退職の壁の乗り越え方
 第1回  職場・仕事への責任の壁  第2回  現状への未練の壁
 第3回  自分自身への不安の壁  第4回  家族からの反対の壁
第3回 自分自身への不安の壁
自分自身やキャリアへの不安から転職をためらうのもよくある話。「転職したいのは未経験の業界」「これまでの経験に自信が持てない」……。決断できた先輩たちは、どうやって壁を乗り越えたのだろう。
広告代理店の制作スタッフ I・Fさん(29歳)
これまで満足な経験を積めていない…。
PROFILE 大学卒業後、広告制作会社の制作スタッフとして4年の経験を積む。その後、広告代理店に同じく制作スタッフとして転職。
I・Fさんの退職曲線
転職を考えたきっかけは?
 スキルアップが望めない環境だったんですよ。私の担当はコピーライターだったんですが、先輩はデザイナーばかりでコピーのことは全くといっていいほど教えてくれません。仕事の中身にも手ごたえがなくて、例えば何か新商品のPRに携わるとしても、そのキャンペーンで使われる販促ハガキのコピーなど「小さな」仕事しかできなかったんです。入社から4年目には、ここに一生いてもキャリアアップできないという結論に至りました。
 ただ、この転職を意識した理由がそのまま決断できない要因でした。胸を張れるだけのキャリアがない状態で転職活動をしても雇ってくれるところはないんじゃないか、雇ってくれたとしても今と同じレベルの会社なのではと、なかなか前向きになれませんでしたね。
壁を乗り越えるために何をした?
 一種の意識改革です。プレゼンを通らなかったもの、実際には世に出なかったものでも、転職活動の場では自分の作品として通用するという話を知人から聞いたんです。それまではどこかに、「これくらいの仕事ならこの程度の力で」、「上司・クライアントが納得すればいい」といった気持ちがありました。出来上がる作品も、自信をもって「自分の作品です!」というには程遠いものです。ですが、この話を聞いてからは実績不足を補うためにも、常に全力で良いと思える作品を仕上げるようになりました。時にはクライアントに提出する「通りそうな」ものとは別に、自分がいいと思う作品を仕上げてストックしておくようなこともありました。実際、そうやって本気で取り組んだ作品を作品集としてまとめ、応募書類送付の際に提出しました。評価も十分だったようで、3社受けて全部受かったくらいです。
“現状が楽”の壁の乗り越え方
仕事を離れたところでも自分の作品を作り、転職活動時にアピール。
人材派遣会社のコーディネーター M・Sさん(27歳)
高額の給与を考えると、どうしても迷いが…。
PROFILE 大学卒業後、都市銀行に入行し融資業務を担当。2年間勤務した後、現在のコンサルティング会社にコンサルタントとして転職を果たす。
S・Fさんの退職曲線
転職を考えたきっかけは?
 仕事自体は本当にやりがいのあるものだったんですが、社内の役割分担ができていなくて本来の僕の役割である融資業務に集中できないのが不満だったんです。それに会社の方針にも違和感を感じていました。現実離れした目標が本店から下りてきて、5割達成で御の字とされるような状態。しかも必死で頑張って個人の目標を達成しても、評価や昇給は一律……。入行2年目の半ばぐらいから、この会社にいることが正しいのか不安になり、転職を意識しはじめました。
 ただ、決意に至らなかったのは自分に自信がなかったからです。転職するなら学生時代から憧れていたコンサルティング会社に転職したかったんですが、未経験からのチャレンジになります。しかもどうせチャレンジするなら外資系の大手で働きたかったんですけど、高い目標を設定するほど自分が非力に思えてしまって……。
壁を乗り越えるために何をした?
 業界のことを少しでも知ろうと徹底的に研究をしました。まずは知人・友人のつてをたどって、新卒時のOB訪問のように現役のコンサルタントにお話を聞く機会を設けていただきました。実際のところどんな仕事なのか、どんな能力が求められるのかといった業界の現状から、中途採用を行う場合に想定される人物像、面接での想定問答まで、3名の先輩に1回ずつお会いしてじっくりと生の声を聞いたんです。その後、コンサルティング業界志望者向けに無料で行われていた転職セミナーを2回ほど受講。業界の情報を得るとともに、模擬面接を行いました。これらの準備は実際の転職活動、特に面接で役に立ちましたね。質問の内容も予想の範囲内でしたから。それに何より気持ちの支えになったんです。未経験とはいえ、自分はコンサルティング業界の何たるかを知っているんだという自信が生まれましたから。
”未経験で不安”の壁の乗り越え方
つてをたどって現職の人の話を聞き、希望職種で求められる能力や人物像を把握した。
転職セミナーで業界情報の収集、面接対策を行った。
「壁」乗り越え前事例
建設会社のエンジニア Y・Sさん(35歳)
7年のキャリアの中身に自信がもてない…。
PROFILE 大学卒業後、建設会社に入社。最初の7年は現場での管理・技術職。その後は現在に至るまで内勤のエンジニアとして勤務する。今年で入社13年目。
K・Uさんの退職曲線
転職を考えたのはなぜ?
 2年ほど前に、それまで4年間続けてきた社内サポートの仕事を外れてシステム開発を担当することになったんです。サポートの仕事にはやりがいを感じていたので、この担当変更は全く私の希望に沿わないものでした。その後、早期退職制度が導入されて開発の先輩が次々と辞めていったんです。この先のキャリアのモデルになる人たちがいなくなったことに不安を抱くようになり、転職を意識しました。
壁を乗り越えられないのはなぜ?
 転職するなら、希望職種はエンジニア。7年近くのキャリアがありますが、その中身に自信がもてないんです。今の会社では、肝心な部分は外部の会社にアウトソーシングしているため、私の役割はプロジェクト全体のマネジメントといったものなんです。そんなキャリアで、例えばエンジニアのプロ集団のような会社で揉まれてきた人と渡り合えるかというと、ちょっと心もとなく……。どうしても決断できないでいるのが現状です。
「自分自身への不安の壁」を乗り越えるには
経験、実績などがなく、自分に対する不安から退職に踏み切れない。そんな壁を乗り越え、転職に成功するためのポイントは、まずかかえている不安や不満をきちんと分析した上で、

(1)仕事の「枠」に自分をはめず、自分の求めるところに近づく努力をする。クリエイティブ職であれば「自分の作品」、他の職種なら「応募職種に関係のある勉強をする」「資格を取得する」など、転職活動でアピールできる努力をする
(2)業界研究、企業研究、先輩訪問などで応募先に関連する情報を徹底的に調べつくすなど、自信がつくだけの行動をする

そうやって、自らの状況や意識を変える「行動を起こすこと」が成功のポイントと言えそうだ。


 第1回  職場・仕事への責任の壁  第2回  現状への未練の壁
 第3回  自分自身への不安の壁  第4回  家族からの反対の壁




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