強みが見つかるキャリア相談室
  今回のアドバイザー
アドバイザー
キャリアカウンセリング協会キャリアカウンセラー養成講座トレーナー
(http://www.career-npo.org/GCDF/)、1953年、東京生まれ。東京都立大学経済学部卒業後、(株)リクルートへ入社。マネー情報誌『あるじゃん』を創刊し発行人を務めた後、独立。キャリアカウンセラー(GCDF)やファイナンシャル・プランナー(CFP(R))の資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして活躍。
転職に際しては、まずは自分のキャリアやスキルを客観的に見つめなおし、整理することが大切。とはいえ、自分のアピールポイントが見つからないという人も多いはず。キャリアカウンセラーによる面談から見えてきた自分の中の強みを見つける視点を参考にしてください。
第1回 第2新卒のAさん
異動が多く、「キャリア」と呼べるほどの専門性がない。それでも転職できますか?
Bさん(35歳):13年前に機械系メーカーに入社。入社してから約10年ほど品質保証関係の部署に在籍。品質関係の企画業務サポート、会議の事務局、官公庁提出用の書類作成などの業務に従事。約2年ほど前に営業部に空きができたため、求められて転属。現在は営業のサポート業務を行う。
品質管理部門にいた頃は、技術系スタッフや外部スタッフ、官公庁などとの連絡、交渉、調整に当たっており、交渉・調整能力には自信があります。また、品質管理の延長線上にある環境関連の部署を、ほぼゼロから再構築して“ISO取得”にまでこぎつけたことも。自分の興味ある分野でなら、これまでの経験を活かした仕事ができると感じています。
今までの仕事で印象に残っていることを振り返る
現在の機械系メーカーに入社して10年以上になりますが、異動が多く、専門性が身に付いていません。周りの先輩たちが管理職へと昇進していくなかで、自分なりに次のステップを考えると、もっと身近で興味の持てる業種への転職をしたいと思っています。ところが、自分の強みがどこにあるのか、よくわからないのが悩みです
専門性やキャリアがない、と感じられているのですね。それでは、具体的にはどのようなお仕事をしてこられたのですか?
現在は営業のアシスタント業務を行っていますが、入社して10年近く品質管理関連の部門にいました。とはいえ、お客様サービスセンターや環境部門など、長くて3年、短い時は半年程度で部署を異動しているんです
そうですか。いろいろなご経験をされているわけですね。その中で、特に印象に残っていることはありますか?※1
仕事の楽しさや辛さに
何を感じ、
何を得たか
仕事を通して印象に残っていることについて振り返ってみましょう。たとえば、楽しかったこと、充実していると感じられたこと、などです。いろいろとふりかえれば、きっと「あ、あの時は楽しかったな」と感じることがあるはず。それを「なぜ楽しかったのか?」「なぜ充実していたのか?」について、きちんと考えましょう。逆に、辛かったことや苦労したことからも、反省点や改善点など、きっと何か学んだことがあるはずです。
やりがいを感じたのは、今の部署に異動する前にいた環境関連の部署での仕事ですね。ちょうどその頃ベテランの方々が退職されて、組織全体を再構築するところからスタートしたんです。全員で勉強しながら、最終目標である“ISO取得”までたどり着けたことは、とても達成感がありました
ルーティンな業務ではなく、そうやって何かを創り出していくお仕事が好きなんですね
創り出すというほど大げさなことではありませんが、技術系スタッフや外部スタッフ、官公庁などとの連絡や折衝、それに社内の連絡・調整などが多かったので、いろいろな部署、部門の方々と交渉して調整する、という面では楽しさもありました
それでは逆に、辛かった状況という面で記憶に残っていることはありますか?※1
今も辛いといえば辛いのですが…(笑)。一時期、ワンマンな上司の下についたことがあり、その上司の考え方が理解できないばかりか、納得のいかないことも多く、正面から反発していました
失敗経験は時に、
強みにもなる
たとえばBさんの場合、上司との人間関係が上手くいかず、仕事の面でも失敗をした、と感じているようです。ところが、人間の強みは本人が失敗したと感じている部分にあることも。上司に納得がいかなければ、正面から向き合って反論できることも強みかもしれません。あるいは、失敗した経験から「次はこうしたい」と考えたこと、そんな反省や改善は、きっと自分なりの強みになっていると思いますよ。
そこから何か得たものはありますか?たとえば、今同じような状況になったとしたら、こうしたい、というような…
プラスかマイナスかわかりませんが、相手の言うことに納得ができない場合でも、組織の一員として丸くなる必要もあるな、と反省しました。今なら、正面からぶつかるのではなく、上司の意向に従いつつ自分なりの提案もできるのかな、と思います
ハッキリものを言うこと、納得できないことにはきちんと反論する、というのは強みかもしれませんね※2それに、やり方を学んだ、という意味ではひとつのスキルだと思いますよ。自分の強みというのは自分ではわかりにくいものですが“何か学ぶことがあった”というのが強みにつながっていると思います
異動や転職に関係なく、大切にしてきたことを探す
品質管理部門から営業部門というと、かなり仕事の内容も異なると思いますが、どうして営業部門へ異動されたんですか?
品質管理や環境などの全社的な業務で知り合った営業の人に「空きができたので来ませんか?」と声を掛けられたのがきっかけです。経験はありませんでしたが、面白そうだなと
それでは、求められて異動した、ということですね。まぁ、現在転職を考えられているくらいですから、辛い部分もあると思いますが、面白みややりがいはありますか?
やはり営業となると商品に関する専門知識が必要です。その点、自分が現在の会社の商品にそれほど興味が持てないのが致命的ですね。知識がないと、自分なりの提案をすることもできず、仕事に面白みがないな、と感じてしまいます
それでは、前の部署での仕事や経験が、次の部署での仕事にも活用できた、あるいは人間関係がつながっている、といった経験はありませんか?
以前の品質管理部門内で異動していた時期には、知識や経験が、ある程度役に立っていましたし、人とのつながりは続いていたのですが…。現在の営業部門に異動してからは、つながりもなくなってしまいましたね
異動や転職でも
変わらない、
本質的な部分を探す
たとえばBさんの場合、異動を繰り返すことで専門性やスキルが身に付いていない、と感じているようです。しかし、視点を変えて見ると、事務系の仕事に不可欠な調整力や交渉力、それに事務職の基本的なスキルは充分に高いはず。それぞれの部署における経験やスキルを分けて考えるのではなく、全体を通じて経験してきたこと、得たものなどについて考えてみると強みが見つかることもあります。
気分的にはすでに転職をされているようなものなんですね。とはいえ、異動することで、それまでに培った経験がゼロになるわけではありませんよね。それぞれの仕事で得た経験は、必ず自分の強みになっているはずですよ
スケジュールの調整や資料の収集・整理など、調整・交渉に関する能力でしょうか…。そこが見つからないのが悩みなんですが…
たとえば職種として捉えた場合、Bさんの事務職としてのスキルは充分高いはず。また、これまでの仕事で培った調整能力や交渉力、組織をまとめあげる能力などに関しては、活かせる機会も多いことでしょう。部署や仕事の内容などにかかわらず、自分が仕事の面で大切にしてきたこと、得てきたものが必ずあるはず※3です。そんな仕事の基本や本質に立ち返ってみるのも大切ですね




