厳しい時代に成果を出すための

正しい「使命力」の身につけ方

不景気や、それに伴うコストカット・人員削減によって、ビジネスパーソンにとっては成果の出しにくい厳しい日々が続いている。さらに東日本大震災をきっかけとした外部環境の変化によって、業種職種問わずあらゆる企業にとってコストや労働時間の制限が強いられる時代となった。そんな今だからこそ、ビジネスパーソンに必要なのが、使命(ミッション)をいかに全うしていくかという「使命力」だ。その重要性と「使命力」の身につけ方について、組織人事に詳しい2人のコンサルタントに話を聞いた。

2011年4月13日

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株式会社フェイスホールディングス 代表取締役社長 経営コンサルタント 小倉 広氏

株式会社フェイスホールディングス
代表取締役社長
経営コンサルタント 小倉 広氏

大学卒業後、株式会社リクルート入社。組織人事コンサルティング室課長を経て2003年より現職。多くの企業の組織づくり、人材育成を支援する。4万5000人の読者を持つ人気メールマガジン「人と組織の悩みが嘘のように晴れるコラム」を毎営業日配信中。30代向けの著書も多く「悩める30代のメンター」としても知られている。著書に『任せる技術』(日本経済新聞出版社)『上司は部下より先にパンツを脱げ』(徳間書店)『33歳からのルール』『33歳からのリーダーのルール』(共に明日香出版社)『35歳からの生き方の教科書』『ビミョーな人とつきあう技術』(共にアスコム)『比べない生き方』(KKベストセラーズ)他多数。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 組織人事戦略部 プリンシパル 吉田 寿氏

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
組織人事戦略部 プリンシパル
吉田 寿氏

富士通人事部門を経て、1990年に三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。 「人」を基軸とした企業変革の視点から、人材マネジメント・システムの再構築や人事制度の抜本的改革などトータル的な組織・人事戦略コンサルティングに携わる。主な著書に『リーダーの器は「人間力」で決まる』(ダイヤモンド社)、『ミドルを覚醒させる人材マネジメント』(日本経済新聞出版社)など多数。その他新聞・雑誌への寄稿、講演等でも活躍。

経営コンサルタント・小倉氏が考える
「使命力」はなぜ必要か?

使命力があれば、成果を出すことができるようになる

「目標」と「使命(ミッション)」の違いとは何でしょうか。
私の考えでは、「目標」とはタスクや作業などの「中間成果」です。「目標のために働く」ということは、一つずつの作業をこなしていく働き方ということになります。
一方で、「使命」とは「最終成果」です。言い換えるなら「究極の最終目標(ゴール)」ともいえるでしょう。「使命のために働く」ということは、作業にとらわれず、ゴールだけに向かって自由に仕事ができる働き方のことです。
仕事をするうえで、自由と責任は必ず同じ重さです。たくさんの自由があれば、その分、責任も重くなります。反対に、自由がない仕事では責任は問われません。
つまり、使命のために働けるということは、自由と責任の両方を高く持つことができます。自主性・主体性が求められますから、決して楽ではありませんが、しんどいけれど楽しい働き方ができます。また、自由に進められる分、既存の型にとらわれない対応ができるため顧客満足は上がり、それに伴って成果も出しやすくなります。さらに、そのことで個人のモチベーションが上がり、仕事のよい循環が生まれます。つまり、使命のために働くことができれば、いいことづくしなのです。

使命力を身につけるためには?

使命力を身につけるには、“信用される行動をとる”ことです。その筆頭として、まずは自分に使命(ミッション)を与える一番身近な人である「上司」に信用される存在になりましょう。この場合の「上司」とは、顧客のことを常に考え、自部署だけでなく他部署や会社全体のことも考えられる人を指します。「上司」に信用されるためには、約束したことをきちんと守ること。これが大前提です。頼まれた仕事をきちんとやる、締め切りを守る、与えられた目標を達成する。そうすれば安心して仕事を任せられるようになり、「使命が与えられる存在」になれるはずです。「やり方は任せるから、この企画をお前に任せるよ」という仕事の頼まれ方をされれば、しめたもの。あとは、その仕事に全力で取り組み、信用されることで、好循環が生まれるはずです。

人材コンサルタント・吉田氏が考える
「使命力」はなぜ必要か?

使命力があれば、組織で必要とされる人材になれる

高いスキルを持つ優秀な人材は世間にたくさんいても、「自社が発展するために何ができるだろうか」という意識で働ける人は、意外と少ないです。実は、最終的に“組織のコアとなる人材”になれるのは、組織との関わりを意識して働ける後者のほうなのです。
なぜかといえば、自分以外も含めた広い視野で物事を俯瞰できるからです。そうすればその組織の中で自分の置かれている立場がわかり、求められる「役割」を考えられます。役割を認識できるということは、所属している組織で与えられる自分自身の「使命(ミッション)」を明確にできるようになるということです。
組織の中で自分をどう活かせばいいのかをわかっている人は、とても強いんです。期待にこたえようとしますから、周りからの信頼が厚くなる。自ずと「この仕事は彼に任せよう」という声が挙がり、組織にとって必要な人となれるのです。

使命力を身につけるためには?

使命力を身につけるには、いま一度、“自社の企業理念を見直し、どの部分が思い入れを持てるところなのか確かめ直す”ことが大切です。あなたを会社に引きつけているものは何でしょうか。まずはそこを考えてみてください。その中でも、最も人を根本で引きつける力が強いのは「企業理念」のはずです。その会社を選んだということは,企業理念のどこかに共鳴・共感したということです。
確かめ直す際には、ただ漠然と考えるのではなく、「会社が目指す方向性」「会社が世の中に提供するもの」の部分こそ、しっかりと見極めてほしいですね。「自分が目指すもの」との方向性が合うことで、自分自身の頑張りが自然と会社のためにつながることも。また、会社に対して思い入れを持ちやすくなります。
さらに、社長や上司など、企業理念を作った人(いわゆる語り部)がいれば、話を聞いてみることをお勧めします。理念作成の背景や意図、元になっている考え方などについてより理解を深めることができれば、会社や組織との結びつきが強くなるはずです。そうやって、自分の考えと企業理念をシンクロさせていき、日々の仕事の中にリンクさせていけば、「今いる組織の中での自分自身の役割が何か」を理解することができ、その役割に沿った仕事の進め方ができるようになるはずです。

働くことの「本質」にいま一度、目を向けてみよう

厳しい時代に成果を上げていくには、2人が語ってくれたような「使命(ミッション)を全うする力」が何よりも大事だ。「経営理念への共感」「組織における役割認識」「使命(ミッションを与える人)との良好な関係」など、今回紹介したキーワードを参考にして、仕事への取組み姿勢や、仕事を通じてどう成長していきたいのかを、いま一度考えてみよう。

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江
ILLUST
柏原昇店

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