キャリア、私生活の転機、求人マーケットから見極める プロに聞く 転職のベストタイミング キャリア、私生活の転機、求人マーケットから見極める プロに聞く 転職のベストタイミング
転職希望者にとって、どのタイミングで転職に踏み切るかは大きな悩みどころだ。どうせなら人材価値が高く評価される時期に移りたいもの。各分野のプロにインタビューし、あらゆる角度から転職のベストタイミングを考えた。
こんな場合の転職タイミングは、いつ?
キャリア編
転職したばかりだが、また転職したい 資格取得前と後、転職するならどっち?
プロジェクト終了は1年後。転職活動のタイミングは? 昇進前と後、転職するならどっち?
私生活編
一生働ける会社に転職したい。踏み切るタイミングは? 出産前と後、得する転職はどっち?
家の購入を検討中。購入前後、どちらが転職しどき?
求人マーケット編
大手メーカーの求人が増える時期は? 年末の転職はベストタイミングか?
中小企業を狙うなら、いつが最適か?
その他
失業給付を受けながら、転職活動するならいつがいい? 会社が買収されるかも。有利な転職時期は?
労働関連の法律のプロ 転職相談のプロ 求人情報のプロ
社会保険労務士 寺田 晃氏   キャリアアドバイザー 細井 智彦氏   リクナビNEXT編集長 黒田 真行
社会保険労務士
寺田 晃氏

大槻経営労務管理事務所の統括局長。東京都社会保険労務士会理事、東京都社会保険労務士会総合労働相談所副委員長などを務める。著書に『ビジネスキャリア講座テキスト 給与・社会保険(初級・中級)』(共著)など。
  キャリアアドバイザー
細井 智彦氏

リクルートエージェントのキャリアアドバイザー。多くの転職者を見守ってきた経験から生み出した「セルフマーケティングセミナー」「職務経歴書セミナー」「面接力向上セミナー」は、すでに3万人以上が受講した人気セミナー。著書に『転職面接必勝法』。
  リクナビNEXT編集長
黒田 真行

リクルートの求人情報誌『B-ing』『とらばーゆ』『フロム・エー』各関西版編集長を経て、2006年4月より『リクナビNEXT』編集長。約19年間、転職・アルバイトなど求人メディアづくりに携わる。
キャリア編
自分のキャリアが最高に評価されるのはどんなとき?
入社はどこまで待ってもらえるのか?
仕事面でのベストタイミングを考えてみよう。
キャリア編
転職したばかりだが、また転職したい
勤務先の倒産などで、これまで3回転職しています。半年前に入った今の会社は、経営状態は悪くないものの、どうにも給料が安い!転職したいのですが、ベストタイミングは?(28歳・男性)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 不満を分析すれば、展開が見えてきます
不本意な転職を余儀なくされてきた場合、つい不安や不満ばかりが頭をよぎるもの。しかし一方で、もう転職を繰り返したくないという強い思いもあるのではありませんか。ここはタイミングよりも、転職そのものを慎重に考えることを勧めます。今のまま転職しても、給与アップが実現できないこともあるからです。まず、「安い」という不満を「アップさせたい」という目的に変えて考えてみます。どうしても転職して上げたいなら、どうすれば実現できるかという視点で情報収集したり、今の自分に不足しているものを知ると、おのずとしなければならないことが見えてくるでしょう。(細井氏)
資格取得前と後、転職するならどっち?
経理補助の経験があるので、できれば経理で転職したいのですが、簿記などの資格取得後に転職するべきでしょうか?(26歳・女性)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 在職中なら、資格取得後に転職することをお勧めします
転職市場では、IT系でベンダー資格、外資系でTOEIC(R)、会計事務所で会計士補以上など、確かに一部の業界では評価につながる資格があります。ただし、資格というものは、社会から認められるものほど難易度が高く、取得までに時間がかかるものが少なくありません。退職してしまうと、資格取得の勉強中に仕事のブランクができてしまい、かえってそれが不利になることも。ですから、資格取得のために退職してしまうのではなく、今の仕事を続けながらまず資格を取り、その後に転職することをお勧めします。(細井氏)
プロジェクト終了は1年後。転職活動のタイミングは?
