採用担当者100人アンケートでわかった!

人事のハートをつかむ「応募書類」の秘密

「なかなか書類選考が通らない」と悩む転職希望者がいる一方で、難なく書類選考を通過する人も存在する。「書類選考を通過する人/しない人」の応募書類にはどのような違いがあるのだろうか。今回は、採用担当者100人へのアンケートを実施し、「ぜひ面接に来てほしい」と考える応募書類について答えてもらった。またアンケート結果を元にキャリアコンサルタントにも話を聞いた。採用担当者の声を参考にしながら、応募書類を作成してほしい。

2011年6月22日

中途採用担当者100人に調査

中途採用の担当者が、応募書類をどのように見て、評価しているかを調べるために、インターネットを通じてアンケートを実施した。対象は20代から60代の中途採用担当者100人。(※アンケート実施時期:2011年6月 協力:メディアパーク)

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ハナマルキャリアコンサルタント 上田晶美氏

ハナマルキャリアコンサルタント
上田晶美氏

上場企業で人事を経験した後、1994年にハナマルキャリアコンサルタントを設立。大学生の就職や社会人の転職などをテーマに、講演や執筆、テレビやラジオのコメンテーターとして活躍中。著書18冊。年間約100講演。

人事は応募書類をこう評価している!

一般的に応募書類には2種類の書類が存在する。一つは過去の学業や職業の経歴・現在の状況等を記した「履歴書」、もう一つは過去に従事した職務の具体的な内容を記した「職務経歴書」である。企業はそれぞれの書類のどの項目に注目して、書類選考を行っているのだろうか。

Q1.
「履歴書」について、選考の通過を決めるために重視する項目はどれですか?

「履歴書」では「自己PR」と「志望動機」を重視
70%の採用担当者が「自己PR」と回答。僅差で「志望動機」。以下「免許・資格」「学歴」と続いた。
「自己PRと答えた人が多いようですが、その裏には、まず応募者がどんな強みを持っている人かを知りたいという企業側の意図があるのでしょう。それに加えて、すぐ辞める人かどうかを見極めるために、自己PRで熱意をはかっていると考えられます」(上田氏)
実際、別の設問で「熱意の伝わる応募書類とは?」と聞いたところ、「これまでの経験をどう活かせるかが書かれている」と「入社してからやりたいことが明確に書かれている」と回答した企業が全体の5割以上。「経験を活かして、将来こんなことがしたい」という、一貫性をチェックしていることがわかる。この回答からも企業が「自己PR」と「志望動機」を重視していることが見て取れた。
「『これまでの経験』『入社してからやりたいこと』『なぜこの会社じゃないとダメなのか』の3点が明確になっていないと、志望動機に一貫性を持たせることはできません。一貫性があるということは、その人が入社後にどんなふうに活躍できそうかが想像できるということにもつながります。だから、企業は注目するのです」(上田氏)
熱意という点でいえば、このご時世だからこそ気をつけたいのが「何でもやります」というひと言。
「不景気だからと、よかれと思ってのアピールかもしれませんが、実は逆効果。企業が本当に欲しいのはそんな人ではありません。『これがやりたい、だから御社に』という具体的なアピールのほうが、熱意は伝わるもの。そこをはき違えないようにしてくださいね」(上田氏)

Q2.
「職務経歴書」について、選考の通過を決めるために重視する項目はどれですか?

「職務経歴書」では、「仕事内容」「仕事への取り組み姿勢」「成果」を重視
82%の採用担当者が注目したのが「仕事内容」。続いて「仕事への取組み姿勢」「成果」を重視しているという結果に。
「企業側が気になるのは、応募者がどんな強みを持っていて、入社後にどんなふうに貢献し活躍してくれるかです。どんな仕事をしてきたかを伝えるのは当然ですし、その結果どんな成果を出したかも欠かせません。そして、意外と見落としがちなのが『取組み姿勢』です。数字など文字で表しにくい部分ですが、エピソードを交えて具体的に書くことによりぐっと説得力も増します。忘れずに書いておきたいですね」(上田氏)
採用担当者の多くが、職務経歴書では仕事内容と成果、そのための取組み姿勢といった、「前職での実績」に注目していることがわかった。採用担当者がイメージしやすいように、より具体的な表現で書いていくことがポイントだ。

Q3.
「ぜひ面接に来てほしい」と思う応募書類とは、どんなものですか?

