性に不安を感じて、それも志望理由につながるのだけど、話してもマイナスの印象にならないだろうか。主に給与面の不安なのだが、なまなましすぎないだろうか。言い訳がましく聞こえないかが心配。やっぱりやめておこう。

現在の意志の強さをはかるためにも、もう一度、聞いておきたい。

Q：	教員になりたいというお気持ちは、もうよろしいんですか。

A：	今のところは、もう…次の学校の話を断ったときに、振り切っている話ですね。

漠然としていて、強い志望動機というのが、やっぱりまだよくわからない。再度確認しよう。

Q：	証券会社と、これまで何か具体的な関わりはありましたか。

A：	関わりはない…ですね。

Q：	例えば株を買ったことがあるとか。

A：

ないです。

Q：	では、教員をあきらめてまで、転職先として証券会社を選んだというその動機をお話しいただけますか。

ちょっと頭で考えたイメージに寄りすぎている印象。借りてきたような言葉ではなく、もっと自分の実体験に基づいたリアリティのある話が聞きたいところ。

A：

大学では経済学部でしたので、講義の中でいろいろ話を聞いていました。私が学生だったころは、金融危機が起こったころで、ヘッジファンドなどの話を聞くにつけて、何かとても魅力的で、かつ、チャレンジしがいのある世界なのかなと感じていました。株なども、ニュースを見ながら実はひそかに興味を持っていました。証券業界に身を置くことで、世界のいろいろな事件について関われるのかなと。社会科の講師でしたので、世界の主だった事件と近い距離で働きたいというのが、漠然とですがあります。そういうものを肌で知りたい。それが自分の知識の深みを増すきっかけにもなるのではないかなと思います。人間的にも深みを増したいなという願望もあって、この証券業界を希望しました。

実際に、ニュースで聞く以外に特に証券との関わりはないので、あまり自信がないなぁ。

Q：	それなら、証券業界でなくてもよいのではありませんか。

A：	そうとも言えるのですが、私がとっかかりがつかめそうだと思うのは証券業界ですね。

Q：	ファイナンシャルアドバイザーとはどんな仕事をするのか、想像がつきますか。

A：	現時点での私の認識の範囲ですと、富裕層の個人宅におうかがいして、資産運用に関するアドバイスをしていく中で、できたら御社の口座を作っていただく、その営業、というところまでです。

困ったなぁ。実際のところ、職務に対する知識も浅くて、まだまだ漠然とした「憧れ」のレベルに近いんですよね。

働き方のスタイルが性格に合っているかどうかも知っておきたい。
これまでずっと固定給の仕事だったようだが、不安定さや「仕事をとっていかなければいけない」ということへの覚悟があるだろうか？どれだけ強い意志を持っているかも聞きたいところだ。でないと、入社してもつらくなるのではないだろうか…？

「そのために～をした」といった具体的なエピソードがあるといいのだが…。口調も淡々としてしまっているので、せっかく熱い思いがあっても、伝わりづらいかもしれない。
話し方だけでも力強く自信たっぷりにして、熱い印象を持たれるように工夫するといいのではないだろうか？

未経験なので即戦力にはならないけど、それをふまえて、「こういうところで貢献できる！」というような、強いメッセージを聞かせてほしい。

Q：	4カ月ほど営業のご経験があって、自分に合っている仕事だった、というお話でしたけれども、どういうところがそう感じられたのですか。

A：	私はいろいろな人に会うのが好きで、人と接する仕事にやりがいを感じます。飛び込み営業も、私はまったく苦にならなくて、むしろいろんなところに飛び込んでいきたいくらいです。それが肌に合っているなと、本当に思いました。

Q：	この仕事は、成果を出していかないと、給料も上がっていきません。その辺のところは大丈夫ですか？ドンと稼ぐ人はいますが、成果が上がらないと全然…ということもありますよ。

A：	むしろそういう世界に身を置きたいという思いも強く、そのことも今回、転職を決意した理由のひとつです。

Q：	そういったところに身を置きたいという元々の動機というのはどういったところにあるのでしょうか。

A：	今までの職の中では、自分がどれほどのものなのかということがわかりません。給料も拘束時間で決まりましたので、自分の本当の市場価値をはかってみたい、という気持ちがあります。それから、負けず嫌いで、率直に言うと、同世代の人より多く稼ぎたいといった願望も強いです。ですから、自分の努力や成果で給与が決まるところもとても魅力的です。

Q：	わかりました。実際の問題として、当然プロ・会社の顔として、お客様のところに出向いていくということになります。専門的知識やコンサルティングスキルなどが要求されてくるのですが、大丈夫ですか？

自分の資質や熱意も知っておいてもらいたい！

自分の経験をふまえての話なので、常に前向きにものを吸収しながら、取り組んでいく姿勢への自信が伝わってくる。T・Nさんでしか語れないエピソードを、もっと入れてもらうとさらに効果的。

ファイナンシャルアドバイザーにとって「人柄」は大切なポイント。その人の仕事に対する姿勢や個性を知っておきたい。

地域に貢献したい気持ちはとてもよく伝わってくるけど、それよりも「どうその会社に貢献できるのか」という点をアピールしてほしい。
地元で教師をしていたからこそ人の信頼を得やすいというアピールもできるのではないだろうか？

A：

教師として子どもたちを見てきて実感しているのは、「人間、本当に身につくのはやった数だけの分だな」ということ。ですので、お客様にこれくらいご満足いただたきたいという目標値があって、それだけの資産運用の知識をつけるには、私がどの程度、努力すべきかを知っているつもりです。目標に見合う努力、学び続けるスタンス、自己研鑽のあり方ということに関しては、教えてきた者、教わる人間を見てきた者として、一番わかっているつもりなんですね。ですから私も自己研鑽に励み、確実に吸収していきたいと思っております。私の場合、未経験だからこそ、すべてが新しく興味深いので、確実に吸収し、そしてより新しいものをお客様に提案していけるという自信はあります。

Q：	今は何か勉強されていますか。

A：	資産運用に関する雑誌に目を通すようにはしております。

Q：	ファイナンシャルアドバイザーとしてやっていくとき、こういったことを自分の売りにして成果を出していきたい、という点はありますか。

A：	そうですね…私は宮崎で育ってきた人間ですので、いろんな資産を持っている方々の橋渡しをして、それがひいては地域の活性化につながるような資産運用をしていけたらいいなと思います。

地元の人脈を活かした営業で頑張っていきたいのだけど、面接官に伝わるだろうか？