転職のチャンスは求人広告の条件が全てではない
会社に入って10年も何かひとつのことをしていれば、何らかの専門性なりスキルなりが身に付いていると思うんです。ところが、そんな専門性が身に付いていないのが、最大の悩みですね。求人広告などを見ていると、30代半ばの人に求められているのは、やはり即戦力ですよね?
自分の興味、関心を見極める
Bさんはすでに転職活動を始めているようですが、転職活動といっても、求人広告に掲載される条件に合わせて活動する受身のものばかりではありません。企業の人材は常に動いていますから、広告という形では現れていない求人が常にあるはずです。自分の興味や関心を見極めて、どうしてもやりたい、という仕事を見つけることができれば、可能性としては低いかもしれませんが、自分から積極的に売り込みに行く、という手段もあります。
たしかに転職市場においては経験をベースにした即戦力が求められています。とはいえ、どのような戦力なのか、というのは企業によってそれぞれ異なりますよね。自分の興味や得意分野から求人を探すことで、どのような人材が必要とされているのか、可能性が見えてくることもある※4と思いますよ。具体的に、何か興味のある業種はありますか?



特にコレ、という業界はないのですが、自分が普段接する機会のある、身近な商品を扱う仕事のほうが、もっと興味を持って仕事をできるのではないか、と思います。とはいえ、約10年間経験した品質管理部門での求人となると技術的な専門性が求められ、一方の営業事務の経験は浅くスキルも不十分。さらには年齢的にも壁を感じるようになってきました。思い切って、30代半ばから未経験でもスタートできる仕事もいいかな、と考えているんですが…
確かに、年齢やスキルなどに制限を設けている企業も多いのですが、いわゆる求人広告として世に出てくるのは、人材を採用する側から見れば最終的な手段といえるでしょう。まずは社内から調達する、次に知り合いの紹介など、そして最後に求人広告、となります。ですから、ある程度社会人としての経験を積んだ人にとって、転職には人的ネットワークが役立つことも多いのです
なるほど…。自分への自信のなさから、あまり業種や職種を絞らずに転職を考えていたのが良くないのかもしれませんね。まずは自分のやりたいことをきちんと見極めることが大切ですね
たとえば、極端な話ですが、どうしてもやりたい仕事なら、求人広告を出していなくても自分を売り込みに行くことだってできます。それなら、年齢やスキルの有無などよりも、個人的な能力や可能性などのほうが重要視されるでしょう。あるいは、転職したい、と感じていることを隠すのではなく、迷いなども含めて周囲の人に発信してみるのもひとつの手かもしれませんよ
これまで、品質管理関係の部署での企画業務サポート、会議の事務局、官公庁提出用の書類作成、環境関係の部署での組織の再構築など、さまざまな業務に取り組んできました。その中で、スケジュール調整・資料の収集・書類の作成といった事務処理のスキルが身に付いたと思っております。

環境関係の部署では組織の再構築にあたって“ISO取得”という目標を掲げ、他のメンバーと協力しながら目標達成することができました。その際、技術系スタッフや外部スタッフ、官公庁などとの連絡や折衝、社内の連絡・調整を数多くこなし、交渉・調整力には自信があります。

また、仕事を進めるにあたって、上司の考え方に納得がいかず、正面から反論して人間関係が悪くなるということがありました。そのときの反省から、組織の一員として業務を円滑にするために、上司の意向にしたがいながら自分の意見を提案していく必要があると学び、以来その姿勢で臨むことを心がけています。このように、失敗の経験を反省し、改善していくことも私の強みだと思っております。

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