「これまでの経験」と「転職の目的」の一貫性を重視
Q2でも「これまでの経験」を重視していることは触れたが、さらに「その経験をどう活かせるか」が伝わることで、採用担当者の“面接に呼びたい度”はぐっと上がる。事実、74%の採用担当者がこの項目を選んでいた。「将来の夢や転職の目的が明確で、納得感がある」も半数近くの採用担当者が支持。「これまでの経験」と「転職の目的」の一貫性が大事だといえそうだ。
「企業が『転職の目的』に注目しているのは、『自社でないとダメな理由』があるのかどうかを気にしているということなんです。その部分が不明瞭だと、転職そのものへの本気度がわかりませんし、転職後に活躍できそうなイメージが湧きにくい。さらにそれが、『自分なりの言葉で書かれている』ことが重要です。マニュアルに載っているような、借りてきた言葉では、その人のパーソナリティが伝わりません」(上田氏)
また「自社でないとダメな理由」を伝えるためには、応募企業についてしっかり事前研究することが必要だ。別の設問で「よく調べてあるなと感じる応募書類とは、どんなものですか?」という質問を行ったが、「事業内容がきちんと理解できている」「業務内容が把握できている」といった基本的な内容についての意見が多く集まった。「業績」「歴史」「専門用語」などへの理解といった意見もあったが、細かい下調べ自体を評価するというよりは、調べた内容が志望理由とうまく関連づけられている場合に、人事からの評価が上がる傾向にありそうだ。
「インターネットの普及で、『調べているのは当然』というふうに採用担当者側の意識が変わったように思います。だからこそ、応募先について何も調べていないのは大きな減点になってしまいます。ホームページをチェックするのは基本ですが、その際は『事業内容・商品やサービスの内容・企業理念』の3点は必ず頭に入れておきましょう。その会社のことを調べていないと採用担当者を納得させる応募書類は絶対に書けません」(上田氏)
相手のことを知りたければ、必死で調べるはず。そうした熱意を、採用担当者は評価している。

Q4.
「面接に呼びたくない」応募書類はどんなものですか?

読み手の知りたい情報が書かれていない書類は絶対にNG
フリーアンサーで答えてもらったが、最も多かったのが、「字が汚い」「書き方が雑」といった手書き文字に関するもの。
「これは残念な結果ですね。本気でその会社に転職したければ、時間をかけて丁寧に書こうとするのは当然。それができない人が多いということは、熱意がないと思われても仕方がないんです。へたでも丁寧に書くことを心がけましょう」(上田氏)
また、文字の汚さだけでなく「抽象的」「人となりが見えない」といった、読み手が欲しい情報を意識できていない書類も評価が低い。
「読み手のことを考えられないということは、社会性が低いと思われても仕方がありません。周りの人に読んでもらうなどして、第三者の感想を聞いてみるのもいいかもしれません。また、ホームページに書かれている会社情報や採用情報から、応募先企業の置かれている状況を把握し、採用担当者が何を知りたいか、どう書けば自己アピールにつながるかをきちんとつかむことも重要です」(上田氏)
求人広告の「募集の背景」には必ず目を通しておきましょう。

Q5.
これまでにいちばん感動した応募書類とは、どんなものですか?

「気持ちの伝わる、具体的な記述」が感動につながる
これもフリーアンサーでの回答。挙がったものでは、「自分なりの考え・文章で一生懸命、丁寧に書かれてあった」「これまでの仕事で学んだことを、楽しそうに書いていた」「自分なりに詳細を分析し、今後の改善提案が書かれていた」「当社のことを調べ上げていた」「当社の業績を上げるために自分ならどんなことができるかが具体的に書かれていた」「希望通りの職種でなくても、当社の事業に関わりたいという気持ちが伝わってきた」など、読み手のツボをおさえた、具体的な記述に対して感動したという意見が多かった。
「応募書類の作成には、惜しまず時間をかけることです。応募先についてきちんと調べる、自分自身のキャリアの棚卸しをしてできることを考える、応募先との接点を分析し、わかりやすい文章にまとめる、自筆なら一文字ずつ丁寧に書く…。こうした一つ一つがきちんとできていることで、採用担当者の心に響く応募書類になるのです」(上田氏)

結論!評価される応募書類の法則は
「経験と志望動機の一貫性」×「本気の裏づけ」

今回の調査で、人事が高く評価する応募書類とは、以下の2点が明確であることがわかった。
(1)「応募者の経験・実績」と「志望動機」の内容に一貫性があること。
(2)企業や仕事についてよく調べてあり、「どうしてもこの会社でないとダメ」という「本気の裏づけ」がしっかりしていること
「こんな経験を活かして、どうしても御社でこんな仕事がしたい」という熱意が伝わる応募書類が書けていれば、人事に「この人と会いたい!」と思われる可能性が高まるということだ。
選考の場では、もちろん面接も含めた判断になる。しかし、今回のアンケートでは、78%の採用担当者が「応募書類が合否に影響を与える」と回答。企業が採用するかどうかを迷った場合、応募書類が採用の最終判断材料になる可能性もあるということだ。この結果を参考にしながら、再度、自分の応募書類を見直してみよう。

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「リクナビNEXTスカウト」にレジュメを登録すれば、これまでに意識しなかった、思いもよらない企業からもオファーが届く。自分の可能性を広げるためにも有効活用してみよう。企業に応募する際には今回紹介した採用担当者の視点を参考に、「経験と志望動機の一貫性」×「本気の裏づけ」を意識した応募書類を作成しよう!

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
ILLUST
リリカルキッズ

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