そろそろ景気回復か?!

もうすぐ30歳。「今」転職すべき?

景気がそろそろ回復すると言われている。しかしギリシャ危機など海外から不安なニュースも耳に入り、本当に景気が回復するのか疑問が残る。先の見えない状況の中、転職すべきかどうかで悩んでいる人は多いはず。そこで今回は、最も市場価値が高いといわれる28歳〜30歳の転職について、2人のモデルケースを参考にしながら、「転職のタイミング」を検証しよう。

2010年6月 9日

ADVISER

(株)クライス&カンパニー
代表取締役社長
丸山貴宏氏
大手就職情報会社の人事を7年間担当した後、1993年にクライス&カンパニーを設立。これまでに1万人以上と面接した経験を持ち、その実績に基づいたカウンセリングで数多くのベストマッチングを生み出してきた。「転職のベストタイミングは自分の中にある」をモットーに、相談者の根っこにあるエネルギーを発掘することに日々全力投球する。

果たして今は、転職しどきか?

一般的に最も市場価値が高いといわれるのが、28歳から30歳。しかし、昨今の不景気のせいで、そんな年代の彼らも苦戦を強いられている。もちろんこれからの景気の動向にもよるだろうが、果たして今は、動きどきなのだろうか?それとも、焦らずに1〜2年待つ待つべきなのか? 自分自身を最も高く売れる時期の見極め方をについて、百戦錬磨の人材コンサルタントに営業職、事務職2人のケースについて、「年収アップ」「キャリアアップの方向性」という2つの視点からキャリア査定をお願いした。

29歳、広告会社勤務の営業職・Aさんの場合

広告代理店営業の
Aさん
役職:チームリーダー
(部下3人)
年収:450万円

Aさんのプロフィールはこちら

有名私立大学卒。未婚。転職経験なし。大学時代からマスコミ業界を志望し、2004年4月、中堅広告会社に営業職として入社。テレビ、ラジオ向けのCMのプランニング、枠取りから素材の入稿作業までを一貫して担当。その後、インターネット事業部の立ち上げを任され、現在は主にサイト制作のディレクション業務を担当しながら、部下3人を抱えるチームのリーダーとして活躍。




気が付いたら29歳。
転職したほうがいいですか?

【悩み】
・気がついたら30歳も目前。このまま一生この会社にいて大丈夫なのかという、漠然とした不安がある
・大手ライバル会社相手にコンペで受注を取るなど、実績はそこそこ残せている。ほかの会社でも力が通用するのか試してみたい気もする
・相場がよくわからないが、任されている仕事の責任の大きさを考えると、もう少し年収はもらってもいいかなと思う


【10年後、「なりたい」自分】
・今と同じ営業&プランナーの仕事を続けていたい
・役職も大事だが、現役でいたい。大きな実績を残して、周囲からもっと評価されたい

<給与面からのアドバイス>
あと1、2年キャリアを積めば、今より簡単に年収アップできる

なぜ30歳前後のビジネスパーソンが市場でモテるか。それは、給与相場の安さです。人にもよりますが、だいたい400万円から600万円のゾーンで採用が可能なうえ、即戦力として期待しやすいのです。
よく勘違いする人が多いのですが、「キャリアを重ねれば給与も上がる」というのは間違い。給与額を決めるのは、あなたが身を置く環境なのです。「業界の水準」「業界内のその企業の順位」「自分の仕事のお客さんとの距離」という3つが、あなたの給与を決めます。だからといって、キャリアを磨くことをやめろということではありません。今のような不安定な時は、この3つの視点を意識しないと、給与は絶対に上がらないということなのです。
彼の場合、今すぐ動くことは得策ではありません。確実に社内でステップアップが見込めるわけですから、あと1、2年はこのまま経験を積めば、数年後にはもっと市場価値が上がるはず。周囲がほおっておかないくらいの力が身に着き、ヘッドハンティングなんてことになれば年収700〜800万円も可能です。
一方で「今すぐ転職したい」場合、今よりも業界内で上の順位の会社に転職することが、給与アップのためには近道です。もしくは「成長しているが、人材不足な業界」というのも狙い目です。Aさんのように広告の相場がわかる人材というのは、需要が多いのです。特に広告費をかける余裕のある成長産業の中で、広告の費用対効果を高めるという仕事です。希望の仕事ではないかもしれませんが、給与アップは十分に期待できます。

<キャリア面からのアドバイス>
流されず、今の職場でキャリアを積もう

2008年9月のリーマンショック以降、多くの企業は「何をしたらよいかわからず、結局何もしない」というスタンスで対処してきました。そこに「経費削減」が追い打ちをかけたため、人材の流動が止まってしまいました。
現状はというと、求人数は確実に増えてきており、景気の底は打ったと言えそうです。このような景気回復期にはまず経営企画、事業企画などの企業の頭脳にあたる求人が増え、続いて売上直結型の営業職・マーケティング、さらにバックオフィス系、IT・システム系と徐々に拡大していく傾向があります。中でも営業職は着実に求人数を増やしており、チャンスは拡大中でしょう。
とはいえ、Aさんはできればまだ動かないほうがよいかもしれませんね。というのも、今と同じだけのやりがいのある仕事を、転職先でできる保証がないからです。部下を3人持ち、大手相手にコンペで勝つような仕事ができているというのは、29歳では「立派」です。
このまま営業職でキャリアも積むことを優先するなら、今の環境に残り、経験値を上げていくことを考えたほうがいいでしょう。そのほうが、30代後半以降を考えても得策だと思います。

