「入れるならどこでも」「大手企業一本やり」…を、やめて

連敗から脱した4人の転職成功物語

何社応募しても書類選考で落とされる、面接がクリアできない…。それは応募先選びの段階で、希望条件が曖昧だったり、逆に条件を欲張りすぎているせいかも!? 今回は、連敗から脱した先輩たちに希望条件の定め方を聞きました。応募先の「選択肢」を広げたり、「命中率」を上げるための参考にしてください。

2009年3月18日

CASE.1

【脱却ポイント!】「入れるならどこでも」をやめた

「経理であればどの企業でもいい」という曖昧な選択肢をやめて、「上場に携われる企業」というテーマを決めた
Before 経理で年収450万円以上ならどこでも After 1 上場を目指す企業 2 年収450万円以上 3 経理
H・Iさん(32歳)の場合

「やりたいこと」を決めたら自己PRが明確になった

PROFILE/大学院を卒業後、24歳で会計事務所に就職。しかし、給料面で不満を感じ3年後に、飲食店の開業支援を行う会社に経理として転職。人材不足のため、部署を転々としながら3年勤めるが、事業規模縮小で解雇。その後、不動産会社の総務に転職し、現在に至る。

突然の解雇に慌てて転職活動開始

24歳のときに取得した税理士の資格があるため、前職も前々職も経理として勤務していました。前職は、飲食店の開業支援や店舗開発を行うリノベーション企業の経理として就業。設立間もない会社ではありましたが、将来性に期待して転職したんです。しかし、会社自体の業績もなかなか伸びず、人も出たり入ったり…。経理で入社したはずの私も、総務、営業管理、内部監査と次々に部署異動となり、不満を感じていました。そして入社して3年後に、事業規模縮小のため解雇という通達が…。60人いた社員のうち、約3分の2が解雇される状況になり、私もその中の1人になってしまいました。

希望条件が曖昧のため、連敗…

解雇という危機的状況でしたから、ぜいたくは全く言えず「とにかくどこでもいいから入社したい」というのが本音でした。ただ、資格を活かすため、職種は「経理」で「年収450万円以上」の2つの条件だけを提示して転職活動を行いましたが結果は散々。人材紹介会社を通して活動しましたが、なかなか経理職が見つからず、インターネットの転職サイトに切り替え、片っ端から応募していました。不動産、メーカー、出版社、飲食業界、人材派遣会社と4カ月で30社以上の企業に応募するも書類審査で落ちる始末。「経理であれば、年収は問わなくてもいい」、あるいはその逆で「年収さえ希望が適えば、経理でなくとも…」と、どんどん条件がブレていってしまい、面接での自己PRで曖昧な話しかできないこともありました。「どこでもいい」というのが、むしろ「よくばり」だったのかもしれません。

「やりたいこと」が見えたら自己PR力がついた!

失業保険の給付金もそろそろ切れそうになってきたので、もう一度、自分が何をしたいかを考えてみました。そこで気が付いたのが、もともと経理に興味を持ったのも、「上場に関わる仕事がしたかったからだ」ということでした。上場に携われる企業で働くことが、自分のやりたかったことではないか、という結論にいたったんです。「上場を目指せる将来性の高い企業であること」「年収450万円以上」「職種はできれば経理」と、条件に優先順位をつけました。「上場に携われる企業」となると、ターゲットも絞られてくるし、何より自己PRで「自分のやりたいこと」を明確に話せることが、応募時の強みになったと思います。

希望企業で採用に

その結果、不動産会社の総務に採用が決まりました。3つの条件のうち「経理」は外れてしまいましたが、求める企業で年収も満足いくものです。不動産業界は未経験ではありましたが、前職で上場準備に携わっていたことが評価されたのだと思います。また、現在の会社が資格取得に熱心で、宅地建物取引主任者、第一種衛生管理者などの資格を転職後に取得することができたのもキャリアとしてプラスに。給与面は特に満足しており、希望額よりも50万円も上がったことは予想外に嬉しかったですね。きっと、あのまま経理にこだわり続けていたら、今でも転職できていないかもしれません。「なぜ、経理なのか」という最初の考えに立ち戻ったことが成功の秘訣だと思います。

編集部からのアドバイス

「入れるならどこでもいい」という方も少なくないでしょう。しかし、それは、ある種のよくばり。希望条件が曖昧なままでは、転職活動にもロスが生じます。「これだけは」という条件を決めて応募先を選びましょう。