今、携わっている研究開発のプロジェクトが来夏に終了します。それに合わせて転職したいのですが、今すぐ転職活動をして、相手先企業に待ってもらえますか?(34歳・男性)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 自分の人材価値を考えて判断を
採用する企業にとって、あなたが1〜2年かけて探しても見つからないような人材だとしたら、待ってくれる可能性は高いといえます。要は、自分が先方から「是が非でもわが社に来てほしい」といわれる人材か否かの判断が、交渉するべきかどうかの分かれ目になります。(細井氏)
リクナビNEXT編集長 黒田 真行 企業の事情や職種によっても異なります
中途採用では、業種や職種にかかわらず緊急度の高い求人が多いのですが、実際に入社までの期間をどれぐらい待ってもらえるかは、採用する企業の事情や求める職種によっても異なります。例えば、変化の波の激しいIT業界や、新規出店する際の流通やサービス業では難しいケースも少なくないでしょう。一方、長期スパンで仕事をする研究開発職なら比較的融通が利くかもしれません。そのあたりを踏まえたうえで、転職活動をしてください。(黒田)
昇進前と後、転職するならどっち?
どうやら来春あたりに昇進できそうなのですが、転職を考えている私にはありがた迷惑な話。転職できなくなる前に、次を見つけたいのですが…。(29歳・男性)
リクナビNEXT編集長 黒田 真行 管理職志向か、プレーヤーか
29歳で昇進の話が出ているのなら、まずまず順調な会社員生活だと思いますが、あなた自身は管理職をやりたいのか、現場のプレーヤーでいたいのか、どちらでしょうか?課長やリーダーに昇格した後なら、管理職としての転職も可能になりますよ。ただし、管理職になってすぐに退職するようなことになれば、あなたにそれだけの職責を期待して人員計画を立てている今の会社に迷惑をかけるので、昇進前に退職の意思を伝えるのが円満退職のためのマナーといえるでしょう。(黒田)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 管理職の求人を狙うなら、実績を残してから
転職マーケットでいうなら、管理職になってからのほうが、断然、条件のいい転職ができます。ただし、それも管理職として少なくとも1〜2年働き、外部も認めるほどの実績を残してからのこと。逆に、昇格してすぐに退職すると、管理職として不適合ではないか?と、応募先で見られる恐れもありますので注意してください。(細井氏)
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私生活編
結婚や出産、あるいは家の購入など、人生にはいくつかの転機がある。私生活のターニングポイントで、一挙に仕事でも新天地を求めていいかを探った。
私生活編
一生働ける会社に転職したい。踏み切るタイミングは?
結婚したら残業の多い今の会社は無理。独身の間に「一生働ける会社」に転職しておきたいのですが、スキルの面で自信がありません。(28歳・女性)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 自分にとって働くことの意味は?
まず働くことが好きかと自問してみてください。本当はそんなに働くことが好きではないが、結婚や子育てで人生を閉ざされるのがイヤなだけというタイプなら、面接に臨んでもその矛盾を指摘されてしまいます。「残業が少なくて一生働ける会社」は、世の中にそう多くはないでしょう。仮にそんな好条件の会社に入れても、正社員のあなたの仕事が、いつ派遣社員やアルバイトに置き換わるかもしれないことを認識しておいたほうがいいと思います。(細井氏)
リクナビNEXT編集長 黒田 真行 重視するのは、仕事か会社か
一生続けたいのは、仕事ですか、会社ですか?それによって、会社選びの方向性が見えてきます。また、そういった会社がどんな人材を欲しがっているかを知れば、自分のスキルと照らし合わせて、どれぐらい頑張れば手が届くのかがわかるでしょう。(黒田)
出産前と後、得する転職はどっち?