28歳、メーカー勤務の経理職・Bさんの場合

メーカー勤務の経理職・Bさん
役職:なし
年収:280万円

Bさんのプロフィールはこちら

大学時代から税理士を目指すが挫折。たまたま内定をもらった飲食店経営会社に入社し、レストラン事業部に配属となる。店舗研修で接客の基本姿勢を学んだ後、管理部へ。社員・パートの給与計算、経費計上および支払い業務、各店舗の売り上げ計上などの経理業務のほか、社員入退社時の社会保険及び雇用保険の得喪手続き、店舗パートの求人広告掲載手配や採用面接窓口などの総務業務など、事務業務に従事する。2008年10月に家具メーカーに経理として転職。現在は主に社員の給与計算、取引先企業への請求書の発行業務に携わる。

給与が上がる気配がない。
このままでいいのでしょうか?

【悩み】
・不景気で仕事量が減っている。残業もほぼなく、手持ち無沙汰を感じるときがある。
・給与が上がる気配なし。転職によって年収が約50万円下がってしまったことが、今になって少し不安に思えてきた。
・10年、20年と続けられる専門性を大事にしていきたいので、もっとスキルアップができる業界や会社に転職したほうがいいのではないかと思う時がある。


【10年後、「なりたい」自分】
・福利厚生の整った会社で働いていたい。
・子どもを産んで、しっかり育てながら仕事も着実に続けたい。
・専門性のある仕事に携わりながら、スキルアップしていたい。

<給与面からのアドバイス>
給与相場の高い異業界に、今すぐ転職すべし

不況は底を打ち、少しずつ回復の兆しを見せ始めています。このタイミングで求人を出せる会社というのは、言ってみれば「生き残れた企業」というわけ。つまり、一定レベル以上の企業だと言えるかもしれません。そして、経理などのバックオフィス系求人というのは、景気回復期に少し遅れて徐々に出始めるものなんです。今回の「大不況」においては、今年の1月ごろから求人が増えてきていますから、今なら選択肢は多い。
Bさんの現在の年収280万円は、業界的には妥当なところです。家具業界そのものの平均水準ですから、給与アップを実現させたいのであれば、一番の近道が「給与水準の高い業界へ動くこと」です。もし、現在の業界に執着がそれほどないのであれば、すぐにでも転職していいでしょう。成長産業を狙えば、仕事もあるはずです。かつては福利厚生が整っているといえば大企業だけでしたが、現在では中小、ベンチャー企業できちんとしているところは多いです。経理に絞って、幅広い業界を見てみることをおススメします。

<キャリア面からのアドバイス>
培ったキャリアが80%活かせそうなら、動いてみよう

転職の際は、「キャリア活かせる度」に注目してみましょう。あなたの現在のキャリアが転職先でどの程度使えるかを表すものです。これが高いと即戦力度もぐっと上がり、給与面と仕事の権限の両面で好条件が期待できます。一方で、異業界・異職種の転職となると、この指数が限りなく0%に近付くため、今と同条件を期待することが難しくなっていきます。もちろん、どんな仕事にも使えるスキルというものがありますから、そこを加味するのを忘れずに。
今のような不安定な時代に市場価値を下げたくないのであれば、「キャリア活かせる度80%以上」を目安にして、転職に踏み切るのがいいと思います。逆に言うと、異職種など思い切った転職で条件を維持、もしくは上げようというのは、市場価値が高い30代前後の方でも難しいということです。
Bさんが経理職でステップアップしていきたいのであれば、今すぐ動いてもいいでしょう。しかし、意外なところで「社長秘書」というキャリアの積み方もありますね。1社目に総務、人事、経理を全て担当した経験をうまくアピールすれば、本人が思う以上に周囲に必要とされる可能性があります。今現在の仕事だけではなく、過去に担当していた仕事を掘り返してみれば、意外なところにキャリアアップの種が見つかることもあります。

何のために転職するのか、それをまず考えよう!

「転職したいときが、ベストタイミング」という考え方が通用しなくなったのが、リーマンショック以降の転職市場。しかし、今年に入り少しずつ状況は好転している。若手ビジネスパーソンにとっては転職を前向きに考えやすい時代に入ったとも言えよう。
しかし、だからといって飛びつくことが得策かといえば、決してそうではない。まずは、「何のために転職という手段を選ぶのか」。そこをしっかり考えること。「何歳のときにどうなっていたいのか」という将来像をイメージしたり、世の中の相場を知るために、一度情報収集だけでもしてみるのもいいだろう。目的に合わせたベストタイミングを見計らうことが、何より大事なのだ。

まずは、自分の市場価値を知る!
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今後の目標が定まらなかったり、職場環境に不満があったら、悩んでいないで行動を起こすことが何より大切だ。「リクナビNEXTスカウト」にレジュメを登録することで、自己分析ができ、夢や目標が自然と浮かび上がってくることも多い。目標が定まれば、今やるべきことが自然と見えてくる。思いもよらぬ企業からオファーがくれば、モチベーションもアップするし、社外の人と接する機会を持つことは発見や刺激にもなるのだ。自分のスキルに対する評価もわかり、市場価値を知ることもできるぞ。自ら積極的に動いて、給与アップやスキルアップにつなげよう。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村江
ILLUST
オブチミホ

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