「頑張っているのに評価されない理由」を徹底解剖!

「期待される人材」になるための仕事術

最近、「頑張っているのに、周囲がきちんと認めてくれない」と悩むビジネスパーソンが増えています。それを理由に転職を繰り返し、最終的に自信をなくしてしまうとしたら、それはとてももったいないことです。しかし、問題は常に評価する側だけにあるのでしょうか?もしかしたら、評価される側にも見直すべき点があるのではないか…。そこで、百戦錬磨のコンサルタントに、あなたが評価されない本当の理由を解明してもらいました。

2010年10月6日

<ADVISER>

(株)キャリエーラ 代表取締役 藤井佐和子氏

(株)キャリエーラ
代表取締役 藤井佐和子氏

カメラメーカーに勤務後、インテリジェンスに転職。現在はフリーのコンサルタントとして、のべ1万2000人以上のキャリアカウンセリングを経験。また、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなどの人材育成支援を行う。講演や執筆等でも活動。著書に「伝え上手で、キャリア・アップ!働く女性のハッピー法則」(リヨン社)「これで採用!!転職面接完全サポートブック」(新星出版社)など。

(株)フェイスホールディングス 代表取締役社長 小倉 広氏

(株)フェイスホールディングス
代表取締役社長 小倉 広氏

就職情報会社の企画室、編集部、組織人事コンサルティング室課長などを経験後、2003年フェイスホールディングス代表取締役就任。リーダーシップ開発と理念浸透に特化したコンサルティング並びに教育研修を提供。顧客企業の組織づくり、人材育成を支援している。著書に「課長のスキル どんな会社でも通用する70の技」(徳間書店)「33歳からのリーダーのルール」(明日香出版)など。新聞、雑誌への寄稿や講演多数。

評価基準(ルール)を知らない場合

こんなに頑張ってるのに…

 <お悩み>

SEとして、クライアントの会社に派遣されています。担当者がとにかくわがままで、よく無理難題を押しつけられます。顧客の意見は何でも聞き、そのせいで徹夜は当たり前で、納品が遅れそうになれば休日出勤もします。たまに自宅に持ち帰って作業することもあります。クライアントとの距離を縮めようと飲みの誘いは断りません。こんなに大変なのに、直属の上司からの評価はそれに見合ってないんです。技術面でも自信はあるのに、何でだろう…。

【藤井氏の回答】
「忙しい」ことと「成果が出ている」ことは違います。まずはあなたが出すべき成果が何なのかを確認すること。そして、「いつまでに」「何を」「どのように」アウトプットすればいいのかを確認すること。そうでないと、上司も評価のしようがないはずです。
また、この方のようにクライアント先に常駐しているならなおさらですが、上司にとってプロセスが見えないことは不安で、評価もしにくいもの。進捗状況はこまめに共有し、上司を安心させましょう。
営業職の場合は、上司に同行をお願いして、クライアント先との良好な関係を定期的に見せることで上司を安心させることができます。また、事務職など成果が数字で表しにくい職種の場合は、「一緒に仕事をしやすい」と思われることも評価につながることがあるので、意識してみるのもいいでしょう。
 
【小倉氏の回答】
まず、「頑張る」だけでは評価の対象になりません。プロセスの「質」が大事ですから、過度の残業や休日出勤はマイナスにはなれどプラス評価にはなりません。顧客の意見をすべて聞くことも、SEとしてのプロの仕事ではないと私は考えます。つまり、独りよがりで無駄な努力が多いですね。
評価にあたっては、仕事への取り組み姿勢や進め方の質、すなわちプロセスが肝心です。最初に設定した目標が、進めてみたら「適正ではなかった」ということはよくありますから、定期的に見直して軌道修正する必要があります。そのために大事なのが「ホウレンソウ」、つまり上司への「報告」「連絡」「相談」です。これができていれば、どこかで軌道修正ができたはず。評価されない原因は「コミュニケーション不足」のひと言につきるでしょう。

設定された目標を正しく理解していない場合

目標数字はちゃんと達成してるのに…

 <お悩み>

社員数30人の広告代理店で営業をしています。社歴も長いため、後輩の面倒を見る役割も。たくさんの種類の商材を扱っているので、会社が定めた重点商品だけでなく、顧客のニーズに合わせて幅広く商品を提案しています。目標数字もちゃんと達成しているのに、評価がついてこないんです。重点商品が大事なのはわかりますが、そもそも営業職は「売ってなんぼ」のはず。納得がいきません!

【藤井氏の回答】
重点商品というのは経営方針ですから、そことズレていれば努力は評価されにくいでしょう。また、「リーダー的存在なのに自分の数字ばかり気にする」といった、すべき努力が間違っている場合も同じです。ひとえに、あなたが期待されている役割が何なのかをいま一度確認することです。
そのためには、「協調性」を意識してみるのがいいでしょう。会社の中で、もしくはチームの中での自分の立ち位置を再度確認し、「その組織のために」と考えるだけで、努力の方向性が評価される向きに変わるはずです。
「営業は売ってなんぼ」なのも一つの事実ですが、それだけが仕事ではありません。環境によって違ってくるものですから、今いる場所では何が求められているのかをまず見極めることが大事ですよ。
 
【小倉氏の回答】
最近の風潮として「MBO(Management By Objectives and self-control)」という考え方を取り入れる企業が増えています。「自ら目標設定し、仕事を自己統制する」という評価制度のことで、経営学者のP.F.ドラッカーが提唱したものです。本来この制度は、一人ひとりが経営者視点で厳密に目標設定することが前提となっていますが、実際にはそうなっていません。上司・部下共に低い目線のままで、経営と連動しない目標を設定してしまっているために、実際の評価で達成度以外の要素を加味してしまっているのが現実です。ですから目標を達成しても評価されず不満に思うのも当然ですよね。
なぜ評価されないのか。それは、評価を行う際には「会社の方針」が無視できないからです。ならば、「自ら進んで、会社の方針に沿った目標設定をする」以外に、評価される道はありません。
つまり、この場合であれば「重点商品」を多く売る目標を自ら進んで立て、実際に売ればいいのです。

