給与構成や給与テーブルによって生涯年収が大きく変わる可能性も!

「見かけの給与」だけで、決めてはいけない3つの理由

月給25万円の会社と、30万円の会社。ほとんど同じ仕事内容だったら、あなたならどちらの会社に転職しますか?「30万円の会社!」と迷わず即答したあなたは、要注意。その給与額、未来永劫保証されますか?もしかしたら2年後、3年後にはガクっと下がってしまうかもしれません。…実は給与額に対する考え方は、企業によって大きく異なるもの。目先の額が良くても、生涯賃金で見れば月給25万の会社に大きく水をあけられる可能性もあるのです。今回は給与額を構成する「企業のウラ事情」をひも解いて行きましょう。

2011年8月10日

<ADVISER>

株式会社リクルート <br>
ワークス研究所研究員/中村天江氏<br>

株式会社リクルート
ワークス研究所研究員/中村天江氏

キャリア支援サービスや求人広告事業の企画を経て、2009年4月より現職。労働市場における需給調整のあり方や機能に関するLMI(Labor Market Intermediation)が専門。

「あなたはどちらの会社を選びますか?」
見た目ではわからない給与のカラクリを知ろう!

A社の月給は30万円、B社の月給は、25万円――。
求人広告上は、両社とも手掛ける仕事の内容はほぼ同じ。この場合、大多数の人が給与額の高いA社を選ぶのではないだろうか?でも、例えばこんな事情があったら、どうだろう?
A社は、創業間もないベンチャーで、業績連動で賞与が決まる。業績が上がれば収入が増えるが、業績がまだ安定していないうちは変動が激しいかもしれない。
B社は、創業30年の中堅企業。月給そのものはA社より低いが、住宅手当が月に5万円、児童手当が月1万円、研修手当が月5000円支給される。つまりは諸手当だけで6万5000円の収入に。合計すれば、月々に入ってくる額はA社を超えることになる。
つまりは、その会社の給与制度や運用ルール、給与に対する考え方を理解したうえで転職先を選ばないと、入社後に『こんなはずでは…』と後悔するかもしれないのだ。
ワークス研究所の中村氏によると、「見かけの給与で転職を決めてはいけない理由は3つ。事前にいくつか押さえるべきポイントがある」とのこと。以下で検証していこう。

入社前に押さえるべきポイントを理解して、
目先の収入ではなく「生涯賃金」を見据えて企業を選ぼう!

理由1●「諸手当」や「残業代」の有無で、リアル給与は大きく変わる!

転職時に示される「給与額」以外に、企業によっては住宅手当や家族手当、転勤手当などの「諸手当」がプラスされる。上記で示した例のように、給与額自体は低くても、各手当の額を加えると「実際はかなりの高給だった」という場合もある。逆に言えば、「転職して給与そのものは上がったが、前職ではもらっていた○○手当がなくなったので実質減収になった」というケースもあり得るのだ。
「企業の経費の中でも人件費が占める割合は高く、ここをいかに削るかに企業は苦慮しています。近年では、全従業員に一律のルールで付与していた諸手当を見直すことで費用を減らし、優秀な人には業績連動賞与などで個別に報いようとする企業が増えています。そのため、『前職では手当があったのに、転職したら全然なくて驚いた』というケースも。企業によって大きく差がつくポイントなので、事前に十分チェックしましょう」(中村氏)
同じく、残業代に関する企業の考え方も、収入を大きく左右する重要な要素。残業代を支払うのは企業の義務だが、「定額残業制」を設け給与額に一定時間の残業代が含まれていたり、年俸制を導入し年俸の中に残業を含めている場合もある。

手当は、求人広告や企業ホームページで説明されているケースが多いが、残業代について明記している企業は少なく、事前に確認しづらいもの。面接の段階で質問すると、志望動機そのものを疑われる恐れがあるので、内定後の条件確認の場で確認するといいだろう。

