希望条件、どう整理した?
 01  給与・待遇を捨てて成功したケース
 02  経験・キャリアを希望条件からはずしたケース
 03  大手を希望条件からはずしたケース
ブランド・安定を希望条件からはずしたケース
今回でこのシリーズも最終回。「大手企業」を希望条件からはずし、転職に成功した人の体験談を紹介する。どのように会社を選んだのか、参考にして欲しい。
大手企業で得られる“安定”よりも、“自分の能力を高く評価してくれる会社”を重視
PROFILE●高校卒業後、大手ソフトウェア会社のプログラマーとして10年間勤務後、転職。その後コンピュータネットワークのサポートエンジニアとして、法人相手に主にネットワーク環境の整備に従事するが、収入の安定を求めて再度転職を決意する。
当初の希望条件
安定した業績従業員数100名以上
年収450万円以上
書類選考で落ち続けた後
安定した業績従業員数100名以上
年収450万円以上自分の能力を高く評価してくれるか
転職開始当初の希望条件
 前職では完全出来高制で月の収入が50万円を超えるときもあれば、20万円程度しかもらえない月もありました。しかし、ネットワークエンジニアの需要が減ってきたこともあり、徐々に出来高制では厳しい状況に。会社の先輩からは、「1年も経つと、この仕事はさらに厳しくなるかもな」といわれ、転職を決意しました。最初に最も重視していた条件は“安定”していること。社員数が多く、業績が安定していて、毎月一定額の給料をもらえるところを探しました。前職で取引のあった企業に大手が多く、そこで働く社員の待遇面などに憧れたのも多少ありましたね。
”捨てる”ことを決断したとき
 コンピュータ業界で13年以上のキャリアもあったし、大手企業のネットワーク構築を手がけてきた実績も持っていたので、応募したときは自信がありました。でも、転職活動をはじめてみると、ほとんど書類選考で落とされてしまったんです。前職を続けながら転職活動をしていたのですが、そうこうするうちに実際仕事が減ってきて、正直あせってきました。それまでは、希望条件のすべてを満たした会社にしか応募しなかったのですが、会社の規模・安定という条件を捨てて、大手に限らず応募してみることに。そこで重視したのが、私の能力を高く評価してくれる会社かどうか。積極的に自分を活かせる環境のほうが結果的に給与も安定するのでは、と思い直したんです。ただ、能力を評価してくれれば、どこでもいいわけではありません。たとえ今は規模の小さい会社でも将来性があるところにしようと、業務内容や最近の実績、その業界内での評価などを調べて応募先を決めていきました。
捨てることで手に入れたもの
 今は、環境計測機器の製造、輸入、販売を行っている会社で技術営業として働いています。環境計測機器とは排気ガスなど公害物質の測定を行う機械のこと。環境計測機器にもコンピュータが使われており、コンピュータ業界で培った私の能力を高く評価してくれたので転職を決めました。社員数は20数名の小さな会社ですが、年商は6億円以上あり、業務内容が環境ビジネスということで将来性もある。そのうえ、この業界では名の知れた会社です。また、技術営業だけでなく、社内LANの構築や3カ所の営業所をネットワークでつなぐための自社サーバーの導入など、社内のIT化推進責任者も任されました。仕事量は多くて大変ですが、大手企業にいたときのような分業体制では得られなかった経験が積めるし、自分ががんばることで会社が大きくなっていくのを実感でき、非常に満足しています。
その他の事例
大手コンピュータ会社/宣伝企画から金融向けコンサルティング会社/企画開発へ
知識と経験を活かせる仕事内容大手外資系企業築き上げた人脈を活かせる仕事
当初の条件、捨てた条件
 勤めていた外資系の大手コンピュータ会社が日本から撤退することが決まり、所属していた部署の解散を受けて、転職することに。当初から、もっとも重視したのは、それまで培った知識や経験、人脈を活かせる仕事であるかどうか。それから、“外資系の大手”というブランドを次の会社でも、という気持ちもありました。転職活動をはじめて1カ月ほどでアミューズメント会社から内定をいただいたのですが、1社目があっさり決まったので、もっと条件のいい企業がすぐに見つかるだろうと、お断りしてしまいました。でも、その後は……。外資系を中心に応募していたのですが、それから数カ月間、内定までこぎつけることができない。大手外資系という条件はあきらめることにしました。やはり、当初からもっとも重視していた“知識・経験を活かせる会社”という条件に絞って活動しようと軌道修正したんです。
“捨てる”ことで手に入れたもの