自分のレベルと周囲の期待が合っていない場合

未経験ながら努力したのに…

 <お悩み>

未経験で入社して半年ですが、社員が少ないこともあり、ウェブコンテンツ企画の取りまとめ的な立場を任されています。見よう見まねで何とか人気のコンテンツも企画し、目標にしていた3万ページビューもクリア。周囲から「よく頑張ったね」と声をかけてもらうこともあります。それなのに、上司からの評価がイマイチで、給与・待遇面でも認められているようには思えません。ものすごく努力しているのに、とても悔しいです。

【藤井氏の回答】
まだ入社半年のあなたは経験不足と認識されており、上司からの期待値が低いため、成果に対する見返りが高くなりにくいのではないでしょうか。評価とは、自分のその時のレベルと、周囲の期待値とのバランスによって決定されるものなので、その両方を随時確認しながら目標設定する必要があります。
ただし、上司があなたのレベルをどの程度だと考え、どれくらいの成果を期待しているのかを知ることは簡単ではありません。そのために有効なのが、「今回できていなかったことは何か」を確認する方法です。それを一つずつクリアしていけば、自ずと上司の期待にこたえることになりますし、長期的な成長につなげていくことができます。今の評価に期待できなくても、次につなげることができれば、ステップアップの機会だと前向きに取り組めるはずです。これは、あなたとは逆のケース、「期待が大きすぎるゆえに、求められるハードルが高い」と悩む人にも有効な方法です。
ただ、会社や上司の方針によっては、長い目で見て育てるという場合もありますから、半年や1年で評価されないと決めつけるのは、得策ではありません。まずは上司と話し合ってみましょう。
 
【小倉氏の回答】
そもそも、あなたが目標にしていた3万ページビューという数字の難易度は高いのか、低いのか。自分が思っている以上に、上司は大したことがないと考えているかもしれません。なのに、その数字を目標として定めてしまう――。つまり、こうした目標設定の甘さが、評価する側とされる側にズレを生じさせるのです。
会社とは、わかりやすくいえば「もうけた人」に対して高い評価を行います。数字で利益が見えやすい営業などの仕事に比べて、小人数で行うウェブコンテンツ企画の仕事は利益への貢献度がわかりにくく、上司もちゃんと理解できない場合が多い。ならば、目標設定や査定の時に、あなたが目指した数字・成果がいかに大変なものなのか、いかに利益につながるものなのかを説明できなくてはいけません。「あの超有名サイトのページビュー数の○分の1とはいかほどの影響力か」「3万ページビューは、売り上げ換算で○千万に相当」といったふうに、尺度をあなたが示すことです。

上司、会社が評価できていない場合

評価制度に疑問があります…

 <お悩み>

転職して1年、営業リーダーとして部下の育成に力を注ぎながら、プレーイングマネージャーとしてそこそこの営業数字も残しています。特に、以前勤務していた食品業界の販路を新規開拓するなど、期待以上の成果を残してきた自負があります。なのに、突出した営業実績がないことを指摘され、ものすごく低い評価になってしまいました。一方で、仕事のできないイエスマン的な奴がどんどん出世していたりと、評価の仕方に一貫性がなく、納得がいきません。会社の体質がそう簡単に変わるとは思えませんし、転職以外に方法はないのでしょうか…。

【藤井氏の回答】
評価制度に不満がある場合は、何をどうしたら評価が上がるのかをいま一度話し合うべきです。そのうえで働き続けたいなら、その評価制度に自分から合わせていくことが必要ですし、納得がいかなければ環境を変えるべきでしょう。まずは、自分に合う評価制度かどうかを再度見極めることからです。
評価の仕方は、会社によって違います。あなたの会社にも、その評価制度が合うと感じている人もいるわけですから、結局は、「自分にとって気持ちよいと感じる評価のされ方はどんなものか?」を知っておくことにつきるのです。
 
【小倉氏の回答】
「イエスマンが出世する」などと、人のことは悪く捉えがち。新規開拓が評価に値する仕事だったのかどうかも、確認しないと何とも言えないでしょう。まずは自分が出した成果の質と量、プロセスの質を客観的に見ること。それでも評価が足りないと思うなら上司に掛け合うべきです。単なる不平不満だと思われないためにも、「なぜ『自分』は評価されないのか?」と問うのではなく「この『仕事』の評価はどれくらいか?」とファクト(事実)ベースで確認することが大切。そうすれば印象を悪くせずにズレの原因が探れるはずです。
そこまでしても納得がいかなければ、転職を考えるか、もしくは残って「10年かかっても自分で変えてやる!」と取り組むのもいいでしょう。どっちつかずで、文句をいいながら働き続けるのが一番ダメですよ。

「どう評価されると嬉しいのか」をわかっておこう

多くの転職相談を受けてきた藤井氏いわく、「評価されていないと悩む人ほど、実はどの部分を評価されたいのかが明確になっていないことがほとんど」だという。あなたの場合はどうだろうか?また、小倉氏は「上司はあてにならない時代だ」と指摘する。自ら経営方針をくみ取り、目標設定の際にその方針を入れ込んでいく力がないと、結局自分自身が痛い目にあうことになる。自分なりのビジョンを明確にする一方で、企業の方針を見極める力を持つことが、評価される人材になるための近道といえるだろう。

自分自身の「評価されたいポイント」がわかったら、
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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
PHOTO
平山 諭
ILLUST
佐藤ワカナ

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