理由2●「給与テーブル」によっては、勤続年数が長くても給与が下がる場合も

月々に支払われる賃金を算定した「給与テーブル」は、企業によって異なる。勤続年数が増えるごとに、緩やかなカーブを描いて賃金ベースが増えていく「年功型給与テーブル」の企業もあれば、例えば外資系企業に代表されるように年次に関わらず成果が給与に反映される企業もあるし、業績連動型の給与体系を導入する企業も増えている。そのため、高い給与に惹かれて入社しても、成果を出し続けなければどんどん賃金が下がってしまう…という事態に陥ることもあるだろうし、いくら自分一人が頑張っても会社の業績次第で給与が下がってしまいモチベーションが維持できなくなるケースもあり得るのだ。
「従来、日本企業では年功型の給与テーブルが主流でしたが、上昇する人件費を抑制するため、多くの企業が『成果を挙げた人に、しかるべき報酬を与える』給与体系への見直しを進めています。多くの従業員にとっては給与が下がる“不利益変更”になるため、労働組合の反対などでスムーズな移行が難しいケースもあるようですが、時代の流れは明らかに成果主義の給与体系に向かっています。転職の際は、その会社の給与テーブルを確認すると同時に、『自分の経験やスキルがフルで活かせるかどうか…すなわち成果が出しやすい環境かどうか』を確かめることも大切です」(中村氏)

給与テーブルに関しては、入社前の企業研究ではなかなか調べきれないものだが、知名度のある企業であれば、ネットで「給与テーブル+企業名」で検索すると情報や評判が出てくる可能性もある。可能であれば、実際にその会社に勤めている人を知り合いづてで探し出し、給与テーブルの実態を聞くといいだろう。ライバル社に勤める人が、意外に情報を把握している場合も多い。

理由3●「退職金」「企業年金」によって、退職後の収入に大きな差が出る!

「入社する前から退職金の話なんて」と思うかもしれないが、生涯賃金だけでなく、退職後の収入まで考えると、退職金制度の有無は決して無視できない。最近では、外資系企業のように「退職金制度を廃止し、その分を勤続中の給与額に組み入れ、成果に応じて高給を支給する」という日本企業も増えている。「現役の間はバリバリ働き、成果を挙げ続けたい」という気概のある人には向いているが、1社に腰を据えて長く働きたいと思う人ならば、「成果を挙げ続けなければならないうえに、辞めるときはいくら長く勤めても退職金ナシ」という環境はそぐわないだろう。転職の際は、目先の給与額だけでなく、退職金制度の有無について確認しておこう。企業ホームページに記載がない場合は、内定後の条件確認の際に確認しよう。

また、企業年金の内容も、退職後の収入を左右する重要な要素だ。
「個社の制度である『確定給付型年金』の場合は、転職すると持ち運びができないので、それまでの積み立て分は退職一時金として支払われ、転職先でまた一から年金の積み立てを行うことになります。一方、近年移行が増えている『確定拠出型年金(401K)』の場合は、従業員が自分の年金資産の運用を行うため、転職先企業も401Kを導入していれば持ち運びが可能です」(中村氏)
企業年金については、求人広告や企業ホームページに載っているケースが多いので、特に今の勤務先が401K導入企業の場合は忘れずにチェックしておこう。

「長く勤めたいからこそ、納得のいくまで確認する」というスタンスで臨もう

給与額は、仕事に対するモチベーションを左右する大事な要素。転職の際はどうしても額が高い企業に目が行きがちになるが、給与は決して見かけだけで判断できないものだ。
上記に挙げたように、給与は複合的な要素で決まるもの。手当や給与テーブルなど、賃金の増減に大きな影響を与える可能性があるものは、ある程度選考が進んだら臆せずきちんと企業に確認しよう。「長く勤めたいからこそ、確認しておきたい」という姿勢を示せば、マイナス印象を与えることもないはずだ。
「そもそも、給与額の構成などについて深く考えたことがなかった」という人も多いだろう。いろいろな求人広告の給与欄を見比べてみると、企業によっていろいろな表記をしていることがわかり、目先の額だけで選ぶことはなくなるはず。「給与に関する目利き力」も鍛えられるだろう。

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レジュメには希望年収欄があるため、「どうしてもこの水準を確保したい」という人は、希望額を書き入れておくといいでしょう。

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伊藤理子
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