ビジネスチャンスはここにある?!

データで読み解く「7つのトレンドキーワード」

世の中はものすごいスピードで変化しており、流行り廃りも目覚ましく変わっている。だからこそ、情報感度を高く持ち、意識して世の中の動きに目を向けておくことはビジネスパーソンとして大事なことだ。そこで、今後注目したい業界や商品など、「次のトレンド」についてデータを読み解くプロにキーワードを挙げてもらった。

2012年3月21日

<ADVISER>

株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部門 研究員 久我尚子氏

株式会社ニッセイ基礎研究所
生活研究部門 研究員
久我尚子氏

早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了後、NTTドコモに入社。独立法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)を経て、2010年より現職。消費者行動や心理統計、保険・金融マーケティングを専門分野とし、消費者の嗜好の科学的分析を得意とする。論文や執筆のほか、マーケティングについての講演などでも活躍。

百年コンサルティング株式会社 代表取締役 鈴木貴博氏

百年コンサルティング株式会社
代表取締役 鈴木貴博氏

東京大学工学部物理工学科卒業後、ボストンコンサルティンググループに入社。分析力と洞察力を武器に企業間の複雑な競争原理を研究し、伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループの起業に参画後、2003年に百年コンサルティングを創業。以来、大企業を中心にアドバイザーとして活躍。著書に『会社のデスノート』『ワンピース世代の反乱、ガンダム世代の憂鬱』(ともに朝日新聞出版)、『アマゾンのロングテールは、二度笑う』(講談社)ほか多数。

【注目のキーワード1】教育

子どもが減っている分、「一人当たりの教育費」が増えている

少子高齢化社会へ急速に移行中の日本。子ども向けの市場は、軒並み縮小を余儀なくされている。しかし、少子化を追い風に成長が見込めそうな分野がある。教育業界だ。
「現在、19歳以下の人口は総人口の約18%となっており、今後は2025年には13.5%、2055年には11.7%まで落ち込むと予測されています。このように年々子どもの数が減っている一方で、実は、高校卒業者の進学率は右肩上がりで伸びているのです。さらに、世帯年収に占める教育費の割合も年々増えており、最新のデータでは約4割という数字が出ています。これらから考えられるのは、進学を希望する子どものために、お金がかかっても質の高い教育を受けさせようという流れです。その恩恵を受けるのは「予備校」や「学習塾」といった分野でしょう。すでに、幼児向けの右脳開発やアート教室、英語や中国語といった習い事教室や、大学生向けのキャリア教育など、幅広い年代向けのあらゆるサービスが充実し始めてきているのも、その予兆といえそうです。また、共働き世帯が増えており、『子どもを預ける』というニーズも増えるでしょうから、保育やベビーシッターといった分野の成長も見込めるかもしれません」(久我氏)

【注目のキーワード2】結婚

企業だけでなく、一部の自治体が動き出している

未婚率は年々上昇中。総務省からも、生涯未婚率は男性が19.4%、女性は9.8%というデータが発表されている。
異性との交際を望んでいるのに交際相手がいない男女が増えています。にもかかわらず、未婚者に結婚の意志を聞くと、男性も女性も9割近くが『いずれ結婚するつもり』と回答しているんです。つまり、結婚したくてもできていない人がたくさんいるということ。そんな未婚者たちをつないであげるビジネスは、今後さらに成長する可能性が高いでしょう」(久我氏)
インターネットを使って出会いの創出を…となると、「出会い系」といったワードを思い浮かべがちだが、最近は「マッチング」という前向きな表現を使うことで、より一般化し始めている。

「実は、企業だけでなく、自治体主導で街をあげて合コンパーティを開催したり、県が主催してマッチングのための新規事業を立ち上げたりといった事例も出始めているんです」(久我氏)

【注目のキーワード3】宅配サービス

「6.7軒に1軒は一人暮らしの高齢者」の時代が来る

高齢者(65歳以上)が総人口の20%を越えている日本は、世界でも例がない「超高齢社会」の国。今後も高齢化が進むのは間違いない。
「世帯数の推移を予測したデータを見ると、一般世帯数は人口の減少にともなって2015年ごろをピークに減少していくのですが、高齢世帯は微増していきます。中でも注目したいのが、一人暮らし高齢者世帯の増加です。つまり、彼らをサポートするサービスは、必ずニーズが高まっていくということなんです」(久我氏)
もちろん、シニア、特に後期高齢者(75歳以上)向けのビジネスとして「介護」は切っても切り離せない存在となる。しかし、よりさまざまなインフラと結びつきやすいという点から、久我氏は「宅配サービス」に注目しているという。
「すでに一部のコンビニエンスストアが宅配サービスを導入し、顧客の拡大に成功しています。今後、この動きに追随するところは確実に増えるでしょう。また、ただ届けるだけではなく,一人暮らしの高齢者を見守る存在としても期待が高まるはずです」(久我氏)
共働き世帯の増加や、インターネットの普及といった生活スタイルの変化も、宅配サービス事業が拡大することの追い風になりそうだ。すでに普及しているサービスやビジネスの中にどのように取り入れられていくのか、注目しておきたい。

