希望条件、どう整理した?
 01  給与・待遇を捨てて成功したケース
 02  経験・キャリアを希望条件からはずしたケース
 03  大手を希望条件からはずしたケース
経験・キャリアを希望条件からはずしたケース
第二回目となる今回は、「経験・キャリア」を捨てて成功転職をつかんだ先輩たちの体験談を紹介。培った経験、築いたキャリアを希望条件からはずし、何を重視したのか見ていこう。
経営企画職で培った経験の一部分でも活かせる仕事は何か?転職希望先の業務内容を吟味して満足できる転職に成功
PROFILE●大学卒業後、サービス業界で働く。5年間、経営企画室で経営計画の立案や稟議書の作成など、さまざまな経験を積んでいたが、会社トップと意見が食い違うことが多く、転職を決意した。
当初の希望条件
同職種社風
年収500万円経験を活かせる
求人広告を吟味した後
同職種社風
年収500万円経験を活かせる
転職開始当初の希望条件
 経営企画室では、各部署から上がってくる事業予測や見込み予算、必要経費などをもとに、会社全体の経営計画を立てて、稟議書にまとめていました。会社のトップと意見が食い違うことが多く、転職を考え始めたのですが、「企業という大きな組織の方向性を考える」といったこの仕事自体は非常におもしろかったので、次の仕事でも経営企画職を希望。ただトップが社員の意見に耳を傾ける社風があるかどうかも重視しました。あとは年収が下がらないことですね。
”捨てる”ことを決断したとき
 転職活動を開始する前から、友人に経営企画職の募集は少ないと聞いていたので業界にはこだわらず探していました。しかし、業界を広げても求人はほとんどない。このまま経営企画職にこだわっていると、いつ転職できるかわからないと、早い時点で見切りをつけました。とはいえ、それまでに培った経験のすべてを放棄することはないとも考えていました。だから、転職先を探すときは、まず職種にこだわらず求人広告の職務内容を調べて、詳細がわからないときは先方に電話で問い合わせました。その職種で行う業務内容を考えて、今の仕事と共通する部分はないか、今の仕事で培った経験を活かせる部分はないか、じっくり調べました。結局、転職するまで1年、20社ほどを吟味しましたね。今の仕事はデータアナリスト。企業から依頼を受けて、市場動向や経営内容に表れる数字を読み解き、マーケティングや経営アドバイスを行っています。コンサルティング経験はありませんでしたが、会社の資産運用や収支をもとに経営方針を決めるという部分が経営企画と重なっていたので、多少なりとも経験を役立てられると思い、この仕事なら、と。あとは社風、年収を考え会社を絞り込みました。
捨てることで手に入れたもの
 年収もトップの柔軟性も仕事内容も満足できる会社に転職できました。データアナリストは、単なる数字の羅列から、その裏にあるものを読み取るスキルが重要です。日々、このことを念頭に置いて仕事をしているため、物事を多面的に見る力が身に付きました。また、コンサルティングは、人に自分の考えを正確に伝える仕事でもありますから、コミュニケーション力も上がっていると思います。
その他の事例
人事から総務に転職
同職種給料現状維持完全週休2日大手企業
当初の条件、捨てた条件
 大手自動車部品メーカーの人事部に2年9カ月勤務。700〜800名ほどの社員を抱える工場でした。ところが、外資系企業に事業売却され、転籍後の給料や待遇が不透明だったので転職を決意。転職先でも人事部がいいと思っていたんですが……。人事部は会社の中枢を占める部署だけに、大手になるほど3年程の経験では大きなアピールポイントにはなりませんでした。希望条件を改めて考えてみると、「まだ20代だし、自分がどれくらいできるか試してみたい」気持ちもあったので、この年齢でキャリアを固定せず、他の職種で経験を積むのも将来自分のためになると考えました。それよりも、今の給料を維持でき、ある程度の規模のある会社であることを重視。求人を調べながら、興味を持てそうな仕事を選んでいきました。最終的に、同じ事務系ということもあり、総務の仕事を選びました。
“捨てる”ことで手に入れたもの
 総務という新たな経験を積めたのはもちろんですが、それ以上に、日々、緊張感のある環境で、責任を持って仕事に取り組む姿勢を身に付けられたのが大きいですね。前の会社は、とてもアットホームでした。よく言えば自分のペースで仕事ができる、悪く言えば、ぬるま湯のような環境だったんです。でも、今働いている会社は、実力主義が徹底されていて、年齢に関係なく管理職に就くことができます。未経験の仕事でしたが、こういった社風の会社ですから、「どんなことでも吸収しよう」という強い気持ちを持続できています。