来年30歳。そろそろ子どもが欲しいのですが、子どもが生まれる前に転職するべきか、それとも産休や育休をとってから転職するかで悩んでいます。(29歳・女性)
社会保険労務士 寺田 晃氏 転職後1年以内は育休が取れない場合も
育児休暇を取得するには、一般的に「同一事業主に引き続き1年以上雇用されている」と、「子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる」という2つの条件を満たさなければなりません。労使協定が締結されていれば、転職後1年以内は育休を取得できないと覚えておいてください。なお、出産休暇にはこういった条件はありません。(寺田氏)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 転職して環境を整えておきましょう
現実問題として、子どもが生まれてから転職はかなり制約が出てくると思います。それなら今のうちに、子育て中も働きやすい会社に転職し、環境を整えておくほうが賢明です。新しい職場でしばらく仕事に集中し、優秀な人材だということを周囲にアピールしておけば、育休後の職場復帰もスムーズに進むでしょう。(細井氏)
家の購入を検討中。購入前後、どちらが転職しどき?
退職金を頭金の一部に充て、マンションの購入を考えています。家も仕事も一新して、一から頑張るつもりですが、転職のタイミングは購入前後のどちらがいいのでしょう?(33歳・男性)
社会保険労務士 寺田 晃氏 転職は、住宅ローンを組んでから
住宅を購入する際、銀行で住宅ローンを組もうとしても、転職後1〜2年はなかなか難しいでしょう。ましてや失業中はまず無理。銀行も貸付する以上、相手に安定した収入があり、返済する能力があるかを審査するからです。どうしても購入したいのなら、勤続年数の長い転職前に住宅ローンの手続きを済ませておくこと。なお、すでに購入した人で、会社独自の持ち家制度などを利用して住宅資金を借りている場合は、退職と同時に借りた全額を清算しなければならないので注意してください。(寺田氏)
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求人マーケット編
求人数が増えれば当然チャンスも多くなるはず。
企業の採用活動が活発になる時期はいつか?
採用する側の立場から、タイミングを探ってみよう。
求人マーケット編
大手メーカーの求人が増える時期は?
今と同規模の大手メーカーに転職したいと思っています。何月ごろが狙い目ですか?(27歳・男性)
リクナビNEXT編集長 黒田 真行 以前は人事異動と賞与時期でしたが…
単純に「人の動きが多い」という観点で見れば、従来、日本の企業では、人事異動の多い4月と10月の前後と、賞与をもらってから退職する人の穴埋めとして1月と7月の前後に、求人数も求職者数も増加していました。ところが、通年採用が増えた最近では、季節的な変動はそれほど顕著ではなくなっています。むしろ、「転職について自分の気持ちの整理がついた」時期や、「次にやりたい仕事や興味が持てる会社を見つけた」タイミングが、転職のベストタイミングだと思います。(黒田)
年末の転職はベストタイミングか?
年末の賞与をもらってから転職しようと思っていますが、一般的な転職市場の動向は?(31歳・男性)
リクナビNEXT編集長 黒田 真行 年末は、求人も増加傾向に
年末年始は、翌年以降に向けた求人も多くなり、就職活動には適しているといえます。ただ、正月直前のころは、あいさつ回りなどで多忙な企業が多いので、面接や選考のアポイントを取る際は企業の都合をしっかり確認しておいてください。(黒田)
社会保険労務士 寺田 晃氏 手続きの煩雑さがイヤなら年内再就職を
12月末まで以前の会社に勤務していたり、年内に再就職先が決まった場合は、会社が年末調整をしてくれます。ところが、年末調整以前に退職して失業したまま年を越すと、翌年、自分で確定申告しなければなりません。手続きの事務の煩雑さを考えると、ブランクなしで年内に転職したほうがラクといえます。(寺田氏)
中小企業を狙うなら、いつが最適か?