【注目のキーワード4】データ解析

インターネット普及率の割に、データ解析研究で遅れをとる日本

インターネットに関しては、どの年代も利用率が高い。特に70歳以上の利用率がここ数年で増えていることがわかる。
「80歳以上の5人に1人はインターネットを利用しています。6歳以上でも78.2%に普及しているということですから、インターネットの普及率がとても高いのがわかります。利用頻度を見ても、『毎日一回以上』の人が多数。これだけたくさんの人が、毎日利用しているということは、それだけ消費者行動に関するデータが蓄積され続けているということでもあるんです。これを使わない手はないということで、一部の企業が独自のデータ分析手法を活用し、サービスの質を高める取組みを始めています。しかし、実は日本はデータ解析の分野で、ほかの先進国に比べて大きく遅れをとっているのです。数学、医学、社会学など分野ごとのデータ解析研究は進んでいますが、欧米のように大学に統計学部があったり、データ解析そのものを広く専門的に学べる環境が需要のわりに足りていないのが事実。よって、今後必要に迫られるかたちで伸びる分野であるとともに、きちんと教えられる人の需要や、誰もが使える簡単なソフトの開発など、整備が進む大きいジャンル一つとして期待されています。注目しておきたいですね」(久我氏)

【注目のキーワード5】邦画

ビジネスモデルが変わり、業界そのものが息を吹き返しつつある

この10年で密かに市場を拡大しているのが、映画産業。その背景の一つには、邦画の興行収入が増加していることが挙げられるようだ。
ハリウッド映画が世界中を席巻していた1990年代後半は、日本における洋画の興行収入のシェアは7割を越えることが当たり前でした。しかしこの10年で立場は逆転。年間ヒット作の上位に邦画作品が入るようになりました。特にテレビドラマの人気シリーズの映画化作品が好調です。この背景には、『テレビで十分に宣伝し、満を持して映画化』という新しいビジネスモデルができたことが大きいといわれています。また、シネコンの増加も映画業界が息を吹き返した理由の一つ。特にシネコンのサービスが充実したことで、自由に使えるお金が比較的多い50代以上のお客を取り込むことに成功しました。待たずに人気作が見られるという好循環も、邦画を押し上げているようです。郊外ではなく、街の中心部につくられるシネコンも増えてきていますから、今後も貴重な娯楽の一つとして成長していくのでは」(鈴木氏)

【注目のキーワード6】ペット

子どもの数がペット数を下回る日も近い

「少子高齢化が進み、『子どものオムツよりも大人のオムツ』といわれる昨今ですが、実はそれに加えて『子どものオムツよりもペットのオムツ』というのが最近の密かな話題です。それくらいペット数が増えているんです。日本国内で飼われている犬・猫の数だけでも、最新の調査で2100万匹を超えています。日本の将来推計人口を見ても、あと数年で19歳以下の数がペットの数を下回るのは確実です」(鈴木氏)
少子化や一人暮らし世帯が増え、ペットを家族の一員として捉えて人間同様に扱う飼い主が増えてきている。
「想像以上にペット市場は拡大するでしょう。人間が利用するすべてのサービスにおいて、『ペット向け』が通用するというわけです。ペットフードやペット向け衣料品のほかに、保険やエステ、フィットネスや、ペットと一緒に利用できる飲食店やホテルなどは、今後間違いなく数を増やすでしょう。ペットのカウンセリングや介護などのサービスも増えるかもしれません」(鈴木氏)

【注目のキーワード7】韓国

新大久保駅の営業利益が急増の裏に、韓国ブームがある!?

専業主婦世帯が減り、共働き世帯数が大きく増えている。女性の社会進出も今や当たり前になりつつある。それに伴って、20代以下、30代、40代ともに女性の可処分所得が右肩上がりとなっている。さらに、単身勤労世帯の1カ月の可処分所得について男女差を調べたところ、20代以下にいたっては男性よりも多いことが判明。今、消費のカギを握っているのは、単身世帯の女性といえそうだ。
「面白いデータがあります。JR東日本の発表ですが、2011年9月の新大久保駅の営業利益が前年比で38%も増えたということです。新大久保といえば首都圏最大のコリアンタウン。2000年代初頭から続くドラマやアイドルなどの韓流ブームはもちろん大きいでしょうが、美容にいいとされる韓国料理や、韓国エステの人気も急激に高まっています。消費者の根強い支持を集める『韓国』は、引き続き目が離せないキーワードの一つです」(鈴木氏)

世の中に存在するデータを組み合わせて、トレンドを読み解こう

次のトレンドを探るのは、そう簡単なことではない。しかし、過去のビッグトレンドを振り返ってみても、そこに至るまでに何かしらの予兆があったのも事実だ。そうした変化にアンテナを張っておき、さらに想像力を働かせることで、いち早く次の一手が打てるかもしれない。世の中には多くの「データ」が存在する。一つのデータからではわからないことも、組み合わせてみることにより、新しい「兆し」が見えてくるかもしれない。あらゆる情報に目を向けておくことが何より大事だろう。

リクナビNEXTスカウトで、新しい「兆し」をつかもう

リクナビNEXTスカウトを利用すれば、企業や転職エージェントからのオファーが届く。これから伸びていく業界や商品に関する職種について採用活動を行っているというケースは多いため、オファー内の情報からも新たなトレンドを読み解くことができるはずだ。世の中で変化が起これば新しいビジネスチャンスが生まれ、求める人材像も多様化していくもの。どこにどんなチャンスがあるかわからないからこそ、リクナビNEXTスカウトを上手に活用して、新たな「兆し」を見つけてみよう。

スカウトに登録する

EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
PHOTO
平山 諭

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)