関連するキーワードから求人を探す

CASE.2

【脱却ポイント!】よくばり条件を減らした

やっていた仕事は広報そのもの。でも世間の評価は「未経験扱い」。広報へのこだわりは捨てず、その他の条件や過去の肩書きを捨てた。
Before PRをメインとする広報業務 年収400万円以上 企業規模は現状維持(社員600人、年商70億円) ポジション 土日祝休み After 1 PRをメインとする広報業務2土日祝休み
N・Iさん(37歳)の場合

職種名や役職にこだわらず「広報の業務」優先

PROFILE/地方のジュエリーメーカーで販売職を経験。売り上げ実績を認められ、関東での新規事業の立ち上げを任される。しかし激務のため体調を崩す。その後、企画室へ異動。このころから広報業務に興味を持ち始めて、退職。美容雑貨の通信販売会社へ転職し、現在、広報業務を担当。

広報業務の面白さに気付き転職を決意

前職はジュエリーの販売運営業務に就いていましたが、体調を崩したことをきっかけに企画室へ移動。業界ではかなり大手の企業でしたので、「お金さえ出せば代理店が言うことを聞いてくれる」という環境でした。ですから、自分の純粋な業績が見えにくく、業務内容に不満を感じることも多かったんです。その後、PR業務にも携わるようになり、自分が動いたことでのレスポンスが見えるのが、すごく面白いと思うようになったんです。とはいえ、この部署はカタログ製作や製作管理がメインだったため、もっと広報という仕事に深く関わりたいと思ったのが転職のきっかけです。

希望条件の多さも足かせになり、転職先はゼロ!

転職に際して一番の条件は、広報というポジションにつけること、それもプレスではなく、あくまでPRでした。それと同時に企業規模も下げたくなかった。「大企業が安定しているから」ではなく、単純に、「大きな会社のほうが大きな仕事ができる」と思ったからです。今まで、業界大手の会社で事業部長を務めていましたから、小規模の会社に転職したら、つまらなくなるだろうと感じていたんです。また、年収も下げたくなかったし、土日は自分の趣味があるから必ず休みたい。この条件を持って転職活動をしましたが、応募書類すら通りませんでしたね。ある日、広報業務に強い人材紹介所へ出向いたんですが、面接で「広報未経験のあなたでは、年収400万円以上は無理ですよ」と担当の方にピシャリと言われ、やっと目が覚めたんです。私は広報に類する業務についてきたつもりだったけれど、世間的には「未経験扱い」なんだなって。

ためしに希望条件を減らしたら応募先の選択肢がぐっと増えた

広報経験がゼロで、年齢も35歳を過ぎているなど、改めて自分が置かれた状況を客観的に見直しました。そして出した答え(条件)は、「広報業務ができること」「土日祝休み」の2つでした。こだわっていた企業規模も、未経験の職種を希望しているわけですから、要はイチからのやり直し。ならば、「規模にこだわらず、自分が業務を覚えやすいぐらいの小規模企業でもいいじゃないか」と思えました。そのとき、胸の中でのわだかまりがスーッとなくなりましたね。それまでは転職情報サイトでも、「大きな広告」を出している企業ばかりに目をつけていましたが、「小さな広告」にも一つひとつ目を通していくようにしたんです。そして、そんな「小さな広告」の中にあったのが今の会社でした。

あきらめではなく、覚悟の決断

現在、私が勤める会社は「広報アシスタント」というポジションで募集していたので、未経験の私でも採用されました。年収は下がりましたが、昇給がありますので、額面は今後の自分の頑張り次第と考えています。企業規模は社員20人弱という小さな会社ではありますが、その分、社長の近くで「事業を一緒に動かしている」という醍醐味があります。自分が手掛けたPR活動で商品の売れ行きが上がったり、雑誌媒体などで話題になったりと、結果がきっちり出てくるのも、今までにない経験で新鮮です。「広報がやりたい」という核の部分以外の経歴やキャリアを捨てたことで、本当にやりたい仕事に就くことができました。この決断は「あきらめ」ではなく「覚悟」だったと思いますね。

編集部からのアドバイス

例えば、経歴やキャリアは重要な武器ですが、それが肩書へのこだわりになると、なかなか思い通りの応募先は見つからないもの。ポジションにこだわらず「何をしたか」を明確にし、「ちょっとよくばりかな?」と思う条件ははずして探すと、応募先は格段に広がります。

関連するキーワードから求人を探す

CASE.3

【脱却ポイント!】漠然とした大手志向を捨てた

大手企業へのこだわりを捨てて、かつ、経験があった金融業界で事務職を探した。
Before 大手企業 事務職 After 1 事務職 2 金融業界
F・Sさん(26歳)の場合

