携帯ソフト開発から四輪車用計器組み込みソフト設計へ

匿名レジュメの登録で企業や転職エージェントからオファーが届く「スカウト」。実際に登録して、幸せな転職を実現したというビジネスパーソンにインタビュー。「登録してよかった！」の生声をレポートします。

日本精機株式会社
NSテクニカルセンター　技術本部車載設計統括部　ソフトウエア設計部　諏訪大介さん（31歳）
PROFILE■大学卒業後、広島県のエンジニア派遣会社に正社員として就職。大手電機メーカーにおいて携帯電話のアプリケーションソフト開発に丸8年携わる。2011年夏に転職を決意し、レジュメを登録。同年12月に日本精機からオファーを受け、今年4月に入社。

2012年11月7日

形あるものを自らの手で生み出し、モノづくりの現場で活躍したい。異業界
出身ながら計器のソフト設計を任され、技術者としての夢が広がっています

■スカウトにレジュメを登録したきっかけは？

: 日本精機(株)
諏訪大介さん

以前の勤務先は、広島のエンジニア派遣会社。モノづくりが大好きで、大学時代はロボット研究に没頭。「顧客企業の仕事だけでなく、ロボットや制御機器など自社製品の開発にも積極的に取り組む計画があり、力を発揮してほしい」と言われて、選んだ就職先でした。しかし、入社後は大手電機メーカーの携帯電話のアプリケーションソフト開発チームに配属。制御機器などの自社製品の開発に携われると思っていたため、意図せぬ分野への配属に戸惑いはありましたが、常に最先端の技術に触れられる環境に、徐々に楽しさを覚えるようになりました。
そんな気持ちに変化が生じたのは、2011年の春。携帯電話からスマートフォンへの移行が進み、私がずっと関わっていた機種の開発があと1年で終了するという話を聞いたときでした。
携帯電話の開発を手掛けながらも、入社当初の「形があり、動きのあるモノを生み出したい」という欲求は、常に心の中にありました。また、仕事を通して、「顧客企業の製品ではなく、自社の製品開発に携わりたい」という想いも強くなっていました。今回の開発終了が良い機会だと捉え、「開発が終了する来年3月で会社を辞め、やりたい仕事に就こう」と決意しました。
転職先への条件は、顧客からの請負ではなく、自社製品を開発している会社の技術者であること。そして、ロボットや制御機器など「モノづくり」に携われる環境であることでした。携帯電話のソフト開発も「モノづくり」ではありますが、技術者として「形があり、動くモノを自分の手で生み出したい。作り上げた機械が人々の役に立ち、そして喜んでもらいたい」と思っていたからです。
転職サイトに登録し、スカウトにレジュメを登録したのは、2011年の9月ごろ。2012年春の開発終了までは責任を持って仕事をやり遂げようと決めていたので、まずは数カ月をどんな分野の求人があり、どんな会社が採用活動をしているのかの情報収集期間に充て、残り4カ月ぐらいで本腰を入れて転職活動をしようと、行動計画を立てました。

■企業からオファーを受け取った時の気持ちは？

レジュメを登録してすぐにオファーが届き始め、初めの1カ月で十数件のオファーをいただきました。やはり、携帯電話のアプリケーション開発のオファーが多かったですね。そのほか、パチンコ台などアミューズメント機器の開発などのオファーもあり、「こんな可能性もあるのか」と新たな発見もありました。
転職サイトだと求人数がありすぎて、なかなか1件1件の求人広告にじっくり目を通せませんが、自分宛てに送られてくるオファーは、「どんな役割が求められているんだろう？」と興味が湧き、すみずみまで読み込んでしまうものですね。こんな会社、こんな仕事があるんだと、オファーをいただくたびに興味の幅がどんどん広がりました。
ただ、転職予定日は来年4月。今思えば、少しもったいなかったかもしれませんが、選考が進んでから「入社は半年以上先になる」とは言いにくくて、興味を惹かれたオファーにも返信はしませんでした。