営業職の経験を活かして、業績のいい中小企業に転職を考えています。この種の求人が増える季節はありますか?(32歳・女性)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 求人倍率は年間ほとんど変化なし
転職マーケットでは、大手・中小企業関係なく、賞与をもらってから辞める人が多いのは事実です。そのため、引き継ぎなども考慮して、ボーナス前はその穴埋め要員の求人が増えたりします。しかしながら、企業の求人数と労働者の応募数という求人倍率で考えると、1年通してそれほど大きな変化は見られないのです。魅力的な求人を見つけたら、すぐに対応してください。(細井氏)
リクナビNEXT編集長 黒田 真行 即入社を望む求人が多い
業績のいい中小企業ほど人手不足で、求人も今すぐ欲しいというケースが多いので、特に狙い目の時期というものはありません。(黒田)
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業績好調 賞与年3回 成長企業
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その他
労働保険や環境などの面から見ると、
いつが損しない転職時期なのだろうか?
その他
失業給付を受けながら、転職活動するならいつがいい?
今の会社に勤務して、ほぼ10年になります。半年ぐらいかけてじっくり転職先を探したいので、いったん退職してから転職活動したいのですが…。(30歳・男性)
社会保険労務士 寺田 晃氏 10年以上勤務か否かで、失業給付日数が変わります
失業給付は、被保険者であった期間が5年以上10年未満で給付日数が90日、10年以上20年未満で120日となっており、10年であるか否かで30日分も異なるので、その点も考慮して、退職日を決めてください。なお、2007年10月より雇用保険の受給資格が「自己都合退職の場合には12カ月(各月11日以上)の被保険者期間が必要になりました。(寺田氏)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 失業期間が長引けば、転職も厳しくなります
しばらく充電したいという気持ちもよくわかりますが、転職マーケットでは失業期間が長くなるほど、年はとる、現場には疎くなる、怠けグセがついているのではないか?などの理由から、敬遠されるケースが増えます。自分を厳しく律する自信があればいいのですが、そうでない人は退職する前に転職先を見つけておくほうが無難でしょう。(細井氏)
会社が買収されるかも。有利な転職時期は?
会社が買収されるという噂がささやかれています。状況を見極めてから動くか、一足早くに転職するかで、気持ちが揺れています。(27歳・男性)
キャリアアドバイザー 細井 智彦氏 みんなより早く動けば、転職も有利かも
噂に信憑性があるのなら、転職するしないはともかく、求人情報の収集だけでも早めにするべきです。あなたが今いる会社の規模にもよりますが、同じようなキャリアの人材が転職マーケットにあふれてくると、それだけ競争率も高くなり、転職しづらくなることを胸に止めておいてください。(細井氏)
社会保険労務士 寺田 晃氏 人事制度が改善される可能性あり
相手先企業の傘下に入るという買収なら、先方企業の人事制度や福利厚生をホームページや求人情報などで、できるだけ調べてください。1〜2年後に、今より福利厚生が改善したり、人事評価が変わったりと、環境が大きく変わる可能性があります。27歳ならそのあたりを見極めてから転職のアクションを起こしても、そう遅くはないと思います。(寺田氏)
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【取材を終えて】
自分に最適な求人が現れたときが転職のベストタイミング!
転職のベストタイミングは、業種や職種、あるいは個々の企業の事情によって大きく異なることがわかった。また、転職希望者一人一人の置かれた状況や環境によっても、当然違ってくる。ただし、共通していえるのは、ベストタイミングを探る前に、なぜ辞めたいのかを自己分析し、転職の目的が収入かポジションかやりがいか、はたまた良好な人間関係なのかを明確にしておくことが重要だ。それさえしっかり把握してアンテナをはりめぐらしておけば、いつか自分に最適な求人情報に出あえるはず。そのときこそが、あなたにとっての転職のベストタイミングといえるのだ。
EDIT&WRITING
中嶋 典子
DESIGN
カンダ マキコ
ILLUST
今井 ヨージ
PHOTO
伊藤 誠、松田 康司

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