 現在、金融業界は非常に厳しい競争下にあります。顧客に納得いただける商品を企画して、顧客数を増やしていかなければ、生き残れないのが現状です。しかし、この状況は競争に勝ち残れば大きく飛躍する可能性があるということでもあります。それに、前職は宣伝企画だったので今の企画開発と職種は違いますが、ユーザーニーズをつかむことやマーケティング、そこから得た情報をいかに商品に落とし込んでいくかといった、“つくる”“管理する”といったプロセスには経験を活かせる部分が多々あります。自分の力が、会社の可能性を伸ばす一助になれるかもしれない、というのはとても充実感があります。
大手鉄鋼メーカー/営業からソフトウェア会社/法務・総務
大手企業年収800万円(現状維持)福利厚生の充実新たなキャリアパス
当初の条件、捨てた条件
 鉄鋼業界自体の凋落を肌で感じるようになってきたので、将来を考えて今のうちに他のキャリアを身に付けようと転職。ただ、前職は大手企業だったこともあり、年収は800万円、社宅があって家賃は月2万円、駐車場も無料で借りることができていました。転職にあたって、このレベルは落としたくない。そう考えると必然的に大手企業が希望条件となっていました。しかし、未経験業界への応募であるうえに、大手では専門的な知識を持ったスペシャリストを求めているようで、転職活動はうまく進みませんでした。どうしようか迷っていたときに、妻から「年収が下がってもいいじゃない」と一言。それまで感じていたプレッシャーがなくなり、「将来性のある業界で経験を積もう」という当初の目的だけに絞って転職活動を再開。それからは1カ月も経たないうちに内定をいただけましたね。
“捨てる”ことで手に入れたもの
 実際、年収は下がりましたが、コンピュータ業界という未知の世界で、しかも、法務・総務という未経験の職種にチャレンジできる職場に就くことができました。働いてみると法律関係の仕事は非常におもしろい。将来的には司法試験に挑戦したい、海外留学もしてみたいと、新たな興味もわいてきました。
大手住宅メーカー・営業事務から精密機器メーカー・総務
大手企業業務範囲やりがい、達成感
当初の条件、捨てた条件
 前の会社は大手企業で、収入も安定していたし、業務内容も限られていて、やるべきことが決まっている分、入社当初は働きやすかった。でも、数年働くうちに、マンネリ化していったんです。業務内容はほとんど広がらず、ただ、なんとなく働く毎日。就業時間が無駄なものに感じられるようになってしまい、転職を決意しました。転職先を選ぶときは、前職の不満から、「業務範囲の広がり」や「充実感を得られそうな仕事=責任あるポジションで仕事を任せられる」という点を重視。また、できれば前職の“大手企業で安定している”ことは維持しておきたい、と思っていました。しかし、転職活動を始めてみると、大手企業では各業務が縦割りで分けられていることが多く、幅広く業務を任せてもらえることは少ない。責任あるポジションで働くには、高いスキルや専門的な経験を積んでいないと無理だということがわかったんです。営業事務でのんびりと働いていた自分には難しいと判断して、“大手企業”を条件からはずしました。小規模の会社のほうが、いろいろな業務を手がけることが多いだろうと思い直したんです。
“捨てる”ことで手に入れたもの
 現在、所属は総務ですが、人事の手伝いもしています。日常的には総務の仕事をこなし、採用の時期になると、説明会や新人研修なども手伝っているんです。希望すれば、人材育成に関して研修プログラムの企画立案に参加することもできますよ。自分がやる気を示せば、それが仕事につながっていく。自分から言い出したからには責任も負う。忙しくなりましたが、その分スキルアップが実感できますね。
編集後記

安定や給与UP求めて、「大手企業」への転職を希望する人は多い。しかし、大手への転職はハードルが高いもの。今回取材した人たちも当初は大手を希望していたが、次のように考えて「大手」をはずし、満足いく仕事を手に入れていた。

(1) 全ての希望条件を満たすのが難しいとき、条件に優先順位をつけ、最も重要なものを軸に会社を選ぶ
(2) 「安定した収入」など、大手に求めていた希望条件を満たす会社が大手以外にもないか調べる
(3) 「幅広く仕事を任されたい」など、志向に合った仕事が大手で手に入るのか調べる

ここで大切なのは、「大手企業=いい企業」というイメージに惑わされすぎないこと。「転職先に何を求めるか」を分析し、視野を広げて会社を選ぶことが満足できる仕事を手に入れるポイントだ。



 01  給与・待遇を捨てて成功したケース
 02  経験・キャリアを希望条件からはずしたケース
 03  大手を希望条件からはずしたケース




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