■今の会社の面接を受けようと思った決め手は？

日本精機からオファーが届いたのは、昨年12月。「開発終了まで残り4カ月になり、そろそろ本腰を入れて転職活動しよう」と思った矢先のことでした。
日本精機は、新潟県・長岡市にある二輪・四輪車用計器メーカーで、オファーポジションは、メーターを始めとする車載用表示機器などの組み込みソフト設計を手掛けるエンジニア。もともと車が大好きで、日本精機が作っている後付けメーターブランド「Defi」をよく知っていたので、大いに興味を惹かれてオファー内容を読み始めました。
同社は、二輪・四輪車用計器で世界トップクラスのシェアを持つうえ、最近では、フロントウィンドウに速度や簡易ナビゲーションなどの運転情報を映し出すヘッドアップディスプレイ（HUD）の開発で注目されているとのこと。メーターという製品を自分の手で作り出すことにも興味があるし、HUDという最先端の技術に触れられるチャンスもある。ここには、私が望むものがすべてあるのではないか？と感じました。勤務地が、全く縁のない長岡という地であることは、若干気になりましたが、オファー文面に長岡の特色や生活環境について細かく説明されていて、暮らしやすそうだというイメージは持てましたね。「まずは詳しく話を聞き、やりたいことができる環境があるならば前向きにIターンを考えよう」と、オファーに返信しました。
面接の相手は、人事部長と技術部門のトップの2人。面接の場ではありましたが、やり取りをするうちに製品に対する興味がどんどん高まり、気づけば「どんなメーターを作っているのか」「どのような開発工程なのか」「HUDの技術はほかのものとはどう違うのか」など、質問攻めにしてしまいました（笑）。それに対して、技術部門のトップが、実に丁寧に、かつ楽しそうに教えてくれたのが印象的でしたね。技術力に対する自信と誇りを感じたうえ、きっと社員みんなが、この仕事にやりがいを持って楽しく働いているのだろうとも感じ取れ、「この会社で働きたい！」と心が固まりました。

■そして入社。今のやりがいは？

今年4月に入社し、現在はある自動車メーカーの燃費に関する表示プログラムの設計開発に携わっています。
入社後は工場見学からスタートし、技術や特許についての研修を受けて基礎知識を養いました。専門用語が多く、覚えなければいけない技術も非常に高度で、始めはあまりの難しさに頭を抱えましたが、わからないことは先輩社員に聞いたり、社内データベースで調べるなどして、着実に知識を身につけることができました。先輩方はみな、個性豊かで、各分野で一家言持つ技術者ばかり。細かく的確なアドバイスをもらえるのが嬉しいですね。
携帯電話は電池が切れれば落ちてしまいますが、車載用表示機器は、何があっても常に動き続けていなければなりません。少しの誤作動が、人命に関わる可能性もあります。あらゆる場面を想定して設計、開発、検証を行い、プログラムの精度を高め続けることが、われわれ技術者の役割。責任は重いですが、それだけやりがいは大きいですね。自分が関わった表示機器が、実際に車に搭載されている姿を見ると、この上ない喜びを感じられると思います。
まずは今の仕事を完璧に覚えることが最優先ですが、いずれは自分のアイディアを活かした表示機器を一から作ってみたいですね。また、ゆくゆくはHUDにも関わってみたい。技術者として、高い目標を追い続けられる環境に、心から満足しています。

＜採用担当者の声＞

ソフト設計のプロセスを理解しており、異業界出身でもすぐに戦力になると判断

: 経営管理本部　人事部　人事
鈴木直子氏

当社においては、二輪・四輪車用計器、HUDの需要が国内外で拡大しており、グローバルに事業を展開しています。国内においては、本社および主要拠点を新潟県長岡市においていますが、需要拡大とお客様の要望により迅速に対応するため、今年10月には東京に新たな設計拠点となるテクニカルセンターを開設し、来秋には東北にも開設の予定。長岡を含めた3拠点で設計業務を担ってくれるエンジニアを求めていました。
諏訪さんは、組み込み系の経験はありませんが、携帯のアプリケーションソフト開発に長く携わり、ソフト設計のプロセスを十分理解していると判断しました。面接の場では、プロセスに沿って、品質向上を常に意識しながら開発に取り組んできたことが伝わり、扱う製品は異なっても、すぐに戦力として力を発揮してくれるだろうと確信できました。
携帯ソフトという形のないものから、自動車の計器という形あるものを作り出す環境に移り、始めはとまどいがあったようですが、今では経験をうまく活かしながら力を発揮してくれています。
今後は、東京・東北のみならず、海外にも活躍のチャンスが広がっていますし、携われる分野も、社内にはソフトだけでなく外装設計、回路設計、そのほかにも技術開発、機構技術など、あらゆる技術部隊があります。心ゆくまでモノづくりを追求できる環境の中で、諏訪さんにも存分に力を発揮してほしいですね。そして近い将来はリーダーとして、後輩を育成し、まとめる役割も担ってほしいと期待しています。

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