「大手」を捨てたら経験が活かせる仕事に就けた

PROFILE/大学卒業後、大手証券会社に就職。事務職希望だったが、営業に配属となる。4年間勤務した後、アセットマネジメント会社のコールセンタースタッフとして転職。

新卒のころから変わらない大手志向

学生時代、就職活動をしていた時期は、いわゆる氷河期。私の希望はそのころから「大手で事務職」でしたが、当時も「大手企業の事務職」は、募集が少なかったんです。それでも、なんとか大手証券会社に就職。配属先は営業でした。株、債券、投資信託と、広く浅く商品知識を増やし、証券外務員資格も取得して、自分なりには頑張ったつもり。社名は誰でも知っているような会社なので、両親や親戚、周囲の人たちには「いい会社だね」といわれましたが…。しかし、どうしても営業の仕事が自分の性分に合わなくて。成績が悪いと有給を取るのも憚られるし、肩身の狭い思いをしていました。それで転職を考えるようになったんです。

業種を絞って職種転換で転職に臨んだ

転職活動をしようと決めたときも、新卒のころからの大手志向は変わりませんでしたね。とにかく大手企業に入れたらと思っていました。1カ月間、大手を中心に転職先を探しました。募集は少ないながらもいくつかあって、鉄鋼や電機メーカー、アパレルなど受けましたが、全滅。面接にもたどりつけない。それで、転職活動2カ月目から方針変更。証券の営業で培った知識が多少でも武器になるならと、金融業界の事務職に絞って探しました。銀行、保険、証券など数社は面接まで進み、最終的には現在の投資信託を専門に行う会社に転職できました。あのまま大手企業ばかり狙っていたら、今でも転職活動中だったと思います。

大手企業にこだわっていた理由

なぜそこまで大手企業にこだわったのか。自分に自信がないから、会社に安心や安定を求めてしまったのかも…。安定、ブランド、ガツガツしていない社風という、勝手なイメージだけで選んでいたんだと、今になって気付きました。大手企業だって正社員の解雇などが普通に行われるようになったわけですから、必ずしも大手=安定なんていえない世の中ですもんね。自分としては、それほどぜいたくはいってないし、よくばってもいないつもりでしたが、せっかく金融業界で得た知識と経験があったのに、職種も業種も全く違う会社を選ぼうとしていたことが、「世間知らずのよくばり」だったと思いますね。これじゃあ、採用してくれる会社もありませんよ。

希望条件を見直して手にいれたこと

大手企業にこだわらず金融業界に絞って会社を探し始めたことで、銀行・保険以外でも、今勤めている会社のような投資信託専門という、「裏方的だけれど、金融の専門知識が深く身につくいい会社」に目がいくようになりました。証券時代に培った基礎知識があるおかげで、今、投資信託の仕組みをより掘り下げて勉強することもできます。「なんだ、金融ってやってみたら意外と面白いんだ!」と、気付きました。また、私が考えて作ったデータ類が形に残って、周囲の人たちの役に立つ…そこにもやりがいを感じています。先日は、上司の勧めでファイナンシャルプランナーの試験も受けました。一つずつ金融業界での仕事の面白さを体感している最中です。営業と違って、仕事の成果が数字に表れることはないし、お給料もだいぶ下がりましたが、なんだか毎日、仕事が楽しい。アットホームな社風も、おっとりした自分に合っているみたいです。「大手」という条件をはずして初めて、社風や仕事の面白さは「大手企業だから得られる」ものではないことに、気付くことができました。

編集部からのアドバイス

大手企業に惹かれる理由は、知名度の高さ、福利厚生の充実、環境設備の充実などがあるでしょう。しかしそれは大手でなくても実現できるかもしれません。自分が希望する条件は何かを見つめ直すと、「競争率が高く狭き門」に挑まずに実現できる可能性は上がります。

関連するキーワードから求人を探す

CASE.4

【脱却ポイント!】希望職種を広げた

絶対に譲れない条件は「幅広い業種の経営層と関われる仕事」という点に気付いた。それで特定業種へのこだわりをやめた。
Before 残業なし 土日休み 通勤時間1時間内 年収500万円程度 幅広い業種の経営層と関われる仕事 経験と知識を活かせる同業種の仕事 After 1 希望職種だけ変更
A・Oさん(35歳)の場合

キャリアアップにつながる転職が実現!