機器分析からISO認証取得実務責任者
経験を活かせる正社員自転車通勤圏内土日祝日休み
当初の条件、捨てた条件
 「機器分析」は専門的でおもしろかったのですが、雇用形態がパートで。手当はなく、責任ある仕事もできませんでした。だから、転職では、「正社員採用」と「経験を活かせる仕事」にこだわりました。でも、機器分析の経験を活かせる仕事がない。たまに見つけても派遣社員で、契約の更新が1年だったり……。正社員とパートで任せられる仕事に差があることを思い知らされていたから、正社員にはこだわりたかったんです。「仕方がない」と、他に自分に向いていそうな職種を考えました。重視したのは自分の性格に合うかどうか。「初対面の人と積極的に話せるタイプではない」、「デスクワークが性にあっている」、「やるべきことがはっきりしていて、コツコツとこなしていくのが好き」と考え、一般事務職が一番いいな、と。面接では、仕事内容はもちろん、どんな会社、職場だったのかまで具体的に話しました。前社がISOの認証取得を受けていて、概要は理解していることを話したら、ちょうど応募先がISOの認証取得を目指しているところだったんです。
“捨てる”ことで手に入れたもの
 今は、ISO認証取得の実務責任者として働いています。前社がISOを取得していたといっても、私はその職場で働いていただけで、詳しい知識はありませんでした。会社側もそのことは分かっていましたが、「少しでも知識のある人間に担当してほしい」と任されることになったんです。前の会社ではパートということもあって、責任を持って仕事を任されることなんてなかったから、やりがいありますよ。「ISO認証取得」という明確な目標に向かって一歩ずつ前に進んでいくというスタイルもコツコツタイプの私に合っています。
DTPオペレーターからキャリアカウンセラーに転職
月収25万円以上勤務地同職種
当初の条件、捨てた条件
 DTPオペレーターをしていたときは給料が安かった。ものすごく忙しいのに。だから、転職を考えたのですが、残業ばかりで転職活動に十分な時間を割けない。1年半、ものすごく忙しい中で身に付けたキャリアですし、できれば同職種がよかったのですが、他の会社も給料が安いうえに、何社も受ける時間の余裕もない。贅沢をいえる状況じゃなかったんです。生活を考えると、給料や勤務地は譲れない。DTPは趣味として続ければいいと自分に言い聞かせて納得することにしました。ただ、別の仕事に就くとしても、前の仕事よりもやりがいを感じられるものでないと意味がない。勤務地と給与額を満たした求人かどうかで絞り込み、仕事内容に興味を持てるか、自分に問いかけながら探していきました。
 これまで9回も転職していたので、キャリアカウンセラーの求人広告をインターネットで見つけたとき、この経験が何かに活かせるかも、と。人の話を聞いてアドバイスするカウンセリングという仕事にも興味があったので受けました。
“捨てる”ことで手に入れたもの
 実際に働いてみると、甘い仕事じゃないと痛感。私たちのところに来る人は、本当にせっぱつまった人ばかり。悩みの本質を汲み取って、役に立つアドバイスをしなければならないプレッシャーと戦いながら毎日働いています。でも、この緊張感のおかげで、相手の立場にたって物事を考え、しゃべる言葉一つひとつに気を使いながらコミュニケーションをとれるように。人間的に成長できる仕事に出会えたと思っています。
編集後記
 自分の経験・キャリアがそのまま活かせるような仕事につきたいと考える人は多い。しかし、なかなかそんな仕事がないのも事実。今回取材した転職に満足している人たちは、次のように探しているケースが多かった。
(1)「仕事の進め方」「考え方」など、一つでもそれまでの経験が活かせる仕事
(2)全く未経験の仕事でも、自分の志向に合致し、やりがいが持てそうな仕事

 このような選び方をするためには、「経営に直接関わる仕事がしたい」「自分の裁量で進められる仕事がいい」「腰を落ち着けて、コツコツじっくり働きたい」など、自分の仕事に関する「やりがいの源泉」をハッキリさせていなければならない。


 01  給与・待遇を捨てて成功したケース
 02  経験・キャリアを希望条件からはずしたケース
 03  大手を希望条件からはずしたケース




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