PROFILE/大学卒業後、会社を起業するが5年で倒産。企業信用調査会社の営業に転職。7年勤務した後、企業向け人材教育・研修プログラムの企画販売を行う会社に転職。営業チーム主任として、現在に至る。

転職活動開始のきっかけ

前職は、企業信用調査会社の営業です。中堅中小企業を対象として、その営業状態や経営者の資質を調査するというもの。さまざまなタイプの経営者と知り合えたし、経営体質の改善方法などについても勉強できました。チーム制だったのでマネジメントも経験できましたから、やりがいはありました。しかし私としては、企業信用調査の結果を顧客に提示するだけで、「その先は自社でどうぞ」という“やりっぱなし感”は否めませんでした。それと、チームリーダーになってからは、毎日終電近くまで残業があり、休日もろくに休めない状態が続きました。家族との時間はもちろん、自分の時間が全く持てなかったのです。私には、社労士として将来独立するという目標があります。そのための勉強の時間を確保したかったのが、転職を考えたきっかけです。

よくばっていた希望条件

私の希望条件は6つ。「残業時間が少ないこと、土日は休めること、通勤時間が自宅から1時間以内であること、年収500万円は確保したいこと、仕事先として幅広い業種の経営層や総務・人事部門に関われること、積み上げた知識と経験が活かせる同業種で転職すること」。当時勤めていた会社は、企業信用調査業界内ではわりと大手。転職したら給与は下がるかもしれないな…という思いもありましたが、「勝手知ったる業界」なら、これまでの経験もそこそこ評価してもらえるだろうし、「下がってもこの程度」という予想がつく。それで、同業界の会社を探しました。ところが、想像していた以上に募集は少なく、インターネットで調べても、人材紹介会社に尋ねても、今より納得できる会社は見つかりませんでした。そもそも、企業信用調査業界が、そんなに大きなものではなかったんですね。それで、仕事をしながらとはいえ、1年間も転職活動を続けることに…。

希望条件の見直しとそれからの転職活動

1年もの間、落ち着かない状態を見ていた妻は、「我慢して今の会社続けながら勉強したら?」「もうどこでもいいんじゃないの?」と言われる始末。そこで、同業種にはこだわらず、「経営者が営業先」に重点を置き、できればその他の条件も満たしてくれる転職先を…と方向転換しました。そのうち、転職情報サイトで希望条件をすべて入力しておいたところ、提示されたうちの1つが、現在勤務するA社(人材教育・研修のプログラム企画開発)でした。長年、人材削減策を伴う組織再構築の分野でばかり仕事をしていたので、今いる人材を底上げするためのプログラムを扱うというのは、180度違う仕事に就くようなもの。自分にできるだろうかという不安も、正直ありました。そんな想定外の業種でしたが、「社内外のメンバーをまとめあげて、自らも営業活動できる方」という、いわゆるチームリーダーの募集でしたから、扱うものは変わっても営業経験自体は活かせると自分に言い聞かせ、転職しました。

希望条件を見直して手にいれたこと

実は、A社で確実に満たせた希望条件は、「経営者が営業先」「土日休み」だけなんです。残業はほどほどありますし、配属先は自宅から1時間半以上かかる場所。ついでに言えば、年収は前職に比べて100万円近く下がりました。しかし通勤時間帯でも資格取得のための本は読める、年収は職能給なのでこれから取り返せばいいと、思うようになりました。
何より、仕事が面白い。前職では「仕事先に警告を与えるだけ」でしたが、今の仕事は仕事先と協力して、人材教育面や組織改善面での解決策を練ったり、提案したりできる。優等生的な言い方かもしれませんが、仕事そのものを楽しめれば、多少の残業は苦になりません。以前と比べれば格段に残業時間は減りましたから、私の評価としては、ほぼすべての条件は満たせたというところです。
仕事をしながらの転職活動という緩みもあって、希望条件をよくばっていたかなと思うこともありますが、「業種」を変えただけで、ほかの条件もそこそこの状態に持っていけたので、満足しています。むしろ、この年齢で全く新しい事業分野の経験もでき、それが将来の夢に少なからずつながる内容であるようにも思いますので、業種にこだわるのをやめて正解だったと思います。

編集部からのアドバイス

キャリアが十分にある方ほど、同業種への転職を希望しがちではないでしょうか。しかし業種によってはこの不況下、募集が少ないケースもあります。「希望業種」を変更するだけで、ほかの希望条件はあまり減らさず、転職に成功できることもあるようです。

関連するキーワードから求人を探す

EDITING・WRITING
佐藤裕子、中屋麻依子
DESIGN
Mac.H GraphicArts

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)